[池袋] 生前贈与で相続税対策|2024年の税制改正と注意点を税理士が解説

query_builder 2026/07/20

相続税対策として広く知られているのが「生前贈与」です。ただし2024年の税制改正により、生前贈与のルールは大きく変わりました。今回は暦年贈与と相続時精算課税制度という2つの方法の違い、税制改正のポイント、そして実行する際の注意点までまとめて解説します。

暦年贈与とは

年間110万円までの贈与には贈与税がかからない「暦年贈与」の非課税枠を使い、毎年少しずつ財産を移転していく方法です。贈与を受ける人ごとに110万円の非課税枠が設けられているため、たとえば子2人・孫2人に毎年110万円ずつ贈与すれば、年間440万円を非課税で移転できる計算になります。長期間かけてコツコツ贈与することで、将来の相続財産を計画的に減らすことができる、最も基本的でオーソドックスな相続税対策のひとつです。

生前贈与加算のルール変更に注意

これまでは、亡くなる前3年以内の贈与のみが相続財産に加算(持ち戻し)される対象でしたが、2024年1月1日以降の贈与からは、この加算対象期間が段階的に7年に延長されています。具体的には、2027年以降に発生する相続から加算期間が徐々に延び、最終的に2031年以降に発生する相続では、亡くなる前7年間の贈与すべてが相続財産に加算されることになります。なお延長された4年間(4年目から7年目)に受けた贈与については、合計100万円までは加算対象から除外される緩和措置もあります。

つまり「亡くなる直前に慌てて贈与すれば節税できる」という考え方は、これまで以上に通用しにくくなっています。生前贈与対策は早く始めるほど持ち戻しの影響を受けにくく、効果が出やすい制度になったといえます。

相続時精算課税制度という選択肢

暦年贈与とは別に「相続時精算課税制度」という制度もあります。累計2,500万円まで贈与税がかからず贈与でき、超えた部分には一律20%の贈与税がかかります。さらに2024年からは、この制度を選択した場合でも年110万円の基礎控除が新設されました。この基礎控除分は相続財産への持ち戻し対象にもならないため、暦年贈与の加算期間が延長されたこととあわせて、活用の幅が広がっています。

ただし一度この制度を選択すると暦年贈与には戻せない点には注意が必要です。将来大きく値上がりが見込まれる財産(自社株や収益不動産など)を早めに贈与しておきたい場合には有効な一方、少額の贈与を長期間続ける使い方には暦年贈与の方が向いている場合もあり、どちらを選ぶかは財産の状況や贈与の目的に応じた慎重な判断が必要です。

暦年贈与と相続時精算課税制度、どちらを選ぶべきか

暦年贈与は、時間をかけて少額ずつ非課税枠を使い続けたい場合や、複数の贈与先(子・孫など)に幅広く分散して贈与したい場合に向いています。一方で相続時精算課税制度は、将来値上がりが見込まれる財産をまとまった金額で早期に移転したい場合や、収益物件のように贈与後の家賃収入を早めに子や孫に移していきたい場合に効果を発揮しやすいとされています。ただし相続時精算課税制度で贈与した財産は、贈与時の評価額で相続財産に加算されるため、贈与後に評価額が下落した場合には、かえって不利になる可能性がある点にも注意が必要です。どちらの制度も一長一短があるため、財産の種類や将来の値動きの見通し、贈与する相手との関係性などを踏まえて選択することが望ましいといえます。

目的に応じた贈与の特例も検討を

暦年贈与・相続時精算課税制度のほかにも、直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置や、結婚・子育て資金の一括贈与に関する非課税措置など、目的を限定した贈与税の特例が設けられています。いずれも適用要件や非課税限度額、金融機関での専用口座開設など手続き面での条件があるため、利用を検討する場合は事前に制度の内容を確認しておくことが大切です。これらの特例は暦年贈与や相続時精算課税制度と併用できる場合もあるため、贈与の目的(教育資金として使ってほしいのか、将来の生活資金として自由に使ってほしいのか)を踏まえて、組み合わせを検討するとよいでしょう。

贈与の際の注意点

  • 贈与契約書を都度作成し、贈与の事実を明確にする
  • 贈与を受けた人の口座に振り込み、本人が管理していること(名義預金と誤認されないため)
  • 贈与税の申告が必要な場合は期限内に行う
  • 毎年同じ時期に同じ金額を贈与し続けると、まとめて一つの贈与とみなされる「定期贈与」と判断されるリスクがあるため、金額や時期を変える工夫も有効
  • 認知症などにより本人の判断能力が低下すると有効な贈与ができなくなるため、対策は早めに始める

特に「定期贈与」と判断されると、毎年110万円以内で贈与していたつもりでも、贈与を始めた時点でまとまった金額を贈与する約束をしていたとみなされ、その総額に対して贈与税が課税されてしまうおそれがあります。贈与のたびに契約書を作成し、金額や贈与のタイミングを毎年見直すことで、こうしたリスクを避けやすくなります。また、生前贈与は本人の意思に基づく法律行為であるため、認知症などにより判断能力が低下した後では、有効な贈与を行うことが難しくなります。この観点からも、生前贈与による対策はできるだけ元気なうちから計画的に始めることが重要です。

家族間の贈与でも見落とされがちなポイント

夫婦間や親子間の贈与は、身内のやり取りという意識から契約書を作らずに済ませてしまうことが少なくありません。しかし税務上は、家族間であっても第三者間の贈与と同じルールが適用されます。特に夫婦間で住宅資金や生活費以外の名目でまとまった金額をやり取りする場合は、贈与税の課税対象になり得ることを意識しておく必要があります。日常生活に必要な範囲の生活費や教育費の仕送りは非課税とされていますが、その範囲を超えて資産形成的な意味合いを持つ金銭のやり取りは、贈与として扱われる可能性がある点に注意しましょう。

贈与税の申告を忘れた場合のリスク

年間110万円を超える贈与を受けたにもかかわらず贈与税の申告をしていなかった場合、後から税務署に指摘されると、本来の贈与税に加えて無申告加算税や延滞税が課されることがあります。特に相続税の税務調査では、被相続人の口座からの出金履歴などを通じて過去の贈与の有無が確認されることも多く、生前贈与に関する記録や申告の有無は相続税の申告内容にも影響してきます。贈与を行った年に応じた申告期限(原則として翌年3月15日)を意識し、必要な申告を都度きちんと済ませておくことが、将来の相続税申告をスムーズに進めるうえでも重要です。

まとめ

生前贈与は有効な相続税対策ですが、税制改正により以前ほど単純な話ではなくなっています。加算期間の延長や相続時精算課税制度の使い勝手の変化を踏まえ、ご家族の状況や財産構成によって最適な方法は異なりますので、実行前に一度専門家にご相談されることをおすすめします。

税理士法人アウルでは、生前贈与を含めた相続税対策のご相談を承っております。

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