[池袋] 上場株式の相続税評価とは?4つの価額を比較する仕組み
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query_builder 2026/09/08 相続税 不動産

上場株式を相続した場合、相続税の申告にあたってはその株式をいくらと評価するかが問題になります。上場株式は日々値動きがあるため、どの時点の価格を基準にするかによって評価額が変わり得ます。ここでは、上場株式の相続税評価がどのような考え方に基づいて行われるとされているか、基本的な仕組みと申告実務で注意しておきたい点を解説します。不動産や非上場株式の評価とは異なる特徴を持つ財産であるため、あらかじめ全体像を把握しておくと、実際の申告作業を進めやすくなると考えられます。

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上場株式を相続した場合の評価の基本的な考え方

相続税を計算するにあたっては、相続や遺贈によって取得した財産を、それぞれの財産の種類に応じた方法で金額に置き換える必要があるとされています。現金や預貯金であれば残高がそのまま評価額になりますが、株式のように市場で日々取引され、価格が変動する財産については、どの時点のどの価格を採用するかという考え方をあらかじめ整理しておく必要があります。 上場株式については、証券取引所において公開された取引価格が存在するため、原則としてその取引価格をもとに評価するという考え方がとられているとされています。これは、非上場株式のように会社の純資産や利益の状況から評価額を計算する方式とは異なり、市場で実際に成立した価格を出発点にするという点に特徴があります。 このように評価の出発点となる考え方が財産の種類ごとに異なっているのは、それぞれの財産について、実際の取引価格をどこまで客観的に把握できるかという事情の違いが背景にあるとされています。上場株式は不特定多数の投資家が参加する市場で日々活発に取引されているため、比較的客観的な価格指標を得やすい財産だといえるでしょう。 もっとも、株価は日々変動するため、たまたま相続開始日の価格が一時的に高くなっていたり、逆に低くなっていたりする可能性があります。こうした偶発的な変動の影響をできるだけ緩和する目的で、複数の価格を比較したうえで評価額を決めるという仕組みが設けられているといわれています。この仕組みの具体的な内容は、後の項目で詳しく取り上げます。 評価の対象となるのは、東京証券取引所に上場している銘柄に限られません。名古屋証券取引所や福岡証券取引所、札幌証券取引所などに上場している銘柄、あるいはジャスダック市場に上場している銘柄についても、基本的には同様の考え方で評価するとされています。また、上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)についても、証券取引所で取引されている点は上場株式と共通しており、同様の評価方法が用いられる場合があるといわれています。 NISA口座(少額投資非課税制度)で保有していた株式についても、相続税の評価という観点では、通常の課税口座で保有していた株式と特に異なる取扱いにはならないと考えられています。NISA口座特有の非課税の効果は、あくまで株式を保有していた本人が売却した際の譲渡益や配当に関するものであり、相続税の評価額の算定方法そのものに影響するものではないといわれています。ただし、相続によってNISA口座内の株式を引き継ぐ場合には、非課税の地位そのものは相続人に引き継がれず、いったん課税口座に移管されるなど、証券会社ごとの手続き上の取扱いを確認しておく必要があります。

財産評価における「時価」という考え方

相続税の評価においては、財産を取得した時点の「時価」によって評価するという考え方が基本になっているとされています。時価とは、その財産を売買するとした場合に、市場で成立するであろう価格に相当するものと理解されています。 上場株式の場合、証券取引所という公開された市場が存在し、日々の取引を通じて価格が形成されているため、この「時価」を客観的に把握しやすい財産であるといえます。株価情報は証券取引所や証券会社を通じて公表されており、相続開始日の価格を確認すること自体は比較的容易です。 ただし、時価をそのまま機械的に採用するのではなく、後述するように複数時点の価格を比較する仕組みが用意されている点には注意が必要です。単に「死亡した日の終値がいくらだったか」だけを見て評価額を決めてしまうと、実際の取扱いと異なる結果になる可能性があるため、慎重に確認することが望ましいとされています。 相続人にとっては、被相続人が亡くなった当日の株価だけが評価額に直結すると誤解してしまうケースも少なくないといわれています。実際には、後述する4つの価額を比較したうえで最も低いものを選べる仕組みになっているため、相続開始日の株価だけを見て慌てて評価額を確定させてしまうと、本来よりも高い金額で申告してしまう可能性がある点には注意が必要です。 逆に、相続開始日の株価が一時的に急落していたケースでは、その日の終値がそのまま評価額になると誤解し、必要以上に評価額が低くなるだろうと期待してしまうこともあるかもしれません。しかし実際には月平均額との比較を行った結果、相続開始日の終値よりも高い金額が採用されることもあり得るため、いずれの方向であっても、4つの価額をきちんと比較したうえで結論を出す必要があります。

