[池袋] 死因贈与とは?遺贈との違いと相続税・登記の注意点
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query_builder 2026/09/16 相続税 不動産 節税

相続対策を考える中で、特定の相続人や、法律上の相続人にはあたらない人に確実に財産を渡したいと考え、「死因贈与」という方法を検討するケースがあります。死因贈与は、贈与をする人が亡くなったときに効力が生じる贈与契約であり、遺言による「遺贈」と似た機能を持つ制度とされています。ただし、当事者どうしの合意による契約としての性質を持つ点や、税務上の取扱いの一部が遺贈と異なる場合がある点など、遺贈とは異なる注意点も少なくありません。この記事では、死因贈与の基本的な仕組みから、遺贈との違い、撤回をめぐる考え方、相続税の課税関係、不動産を対象とする場合の登記・税金面の注意点、遺言と組み合わせる際に気を付けたい点、契約書を作成する際の実務上のポイントまで、押さえておきたい論点を整理して解説します。個別の家族構成や財産状況によって最適な方法は変わってくるため、実際に検討する際には、契約を結ぶ前の段階から専門家への相談も選択肢に入れておくとよいでしょう。また、死因贈与を検討すること自体が、家族の中で相続について話し合うきっかけになるという面もあり、単なる税務上の手段としてだけでなく、生前のコミュニケーションの機会として捉える見方もあります。

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死因贈与とはどのような制度か

死因贈与とは、贈与をする人(贈与者)と贈与を受ける人(受贈者)があらかじめ合意しておき、贈与者が亡くなったときにその効力が生じる贈与契約のことをいいます。生前に「自分が亡くなったら、この財産をあなたに渡す」という内容の契約を結んでおき、実際に贈与者が亡くなった時点で財産が受贈者に移転する、という仕組みとされています。通常の生前贈与が契約時点で財産の移転までが完了するのに対し、死因贈与は契約自体は生前に成立していても、財産が実際に移転するのは贈与者の死亡時である点に特徴があります。

民法第554条では、死因贈与についてその性質に反しない限り遺贈に関する規定を準用すると定められています。遺言によって財産を無償で譲る「遺贈」と似た結果をもたらす制度であることから、このような扱いになっているとされています。もっとも、どの範囲まで遺贈の規定が準用されるかについては解釈が分かれる部分もあるとされており、実務上は個別の事情に応じた検討が必要になる場合があります。

死因贈与という言葉になじみがなくても、「亡くなったらこの家を譲る」というような口約束を家族間で交わした経験がある人は少なくないかもしれません。しかし、口約束のままでは、贈与者が亡くなった後に「そのような約束は聞いていない」といった行き違いが生じやすく、他の相続人との間でトラブルに発展することもあります。そのため、死因贈与を実際に活用する場合には、契約の内容を書面に残しておくことが重要だと考えられています。

遺言による遺贈と死因贈与は、いずれも「無償で財産を渡す」という点では共通していますが、成立の仕方や後から内容を変更する際の考え方など、細部の取扱いに違いがあります。どちらの制度を利用するにしても、財産を渡す側と受け取る側、そして周囲の家族それぞれの立場から見てどのような影響があるのかを、あらかじめ整理しておくことが大切です。

また、死因贈与は契約であることから、内容によっては条件や期限を付けることも考えられます。たとえば「同居を続けている間は」といった条件を付ける例も想定されますが、条件の内容が曖昧だと、贈与者の死後に条件が満たされていたかどうかをめぐって解釈が分かれる可能性もあるため、条件を付ける場合には特に具体的な言葉で定めておくことが望ましいとされています。

遺言を作成するには、自筆証書遺言や公正証書遺言など、法律で定められた方式を守る必要があり、方式に不備があると遺言自体が無効になってしまうおそれがあります。死因贈与は契約であるため、遺言のような厳格な方式までは求められていないと考えられていますが、その分、契約の成立時期や内容をめぐって後から証明が難しくなる場面もあり得ます。方式が緩やかである裏返しとして、書面をきちんと整えておくことの重要性がより高まるといえるでしょう。

死因贈与を検討する家庭では、財産を渡す相手だけでなく、その財産が今後どのように使われることを望むのかという点まで話し合っておくケースもあります。単に財産を移すだけでなく、家族としての意向をあわせて共有しておくことが、円満な承継につながると考えられます。