評価の対象となる株式の範囲

上場株式そのものの評価方法を理解しておくことは大切ですが、実際の申告作業では、評価の前段階として、被相続人がどのような財産をどれだけ保有していたかを漏れなく把握する作業自体に時間がかかることも少なくないといわれています。株式のように口座管理されている財産は、通帳や現物のように目に見える形で自宅に残っているとは限らないため、確認作業には特有の注意点があります。 上場株式の評価が問題になるのは、通常の株式取引口座で保有していた銘柄に限られません。単元未満株(端株)として証券会社の口座に記録されている株式や、株式累積投資(るいとう)、株式ミニ投資などの制度を通じて保有していた持分についても、相続財産として評価の対象になり得るとされています。 また、信用取引の建玉(未決済のポジション)や、投資信託の受益権など、株式そのものではないものの株式市場に関連する金融商品を保有していた場合には、それぞれの商品ごとに定められた評価の考え方に従って評価する必要があるといわれています。上場株式の評価方法をそのまま当てはめられない場合もあるため、保有していた金融商品の種類を正確に把握することが出発点になります。 証券会社から送付される取引残高報告書や、口座管理資料を確認し、被相続人がどのような銘柄・商品をどれだけ保有していたかを漏れなく洗い出すことが、評価作業を進めるうえでの前提になると考えられます。 勤務先の株式を持株会を通じて保有していたケースも、実務上しばしば見られるといわれています。従業員持株会を通じた保有分は、証券会社の口座ではなく持株会の記録として管理されていることが多く、通常の残高証明書だけでは把握できない場合があります。被相続人の勤務先や、退職している場合は元の勤務先に確認する必要が生じることもあるため、財産の洗い出しの際には見落としがちな点として留意しておくとよいでしょう。 海外の証券取引所に上場している外国株式や、外国株式を裏付けとした預託証券(ADR)を保有していた場合には、国内の上場株式とは異なる評価の考え方が必要になる場合があるといわれています。海外の取引所における取引時間や休日は国内と異なるため、比較対象となる価格の確認方法自体が複雑になる傾向があります。こうした銘柄を保有していたことが判明した場合には、通常の国内上場株式よりも慎重な確認が必要になると考えられます。

評価の基準日はいつになるか

上場株式に限らず、相続税の評価はすべて「相続開始の時」、つまり被相続人が亡くなった日の状況を基準に行うとされています。これは、相続税が被相続人の死亡によって財産が相続人に移転することに着目して課される税金であることに由来する考え方とされています。 株式の評価においても、この基準日の考え方は変わりません。被相続人が亡くなった日(以下「課税時期」と呼ばれることがあります)の株価を出発点として、後述する複数の価格と比較したうえで評価額を決めるという流れになります。 基準日をいつにするかという点は一見単純に思えますが、実際の申告実務では、相続開始日の特定そのものが問題になるケースや、後述するように相続開始日が証券取引所の休業日にあたるケースなど、確認しておくべき論点がいくつか存在します。 また、相続税の申告期限は、相続開始があったことを知った日の翌日から10か月以内とされています。株式の評価作業自体は申告期限のかなり前から着手できるため、被相続人の死亡後、資料が一通り揃った段階で早めに評価額の算定に取りかかっておくと、申告期限が近づいてから慌てずに済むと考えられます。 評価の基準日という考え方は、株式に限らず、土地や建物、預貯金、生命保険金などあらゆる相続財産に共通するものとされています。株式の評価だけを特別扱いする必要はなく、他の財産と同じ「相続開始の時」という基準日を出発点にしたうえで、株式という財産の性質に応じた具体的な計算方法(4つの価額の比較)が別途定められていると理解しておくと整理しやすいといわれています。

相続開始日(死亡日)の考え方

相続開始日とは、原則として被相続人が死亡した日を指すとされています。医師の診断や死亡診断書に記載された死亡日時が基準になるのが通常ですが、失踪宣告を受けた場合や認定死亡の場合など、死亡日の特定そのものに特別な考え方が必要になるケースも存在するといわれています。 株式の評価との関係でいえば、相続開始日が特定できれば、その日を起点として比較対象となる価格の期間(その日が属する月、前月、前々月)が自動的に定まる仕組みになっています。そのため、相続開始日を誤って認識してしまうと、比較対象とすべき期間全体がずれてしまい、評価額そのものに影響が及ぶ可能性がある点には注意が必要です。 戸籍謄本や死亡診断書などの資料を確認し、相続開始日を正確に確定させることが、株式評価の作業を始める前提になると考えられます。 なお、相続開始日は「日」を単位として考えるものであり、亡くなった時刻の何時何分であったかによって評価額の計算方法が変わることはないとされています。深夜に亡くなった場合であっても、日をまたいで亡くなった場合であっても、確定した死亡日そのものを基準に、その日が属する月・前月・前々月を特定していくという考え方になります。 また、相続開始日を正確に把握することは、株式の評価だけでなく、相続税の申告期限の計算や、後述する遺産分割の基準日といった、申告全体に関わる複数の場面で重要になってきます。株式の評価作業に着手する前に、まずは相続開始日を確定させ、関係者の間で認識を共有しておくことが望ましいと考えられます。

遺産分割協議が遅れた場合でも基準日は変わらない

相続の実務では、相続人間の話し合いに時間がかかり、遺産分割協議がまとまるまでに数か月から数年を要するケースも珍しくないといわれています。このような場合でも、株式の評価基準日はあくまで相続開始日であり、遺産分割協議がまとまった日や、実際に名義変更の手続きを行った日ではない点に注意が必要です。 つまり、協議が長引いている間に株価が大きく変動したとしても、相続税の計算上採用する評価額は、相続開始日を基準として算定した金額のまま変わらないという考え方になります。分割協議が遅れたことを理由に評価額を改めて計算し直すという扱いにはならないとされています。 相続人の中には、遺産分割協議が長引く間に株価が値上がりし、実際に取得する頃には市場価値が評価額を大きく上回っているように感じられるケースもあれば、逆に値下がりしてしまい、評価額よりも実際の資産価値が下がっているように感じられるケースもあるといわれています。いずれの場合であっても、相続税の計算上は相続開始日時点の評価額を用いるという原則自体は変わらない点を理解しておくことが大切です。 なお、申告期限までに遺産分割が調わない場合には、いったん法定相続分で申告したうえで、後日修正申告や更正の請求を行うといった対応が必要になることがあります。この場合も、株式の評価額自体は相続開始日を基準とした金額を用いることになると考えられます。 未分割の状態で申告する場合であっても、株式の評価額そのものは相続人全員に共通する数値であるため、評価額を決める作業自体は分割協議の進み具合とは切り離して進めることができます。むしろ、評価額が先に確定していれば、それをもとに遺産分割協議を具体的に進めやすくなるという面もあるといわれています。 遺産分割協議が長引く間に、配当金が支払われたり、株式の価値が大きく変動したりすることもあり得ますが、これらは相続開始後に生じた事情であり、相続税の評価額そのものには影響しないという整理になっているとされています。配当金については、その配当が誰に帰属するかという別の論点(遺産分割前の共有関係に基づく帰属)が生じることがあるため、評価額とは切り離して考える必要があります。

上場株式の評価で比較される4つの価額

上場株式の評価においては、次の4つの価額を比較し、そのうち最も低い金額を評価額とすることができるという考え方がとられているとされています。すなわち、(1)相続開始日の最終価格、(2)相続開始日が属する月の毎日の最終価格の平均額、(3)相続開始日の前月の毎日の最終価格の平均額、(4)相続開始日の前々月の毎日の最終価格の平均額、の4つです。 「最終価格」とは、その日の取引時間中に成立した価格のうち、その日の最後に成立した価格(いわゆる終値)を指すとされています。証券取引所が公表する日々の株価情報から確認することができます。 「毎日の最終価格の平均額」とは、対象となる月にその銘柄の取引が行われた日それぞれの最終価格を合計し、取引が行われた日数で割って算出した平均値を指すといわれています。土日祝日など取引が行われない日は計算に含めない考え方になります。 たとえば、相続開始日の終値が仮に1株あたり1,200円であったとしても、相続開始日が属する月の平均額が1,150円、前月の平均額が1,100円、前々月の平均額が1,180円であったとすると、この4つのうち最も低いのは前月の平均額である1,100円ということになります。このケースでは、1,100円を評価単価として採用できる可能性があるという考え方になります(あくまで仕組みを理解するための仮の数値であり、実際の株価とは関係ありません)。

相続開始日の最終価格

4つの価額のうち最もイメージしやすいのが、相続開始日そのものの最終価格(終値)です。相続開始日に証券取引所が取引を行っていれば、その日の終値をそのまま確認することができます。 新聞の株式欄や証券会社のウェブサイト、証券取引所が公表する日々の相場情報などから確認できるため、比較的把握しやすい価額であるといえます。ただし、後述するように相続開始日が取引の行われない日であった場合には、別の考え方が必要になります。 なお、複数の証券取引所に上場している銘柄の場合、どの取引所の価格を基準にするかという論点も生じ得るとされています。一般的には、その株式を管理していた証券会社の取引の基礎となっている取引所の価格を用いることが多いといわれていますが、個別の状況によって判断が分かれる可能性もあるため、慎重な確認が望ましいと考えられます。 インターネット上の株価情報サービスや証券会社のアプリでも過去の株価を確認できる場合がありますが、相続税申告のために用いる資料としては、証券取引所が公式に公表している相場情報や、証券会社が発行する残高証明書に記載された価格を用いるのが望ましいといわれています。個人が簡易に確認したメモ程度の情報だけを根拠にすると、後から資料の裏付けを示せず、確認作業をやり直す必要が生じる可能性があります。

相続開始日が属する月・前月・前々月の平均額

残り3つの価額は、いずれも「月単位の平均額」という考え方に基づくものです。相続開始日が属する月、その前月、さらにその前々月について、それぞれの月にその銘柄の取引が行われた日の最終価格をすべて合計し、取引が行われた日数で割った平均値を算出します。 このように直近3か月分の月平均額を比較対象に含めることで、相続開始日前後の短期的な株価の急騰・急落の影響を一定程度緩和できるという考え方があるとされています。仮に相続開始日の株価がその時点でたまたま高値をつけていたとしても、直前の月の平均額の方が低ければ、そちらを評価額として採用できる可能性があるということになります。 これらの月平均額は、証券会社によっては相続税評価用の資料として提供してくれる場合もあるといわれていますが、必ず提供されるとは限らないため、証券取引所の公表資料等をもとに自分で確認する必要が生じることもあります。 保有銘柄数が多い場合には、4つの価額を1銘柄ずつ手作業で確認していく作業に相応の時間がかかることがあります。証券会社によっては、複数銘柄をまとめて相続税評価用に算定した一覧表を有料または無料で発行しているサービスもあるといわれており、保有銘柄数が多い場合には、こうしたサービスの利用を検討することも一つの方法だと考えられます。