このように、死因贈与は仕組みとしてはシンプルに見えても、実際に活用する場面では検討すべき点が多岐にわたります。基本的な考え方を理解したうえで、自分たちの状況に当てはめて具体的に検討していくことが大切です。

死因贈与の成立には受贈者との合意が必要

死因贈与は「契約」であるため、贈与者が一方的に決められるものではなく、受贈者となる人との間で合意が成立していることが前提になります。口頭でも契約自体は成立し得ると考えられていますが、後になって「そのような約束はしていない」といった争いが生じることを避けるため、契約書を作成しておくことが望ましいとされています。

特に、対象となる財産の範囲や、条件を付ける場合の内容について、当事者双方の認識にずれがないよう、できる限り具体的な言葉で書面に残しておくことが勧められます。口約束だけに頼ってしまうと、贈与者の死後に受贈者以外の相続人がその存在を把握できず、遺産分割の場面で混乱を招く可能性もあります。

合意の内容を書面化する際には、いつ、誰と誰の間で、どのような財産について合意したのかを明確にしておくと、後になって契約の存在自体を疑われるリスクを減らせると考えられます。日付や署名・押印を残しておくことも、契約の成立時期を明らかにするうえで意味を持つと考えられます。

契約書は複数部作成し、贈与者と受贈者それぞれが保管しておくと、片方の書面が紛失した場合にも内容を確認できるという利点があります。

契約の当事者以外に、内容を把握している第三者(専門家など)がいると、後日の紛争を防ぐうえで一定の安心材料になると考えられます。

可能であれば、契約書の写しを信頼できる専門家にも預けておくと、紛失時のリスクをさらに減らすことができます。

遺贈は遺言による単独行為である点が異なる

これに対して遺贈は、遺言を書く人が単独で行う法律行為であり、財産を受け取る人(受遺者)の同意は必要ないとされています。受遺者は、自分の意思で遺贈を放棄することもできます。死因贈与が受贈者との合意を前提とする契約であるのに対し、遺贈は遺言者の意思だけで成立する点が、両者の基本的な違いの一つとされています。

この違いから、遺贈は遺言者が単独で内容を決められる自由度がある一方、死因贈与は受贈者との事前のすり合わせが必要になる分、実際に財産を受け取ってもらえるかどうかを生前に確認しておける、という側面もあると考えられています。どちらの方法が向いているかは、財産の内容や家族関係によって異なってきます。

受遺者に財産を受け取る意思がないまま遺贈をしてしまうと、放棄されて結局意図した承継が実現しない可能性もあるため、事前に本人の意向を確認しておくことは、遺贈を選ぶ場合であっても意味のある準備だといえるでしょう。受遺者は、贈与者の死後に遺贈の内容を知った時点で承諾や放棄を判断できるとされています。

受遺者が遺贈を放棄した場合、その財産は他の相続人に帰属することになるため、放棄の可能性も踏まえて全体の財産配分を考えておくことが望ましいといえます。

受遺者が贈与者より先に亡くなった場合の扱いについても、契約や遺言の中であらかじめ触れておくと、想定外の事態に備えやすくなります。

受遺者の生前の意向確認は必須ではありませんが、確認しておくことでより確実な承継につながりやすいといえます。

死因贈与と遺贈における撤回の考え方

遺言による遺贈は、遺言者が生きている間であれば、原則としていつでも書き直したり撤回したりできるとされています。前に書いた遺言の内容と異なる遺言を新たに作成すれば、抵触する部分について前の遺言を撤回したものとみなされる扱いになっています。財産状況や家族関係の変化に応じて、何度でも内容を見直せる点は遺言の大きな特徴といえます。

死因贈与についても、贈与者の意思によって撤回できる場合が多いと考えられていますが、負担付きの死因贈与など、受贈者がすでに一定の負担を履行しているような事情がある場合には、撤回が制限される可能性があるとされています。死因贈与への遺言規定の準用範囲については、学説上も見解が分かれている部分があるとされており、個別の事案ごとに判断が異なり得る点に注意が必要です。