なぜ4つのうち最も低い価額を選べるのか

相続税の評価において、複数の価額のうち最も低いものを選択できるという考え方は、株式という財産の性質を踏まえた配慮によるものとされています。株式は市場の需給や経済情勢、個別企業の業績発表などによって短期間に大きく価格が変動することがあり、相続開始日というたまたま定まった一日の価格だけを機械的に採用すると、実態からかけ離れた評価額になってしまう可能性があるためです。 このような偶発的な価格変動の影響を緩和し、より実態に近い、いわば「ならされた」評価額を算定できるようにするという趣旨から、複数時点の価格を比較したうえで最も低い金額を採用できる仕組みが設けられているといわれています。 なお、この仕組みは相続税だけでなく、贈与税の計算においても同様に用いられるとされています。生前に上場株式を贈与した場合の評価額についても、贈与を受けた日を基準として、同じ4つの価額を比較する考え方が適用されるといわれています。相続と贈与のいずれの場面でも、基本的な評価の考え方は共通していると理解しておくとよいでしょう。 このため、生前贈与を行っていた被相続人の相続が発生した場合には、過去に行われた贈与についても、当時の評価額がどのように算定されていたかを確認しておくことが望ましい場合があります。とくに、相続開始前の一定期間内の贈与が相続税の計算に加算される制度との関係で、過去の評価額の妥当性が問題になることもあるといわれています。 なお、この考え方はあくまで通常の売買による取得を前提としたものであり、負担付贈与や個人間の対価を伴う取引によって取得した株式の評価については、別の考え方が適用される場合があるとされています。該当する可能性がある場合には、個別に確認することが望ましいと考えられます。 このような複数の価額を比較する仕組みは、非上場株式の評価方法とは対照的な特徴だといわれています。非上場株式の場合、市場価格自体が存在しないため、会社の純資産や配当・利益の状況などをもとに評価額を算定する必要があり、上場株式のように短期間の市場価格の比較で評価額を決めるという考え方は用いられません。上場株式は市場価格という客観的な指標があるからこそ、こうした比較の仕組みが成り立っているという見方もできるといわれています。

制度の趣旨(価格変動リスクへの配慮)

株式の価格は、企業の業績や経営環境だけでなく、市場全体の動向、金利動向、為替の変動など、さまざまな外部要因によって影響を受けるとされています。相続の発生は被相続人の死亡という、株価の動きとは無関係な出来事によって生じるため、たまたまその日の株価が一時的に高騰していたり、逆に急落していたりする可能性は常にあり得ます。 こうした偶然の要素によって相続税の負担が大きく左右されてしまうことは望ましくないという考え方から、直近の一定期間の価格動向を踏まえて評価額を決める仕組みが用意されているとされています。単純に「一番安い日を意図的に選べる」という制度ではなく、あくまで複数の指標を比較して合理的な評価額を導き出すための考え方であると理解しておくことが大切だといわれています。 このような考え方の背景には、相続税がいわば偶然のタイミングで生じる出来事に対して課される税金であるという性質があるとされています。相続人が株価の動きをコントロールできるわけではない以上、たまたまの一時点の価格だけで税負担が大きく変わってしまう事態は、税負担の公平性という観点からも望ましくないと考えられているようです。 比較対象となる期間が相続開始日から見て過去3か月程度に限定されているのも、あまりに長い期間を対象にすると、相続開始時点の実勢からかけ離れた価格まで比較対象に含まれてしまい、かえって時価から遠い評価額になりかねないという配慮によるものと考えられます。直近の一定期間に限定することで、実勢からの乖離を抑えつつ、偶発的な変動の影響も緩和するという、両方のバランスをとった仕組みになっているといえそうです。

選択にあたっての注意点(銘柄ごとの個別判断)

4つの価額のうち最も低いものを選べるという考え方は、保有している銘柄ごとに個別に適用されるとされています。複数の銘柄を保有していた場合、ある銘柄については相続開始日の終値が最も低く、別の銘柄については前々月の平均額が最も低いというように、銘柄ごとに採用する価額の種類が異なっていても差し支えないといわれています。 また、同一銘柄であっても、特定口座と一般口座で分けて保有していたなど、保有形態が複数にまたがる場合には、それぞれの保有分について同じ評価単価を用いたうえで、保有株数を掛け合わせて評価額を算出することになると考えられます。評価単価の確認とあわせて、保有株数の集計も正確に行う必要があります。 複数の証券会社に分散して同一銘柄を保有していた場合も、基本的には銘柄単位で評価単価を統一したうえで、証券会社ごとの保有株数を合算して評価額を算出する考え方になるといわれています。証券会社ごとに評価単価が異なるということは通常想定されておらず、保有していた口座の数にかかわらず、その銘柄について確認した4つの価額を比較して評価単価を決めるという流れになります。 このように、評価単価そのものは銘柄ごとに一つに定まる一方で、保有株数の集計は口座ごとに行う必要があるため、両者を混同しないよう整理して記録しておくことが望ましいと考えられます。エクセルなどの表計算ソフトを使って、銘柄ごとに保有口座・保有株数・評価単価・評価額を一覧化しておくと、申告書を作成する際の確認作業がしやすくなるといわれています。