このように、死因贈与は契約である以上、遺言のように一方的に自由に撤回できるとは限らない場合がある、という点は遺贈との重要な違いの一つです。将来、事情の変化によって内容を見直したくなる可能性も踏まえ、契約を結ぶ段階からどのような場合に撤回できるのかを話し合っておくことも一つの工夫と考えられます。

とりわけ、贈与者と受贈者の関係性が将来にわたって変わらないとは限りません。介護を前提とした負担付きの契約などでは、関係が悪化した場合にどう対応するかについても、あらかじめ契約書の中で触れておくことで、双方にとって納得感のある取り決めになりやすいと考えられます。

裁判例では、負担のない死因贈与については遺言の撤回に関する規定に従って撤回できるとする考え方が示される一方、受贈者がすでに負担を履行しているなど特段の事情がある負担付死因贈与については、贈与者の一方的な意思による撤回が制限されるとする考え方も示されているとされています。どちらの考え方が当てはまるかは契約の内容や履行状況によって変わってくるため、断定的に判断せず、個別の事情に即して検討することが望ましいといえます。

実務上は、負担付死因贈与かどうかによって撤回の可否が大きく左右されるとされているため、契約書を作成する段階で、負担を求めるのか、それとも無条件の贈与とするのかを明確にしておくことが重要です。負担の有無があいまいなまま契約を結んでしまうと、贈与者の死後になってから、撤回の可否そのものが争いの種になってしまう可能性も考えられます。

贈与者の判断能力が低下してから契約内容を見直そうとしても、有効に手続きを進められない可能性があります。将来の判断能力の低下も見据え、比較的早い段階で契約内容を固めておくことが望ましいと考えられます。

撤回をめぐる考え方は、契約の内容や当事者の関係性によって結論が変わり得る、判断の難しい分野の一つとされています。断定的な理解のまま進めるのではなく、専門家の見解も踏まえながら慎重に対応することが望ましいでしょう。

負担付死因贈与の注意点

「介護をしてくれたら自宅を渡す」といった、受贈者に一定の負担を求める形の死因贈与を「負担付死因贈与」と呼ぶことがあります。受贈者がすでに負担を履行済み、あるいは履行の途中である場合には、贈与者側の一方的な事情による撤回が難しくなる可能性があるとされ、契約内容や履行状況の記録を残しておくことが望ましいと考えられます。

負担の内容や程度についての認識が贈与者と受贈者との間でずれていると、贈与者の死後に「約束の負担を果たしていない」といった主張がなされ、他の相続人との間で争いになることもあり得ます。負担の具体的な内容や期間を、できる限り明確に取り決めておくことが重要です。

介護の記録や、負担にかかった費用の領収書などを残しておくと、後になって履行の有無や程度が問題になった場合の裏付け資料として役立つと考えられます。

負担の履行状況を客観的に確認できるよう、日誌や記録をつけておく、定期的に写真を残しておくといった工夫も、後日の争いを避けるうえで役立つと考えられます。

負担の程度が贈与財産の価値と比べて著しく軽い、あるいは重いといった事情も、後日の評価や争いに影響し得る点として意識しておくとよいでしょう。

負担の内容を数値や期間で示せる場合には、できるだけ具体的な基準を設けておくと解釈の余地が狭まります。

撤回に関するトラブルを避けるための工夫

死因贈与を検討する際は、想定される撤回の可能性や条件についてもあらかじめ契約書に記載しておくことで、後日の争いを避けやすくなると考えられます。撤回の可否は個別の事情によって判断が分かれ得る難しい論点とされているため、判断に迷う場合は、契約締結の段階から専門家に相談しておくことが望ましいでしょう。

また、契約を結んだ後に贈与者の気持ちが変わることも十分に考えられます。そうした場合に備えて、見直しの手続きや条件についても、契約時点であらかじめ想定しておくと、後々の混乱を減らすことにつながると考えられます。