相続開始日が非営業日だった場合の取扱い

証券取引所は、土曜日・日曜日・祝日のほか、年末年始など特定の期間は取引を行っていません。相続開始日がこうした非営業日にあたる場合、その日には最終価格そのものが存在しないため、別の考え方で価格を確認する必要が生じます。 このような場合には、相続開始日に最も近い取引日の最終価格を用いるという考え方がとられているとされています。相続開始日の前後どちらかに取引日がある場合には、その日の価格を確認することになります。 このルールは、相続開始日そのものの価格が存在しないという技術的な問題に対応するためのものであり、前述した「4つの価額のうち最も低いものを選べる」という考え方そのものを変更するものではないとされています。あくまで4つ目の比較対象である相続開始日の価格を、代替的にどう確認するかという手順の話であるという整理をしておくと分かりやすいでしょう。 なお、この考え方が適用されるのはあくまで相続開始日そのものの最終価格を確認する場面であり、月平均額を計算する際には、その月に実際に取引が行われた日の価格のみを対象にすればよく、非営業日について特別な調整をする必要はないとされています。 証券取引所の休業日は、毎週の土曜日・日曜日に加えて、国民の祝日、年末年始(12月31日から1月3日頃まで)などが該当するとされています。近年は祝日の移動や振替休日の設定により、年によって休業日の並びが変わることもあるため、相続開始日がその年のカレンダー上でどのような扱いになっていたかを個別に確認する必要があります。

直前・直後の最終価格を用いる考え方

相続開始日が非営業日であった場合、その日に最も近い取引日の最終価格を代わりに用いるという考え方が基本になります。たとえば相続開始日が日曜日であれば、直前の金曜日か、直後の月曜日のいずれかの最終価格を確認することになります。 どちらの日の価格を用いるかについては、相続開始日により近い方を採用するという考え方がとられているといわれています。前後の取引日までの日数を数え、日数が近い方の最終価格を確認するという手順になります。 年末年始のように非営業日が連続する期間に相続が発生した場合には、直前・直後の取引日までの日数がそれぞれ数日にわたることもあるため、カレンダーで取引所の休業日を確認しながら、該当する取引日を特定する作業が必要になります。 たとえば相続開始日が1月1日であった場合、証券取引所は年始の休業期間中であるため、直前の取引日である前年12月の最終取引日か、年明けの取引開始日のいずれかの最終価格を確認する必要があります。このように休業日が連続する時期に相続が発生した場合には、通常の週末をまたぐ場合よりも確認すべき日付の範囲が広がる点に注意が必要です。

前後の日数が同じ場合の扱い

相続開始日の前後にある取引日までの日数がちょうど同じになるケースも起こり得ます。このような場合には、前後それぞれの取引日の最終価格を平均した金額を用いるという考え方がとられているとされています。 実務上このようなケースはそれほど多くないと考えられますが、該当する可能性がある場合には、日数の数え方を含めて慎重に確認することが望ましいといわれています。証券取引所が公表しているカレンダーや、証券会社が提供する相場情報を参照しながら、対象となる取引日を正確に特定する必要があります。 このように、相続開始日そのものの株価が確認できないケースについては、通常の場合よりも確認作業が煩雑になりがちです。早い段階で必要な資料を洗い出し、余裕を持って評価額の算定を進めることが望ましいと考えられます。 なお、相続開始日そのものの最終価格が非営業日のために確認できない場合であっても、比較対象となる残り3つの月平均額(相続開始日が属する月・前月・前々月の平均額)の算定方法自体には影響しないとされています。あくまで4つ目の比較対象である「相続開始日の最終価格」の代わりに、直前・直後の取引日の価格を用いるという整理になります。

権利落ち・配当落ちなど株価に影響する事情があった場合

上場株式は、増資や株式分割、配当の権利確定などに伴い、権利落ち・配当落ちと呼ばれる株価の変動が生じることがあります。これは、一定の権利(新株を取得する権利や配当を受け取る権利など)が確定した後の株価が、その権利の価値分だけ理論上下落する現象を指すといわれています。 相続開始日や比較対象となる月の期間中に、こうした権利落ち・配当落ちが生じていた場合、単純に価格だけを見比べると、実態と異なる印象を持ってしまう可能性があります。もっとも、月平均額を算出する際の考え方としては、権利落ち後の実際の取引価格をそのまま用いて平均額を計算するという扱いが基本になっているとされています。 権利落ち・配当落ちは、業績とは無関係に、株式市場の仕組み上生じる価格の調整であるといわれています。相続人がこうした事情を知らずに株価の推移だけを見ると、被相続人が亡くなった前後で株価が急に下がったように感じられることもありますが、必ずしも会社の業績悪化などを意味するものではない点は理解しておくとよいでしょう。 ただし、増資による権利落ちがあった月については、権利落ち前の価格をそのまま平均額の計算に含めることが適切でない場合があるとされ、別途調整した計算方法が用いられることがあるといわれています。該当する事情がある場合には、個別に確認することが望ましいと考えられます。 自社株買い(自己株式の取得)や公開買付け(TOB)が行われていた銘柄についても、通常より大きく株価が変動していることがあります。こうした事情がある場合には、単に平均額を機械的に計算するだけでなく、なぜその時期に株価が大きく動いたのかという背景を理解しておくと、評価額の妥当性を確認しやすくなると考えられます。

権利落ち日をまたぐ場合の考え方

配当の権利確定日の翌営業日には、配当落ちによって株価が理論上下落することがあるとされています。相続開始日の前後で権利落ちが生じていた場合、権利落ち前の価格と権利落ち後の価格を単純に比較すると、あたかも株価が急落したかのように見えることがあります。 このような場合でも、月平均額の計算においては、その月に実際に成立した最終価格をそのまま用いるという考え方が基本になっているとされています。権利落ちの影響を個別に除外して計算し直すといった特別な調整は、通常は行われないといわれています。 配当落ちが評価額に与える影響が気になる場合には、権利確定日や権利落ち日がいつであったかを証券会社の資料等で確認したうえで、株価の推移を照らし合わせておくと、評価額の妥当性を検証しやすくなると考えられます。 なお、配当金そのものについては、相続開始日までに支払いが確定していたものの未収であった配当金(未収配当金)は、株式とは別に相続財産として計上する必要があるとされています。株式の評価額とは別建てで管理すべき財産であるため、混同しないよう注意が必要です。 配当の基準日と実際の支払日にはずれがあることが一般的で、基準日時点では権利が確定していても、相続開始日の時点でまだ支払われていない配当金が生じることがあります。このような未収配当金の有無についても、証券会社の取引明細や配当金計算書などを確認しておくと、相続財産の申告漏れを防ぎやすくなると考えられます。

増資・株式分割等があった場合の留意点

相続開始日の前後に、有償増資や株式分割、株式併合といった資本政策が行われていた場合、単純な株価の比較では実態を正しく把握できないことがあります。特に有償増資に伴う権利落ちがあった月については、権利落ち前の価格をそのまま平均額の計算に用いることが適切でないとされ、権利落ち後の期間だけを対象に計算し直すなどの調整が行われる場合があるといわれています。 株式分割や株式併合があった場合には、分割・併合の比率に応じて保有株数自体が変動するため、評価額の計算だけでなく、相続財産としての保有株数の確認にも注意が必要です。証券会社からの通知や取引報告書を確認し、相続開始日時点で実際に何株を保有していたかを正確に把握することが前提になります。 株式分割は近年、投資単位を引き下げて個人投資家が購入しやすくする目的で行われることが多いといわれています。分割によって保有株数が増える一方、1株あたりの株価は理論上下落するため、分割前後の株価を単純に比較すると、実際の資産価値が大きく減ったかのような誤解を生みやすい点にも注意が必要です。 こうした特殊な事情が重なった銘柄については、通常のケースよりも確認すべき資料が多くなる傾向があるため、早めに証券会社へ問い合わせるなどして必要な情報を集めておくことが望ましいと考えられます。 相続開始日の直前に、保有していた会社が別の会社に吸収合併されたり、株式交換によって別会社の株式に転換されたりしていた場合には、相続開始日時点で実際に保有していた銘柄そのものが、当初と異なるものになっている可能性があります。このような組織再編が行われていた場合には、まずどの銘柄をどれだけ保有していたのかという事実関係の確認から始める必要があり、通常のケースよりも作業量が増える傾向があるといわれています。

上場廃止・整理銘柄・監理銘柄など特殊なケース

被相続人が保有していた銘柄が、相続開始時点ですでに整理銘柄・監理銘柄に指定されていたり、上場廃止の手続きが進んでいたりする場合には、通常の上場株式とは異なる考え方で評価する必要が生じることがあるとされています。 整理銘柄・監理銘柄に指定された銘柄であっても、証券取引所での取引自体が継続している間は、基本的には通常の上場株式と同様に、相続開始日等の最終価格を用いて評価する考え方が維持されるといわれています。ただし、取引量が極端に少なくなっている場合や、値がつかない日が続いている場合には、平均額の算定に用いる取引日数の確保が難しくなることもあります。 一方、相続開始日の時点ですでに上場が廃止されていた場合には、通常の上場株式と同じ評価方法をそのまま用いることは難しくなるとされています。上場廃止直後は一定期間、証券会社を通じた取引を継続できる取扱いが設けられている場合もあるといわれており、状況に応じて評価の考え方も変わってくる可能性があります。このような特殊なケースに該当する可能性がある場合には、個別に専門的な確認を行うことが望ましいと考えられます。 被相続人が保有していた銘柄が整理銘柄・監理銘柄に指定されているかどうかは、証券取引所や証券会社が公表している情報から確認できるとされています。相続財産の洗い出しの段階で、保有銘柄の現在の状況を一通り確認しておくと、後になって特殊な評価が必要だと判明し、申告作業をやり直すといった事態を避けやすくなると考えられます。 複数の銘柄を保有していた場合、その大半は通常の上場株式として問題なく評価できることが多いものの、その中の一部だけが特殊な事情を抱えているというケースも起こり得ます。保有銘柄の一覧を作成する段階で、それぞれの銘柄について通常どおり評価できるのか、個別の確認が必要なのかをあらかじめ仕分けしておくと、作業全体の見通しが立てやすくなるといわれています。