契約書の中に、どのような事情が生じた場合に撤回を認めるのかという条項を設けておく例もあり、当事者双方が納得できる形を事前に作っておくことが望ましいといえます。

撤回を認める条件を契約書に定めておく場合には、その条件があいまいにならないよう、できるだけ具体的な事情を想定して記載しておくことが望ましいでしょう。

贈与者本人の意思で撤回する場合であっても、受贈者に事前に説明しておくことで、無用なトラブルを避けやすくなると考えられます。

撤回の条件を定める際には、双方が納得できる基準を話し合いのうえで決めておくことが望ましいといえます。

死因贈与によって取得した財産の相続税上の扱い

死因贈与によって取得した財産は、贈与税ではなく相続税の課税対象になるとされています。死因贈与は贈与者の死亡によって効力が生じる点で遺贈と共通することから、相続税の取扱い上も遺贈と同様に扱われる整理になっているためです。相続税の申告が必要かどうかを判断する際には、死因贈与によって取得した財産の価額も、他の相続財産や遺贈された財産と合わせて基礎控除額と比較することになります。

また、遺産分割の対象になるかどうかという点では、死因贈与によって特定の財産を受け取ることが契約で定まっている場合、その財産は原則として遺産分割協議の対象から外れると考えられています。ただし、他の相続人の遺留分を侵害するような内容になっている場合には、遺留分侵害額請求の対象となり得る点に注意が必要です。

財産の評価方法自体は、相続や遺贈によって取得した場合と基本的に同じ考え方に基づいて行われるとされています。不動産であれば路線価や倍率方式などによる評価、上場株式であれば取引相場に基づく評価というように、財産の種類ごとに定められた評価方法にしたがって申告書に反映させることになります。

死因贈与によって受け取った財産だけを見て相続税の要否を判断するのではなく、被相続人が持っていた財産全体を漏れなく把握したうえで、基礎控除額との比較や税額の計算を行う必要がある点にも注意しておきたいところです。

なお、死因贈与によって取得した財産は、死亡保険金のような「みなし相続財産」とは異なり、契約の対象となった本来の財産そのものとして扱われると考えられています。死亡保険金について認められている非課税枠のような特別な取扱いは、死因贈与によって取得した財産には及ばないと考えられており、この点は生命保険を活用した対策との違いとして意識しておく必要があります。

相続税の申告にあたっては、死因贈与によって取得した財産が申告書のどの区分に記載されるかについても、他の遺贈財産と同様の整理になると考えられています。財産の種類ごとに評価方法や記載箇所が異なるため、死因贈与の対象財産についても、通常の相続財産と同じ手順で漏れなく評価・記載していくことが求められます。

相続税の申告書を作成する段階では、死因贈与によって取得した財産について、契約書の写しなど取得の経緯を示す資料もあわせて保管しておくと、申告内容の裏付けとして役立つと考えられます。

相続税の計算においては、死因贈与によって取得した財産の評価額を正確に算定することが、適正な申告の前提になります。財産の種類によって評価方法が異なるため、漏れなく確認しておく必要があります。

相続税額の2割加算との関係

相続税には、財産を取得した人が被相続人の一親等の血族及び配偶者以外である場合に、相続税額が2割加算される制度があります。死因贈与によって財産を取得した人が、被相続人の兄弟姉妹や、血縁関係のない内縁の配偶者などである場合には、この2割加算の対象になり得ると考えられるため、税額を見積もる際にはあらかじめ確認しておく必要があります。

誰に死因贈与をするかによって、最終的な税負担が変わってくる可能性があるという点は、契約内容を検討する段階から意識しておきたいポイントです。特に、法定相続人ではない人に財産を渡そうとする場合には、この点をあらかじめ試算しておくことが望ましいでしょう。

2割加算の対象になるかどうかは、受贈者が被相続人とどのような続柄にあるかによって決まるため、契約を結ぶ相手が誰であるかを踏まえて、事前に確認しておくことが大切です。

2割加算の対象になるかどうかは受贈者ごとに判断されるため、複数の人に死因贈与をする場合には、それぞれについて確認しておく必要があります。

2割加算に該当するかどうかで最終的な手取り額が変わってくるため、契約段階から大まかな税額のイメージを持っておくと安心です。

受贈者ごとに2割加算の該非を整理した一覧を作っておくと、税額の見通しを立てやすくなります。

相続放棄との関係

死因贈与によって財産を受け取る人が、他の財産については相続放棄をしたいと考える場合、死因贈与で受け取る財産と相続放棄の関係がどのように整理されるかは、契約の内容や財産の性質によって判断が分かれ得る難しい論点とされています。判断に迷う場合は、早めに専門家に相談することが望ましいと考えられます。