取引が行われていない銘柄の評価の考え方

整理銘柄・監理銘柄に指定された銘柄の中には、投資家の様子見などにより、取引が成立しない日が続くケースもあるといわれています。このような場合、相続開始日や比較対象となる月において、そもそも比較すべき最終価格自体が十分に存在しないという事態が生じ得ます。 取引が極端に少ない銘柄については、直近で実際に取引が成立した日の価格を確認するなど、通常のケースとは異なる資料の集め方が必要になることがあります。証券会社に問い合わせても明確な回答が得られない場合には、証券取引所が公表している取引実績のデータを直接確認する必要が生じることもあるといわれています。 このように取引の少ない銘柄の評価は、通常の上場株式の評価に比べて手間がかかるだけでなく、判断に迷う点も出てきやすいといわれています。保有していた銘柄がこうした状況にあると判明した場合には、早めに専門的な確認を行い、必要な資料を計画的に集めておくことが望ましいと考えられます。 また、整理銘柄・監理銘柄に指定されている期間中であっても、その後に業績の回復や経営改善が認められれば指定が解除され、通常の上場株式に戻るケースもあるといわれています。相続開始時点でどのような状況にあったかを正確に押さえたうえで、その時点の状態に応じた評価方法を選ぶことが基本になると考えられます。 このような銘柄を保有していた場合には、評価額の算定に時間がかかることを見込んで、早めに準備を始めておくことが望ましいと考えられます。 また、整理銘柄・監理銘柄への指定は、業績の急激な悪化や不祥事の発覚など、何らかの事情を背景に行われることが多いといわれています。こうした事情がある銘柄を保有していた場合には、株価そのものの確認だけでなく、そもそもその銘柄が今後も上場を維持できるのかどうかという点についても、証券会社や公表情報を通じて状況を把握しておくことが望ましいと考えられます。

非上場株式の評価方法に準じる場合

相続開始日の時点で上場が廃止されていた銘柄については、通常の上場株式と全く同じ評価方法をそのまま用いることは難しくなるといわれています。もっとも、上場廃止直後は一定期間、証券会社を通じた取引自体は継続できる取扱い(店頭で管理される銘柄としての取扱いなど)が用意されている場合もあるとされており、上場廃止と同時に必ず非上場株式と全く同じ評価方法に切り替わるとは限らない点には注意が必要です。相続開始日の時点でその銘柄がどのような状態に置かれていたのかによって、確認すべき評価の考え方自体が変わってくると考えられます。 このように上場廃止に関連する評価は、通常の上場株式や、完全に非上場化した会社の株式のいずれとも異なる、中間的な取扱いになる可能性がある論点だといわれています。対象会社の状況や、証券会社からの案内内容を確認したうえで、該当する評価方法を慎重に見極める必要があるため、上場廃止となった銘柄を保有していたことが判明した場合には、早い段階で専門的な確認を行うことが望ましいと考えられます。 上場廃止に伴って、株式が金銭に交換されたり、非上場会社の株式に転換されたりするケースもあるといわれています。相続開始日の時点でどのような状態になっていたのかによって評価方法や必要な資料が変わってくるため、証券会社からの通知や、対象会社が公表しているお知らせなどを確認し、正確な状況把握に努めることが求められます。

相続税申告に向けた実務上の準備

上場株式の評価額を確定させるためには、まず被相続人がどの証券会社にどのような銘柄・数量を保有していたかを正確に把握する必要があります。取引残高報告書や特定口座年間取引報告書などの資料を手がかりに、口座の存在自体を確認するところから始めることになります。 評価額の算定にあたっては、証券会社によっては相続税評価用の残高証明書や、相続開始日を基準日とした価格情報を発行してくれる場合があるといわれています。こうした資料を活用できれば、4つの価額を自分で一から計算する手間を減らせる可能性があります。ただし、証券会社が発行する資料の内容が申告実務上そのまま利用できる形式になっているとは限らないため、内容を確認したうえで利用することが望ましいと考えられます。 保有銘柄が少数であれば自分で確認することも十分可能ですが、保有銘柄が多岐にわたる場合や、整理銘柄・上場廃止といった特殊な事情がある銘柄が含まれる場合には、確認すべき論点が多くなり、時間もかかりやすくなります。申告期限に余裕を持って対応できるよう、財産の洗い出しはできるだけ早い段階から始めておくことが望ましいと考えられます。 また、上場株式の評価額は、相続税の総額を左右する要素の一つにすぎず、不動産や預貯金、生命保険金など、他の財産の評価とあわせて全体を把握しておく必要があります。株式の評価だけに時間をかけすぎて、他の財産の確認や申告書類の準備が後回しになってしまわないよう、申告全体のスケジュールを意識しながら進めることが望ましいと考えられます。 評価額が確定した後は、相続税の申告書に評価額を反映させるとともに、名義変更の手続きを進める必要があります。証券会社ごとに必要書類や手続きの流れが異なる場合があるため、早めに問い合わせて準備を進めておくことが望ましいといわれています。 現在では株式は電子化(ペーパーレス化)されており、かつてのような紙の株券が存在しないことが一般的とされています。そのため、被相続人の自宅を探しても株券そのものが見つからないことも多く、保有していた株式の有無を確認するには、証券会社の口座情報や、証券保管振替機構を通じた情報開示請求といった手段を活用する必要がある場合もあるといわれています。 被相続人が長年取引を行っていなかった証券会社の口座が忘れられたまま残っているケースも見受けられるといわれています。古い取引報告書や、確定申告の際に使用した資料などが残っていれば、それらを手がかりに口座の有無を確認しておくと、財産の申告漏れを防ぎやすくなると考えられます。 特定口座で保有していた株式については、証券会社から毎年送付される特定口座年間取引報告書が有力な手がかりになるといわれています。何年分もの資料を保管している家庭は多くないかもしれませんが、直近数年分だけでも残っていれば、被相続人の取引状況を把握する手がかりとして役立つ可能性があります。

証券会社からの残高証明書・取引報告書の取り寄せ

被相続人が生前に取引していた証券会社が判明したら、相続開始日時点の残高証明書の発行を依頼することになります。残高証明書には、保有していた銘柄名、保有株数、口座の種類などが記載されているのが一般的とされており、評価額算定の出発点となる資料になります。 あわせて、相続開始日を基準日とした株価情報や、相続税評価に用いる4つの価額の一覧を発行してくれる証券会社もあるといわれています。ただし、すべての証券会社が同じ形式で対応しているわけではなく、対応の範囲や発行までにかかる期間も会社によって異なることがあるため、早めに問い合わせておくことが望ましいと考えられます。 また、被相続人がどの証券会社と取引していたか自体が判然としない場合には、自宅に届いていた郵便物や、預金口座の取引履歴に残る入出金の記録などを手がかりに調査を進める必要が生じることもあります。証券保管振替機構(通称「ほふり」)に対して開示請求を行うことで、被相続人がどの証券会社に口座を保有していたかを確認できる制度もあるといわれており、取引先の証券会社が分からない場合の調査手段の一つとして知られています。 開示請求の手続きには、被相続人の死亡を証明する戸籍謄本や、請求者が相続人であることを示す資料の提出が必要になるとされています。手続きの詳細や必要書類は制度の運営元によって定められているため、実際に利用する際には最新の案内を確認しながら進めることが望ましいと考えられます。

名義変更・相続手続きの流れ

相続税の評価額が確定し、遺産分割協議によって株式を取得する相続人が定まった後は、証券会社に対して名義変更の手続きを行う必要があります。一般的には、遺産分割協議書や戸籍謄本、相続人全員の印鑑証明書といった資料の提出を求められることが多いといわれています。 名義変更にあたっては、株式を取得する相続人が、被相続人と同じ証券会社に口座を持っていない場合、新たに口座を開設する必要が生じることもあります。証券会社によって手続きに必要な期間や書類が異なるため、相続税の申告期限を意識しながら、余裕を持って手続きを進めることが望ましいと考えられます。 名義変更の手続きが完了するまでには、証券会社への書類提出から実際の口座への反映まで、一定の期間を要することが一般的とされています。相続税の申告書には名義変更の完了を待たずに評価額を記載できますが、実際に株式を自由に売却・管理できるようになるのは名義変更が完了した後になるため、両者のタイミングが異なる点は理解しておくとよいでしょう。 なお、株式を相続後すぐに売却する予定がある場合には、取得費の計算や譲渡所得の申告など、相続税とは別の税務上の論点が関係してくることがあります。売却を検討している場合には、その点もあわせて確認しておくことが望ましいといわれています。 相続人が複数おり、株式を共有のまま保有し続けるのか、いったん代表者名義にしたうえで売却代金を分配するのかによっても、必要な手続きが変わってくることがあります。遺産分割協議書の中で、株式の帰属先や、売却する場合の代金の分配方法についてもあわせて取り決めておくと、後々の手続きがスムーズに進みやすいと考えられます。 株式を含む遺産分割の内容を決める際には、評価額だけでなく、その株式が今後値上がりを期待できるものなのか、あるいは業績が不安定で保有を続けるリスクが高いものなのかといった点も、相続人間で情報を共有しておくと、後々のトラブルを避けやすくなるといわれています。相続税の評価額はあくまで申告のための金額であり、将来の値動きを保証するものではない点も、あわせて理解しておくことが望ましいと考えられます。

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