相続放棄をすると、被相続人の債務を引き継がずに済むという利点がありますが、死因贈与によって受け取る財産の扱いが不明確なまま手続きを進めてしまうと、後になって想定外の課税関係が生じる可能性も考えられます。財産と債務の全体像を確認したうえで検討することが大切です。

特に、被相続人に多額の債務がある可能性がある場合には、死因贈与の対象財産だけにとらわれず、財産全体の状況を確認してから方針を決めることが望ましいといえます。

相続放棄の期限は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内とされており、この期間内に財産と債務の全体像を把握したうえで判断する必要があります。死因贈与の内容が複雑な場合や、債務の有無がはっきりしない場合には、期限に間に合うよう早めに専門家へ相談しておくことが望ましいでしょう。

死因贈与が活用されることの多い場面

死因贈与は、遺言よりも柔軟な取り決めがしやすい面があることから、いくつかの場面で活用が検討されることがあります。たとえば、法律上の相続人にはあたらない内縁の配偶者や事実婚のパートナーに財産を残したいと考える場合、遺言による遺贈のほかに、死因贈与という方法が選択肢になり得ます。

また、特定の推定相続人に対して、特定の不動産や事業用資産を確実に承継させたいと考える場合にも、死因贈与契約を結んでおくことで、当事者双方が内容を確認し合った形で取り決めを残せるという面があるとされています。受贈者となる本人が生前から内容を把握しているため、遺言のように贈与者が一人で決めて後から知らされる形と比べ、認識のずれが生じにくいという指摘もあります。

もっとも、家族信託や生前贈与など、財産を計画的に承継させるための方法は他にも存在します。死因贈与はその中の一つの選択肢に過ぎず、財産の種類や家族構成、税負担などを総合的に踏まえたうえで、どの方法が適しているかを見極めることが大切だと考えられます。

財産を渡す目的や、実現したい時期によっても向いている方法は変わってきます。今すぐ財産を移転させたいのであれば生前贈与、亡くなった後に確実に渡したいのであれば死因贈与や遺贈というように、目的に応じて手段を使い分ける視点が役立つと考えられます。

このほか、ペットの世話を条件として財産を渡すことを希望する場合に、負担付きの死因贈与が話題になることもあります。ペット自体に財産を残すことはできないため、世話を引き受けてくれる人との間で、飼育を条件とした負担付死因贈与や負担付遺贈を検討する例があるとされていますが、負担の履行状況をどのように確認するかなど、実務上工夫が求められる点も多いといえます。

死因贈与を選択肢として検討する家庭には共通点があるわけではありませんが、相続人以外の人に財産を残したい、特定の財産を特定の人に確実に渡したいといった、具体的な希望がある場合に活用が検討されやすい傾向があるといえます。いずれの場面でも、他の相続人との関係やトラブルの可能性を踏まえたうえで、契約内容を組み立てることが欠かせません。

死因贈与を選ぶか、遺言による遺贈を選ぶか、あるいは生前贈与を選ぶかは、いずれか一つに限られるものではなく、財産の種類ごとに使い分けることも可能です。財産全体を俯瞰したうえで、それぞれの財産にふさわしい承継方法を組み合わせて検討するとよいでしょう。

活用の場面を検討する際には、目先の希望だけでなく、数年先、数十年先の家族構成や財産状況の変化も視野に入れておくことが、長期的に見て望ましい選択につながると考えられます。

たとえば、再婚によって配偶者に連れ子がいる家庭では、その連れ子は養子縁組をしない限り、当然には被相続人の法定相続人にはなりません。実の子どもと同じように財産を残したいと考える場合にも、死因贈与や遺贈が選択肢になり得ますが、実の子どもとの間で財産配分のバランスをどのように取るかが課題になりやすいとされ、家族全体の理解を得ながら進めることが望ましいと考えられます。

内縁関係にあるパートナーへの財産承継

法律上の婚姻関係にないパートナーは、法定相続人にはあたらないため、何も対策をしなければ相手の財産を相続することはできません。死因贈与や遺贈によってあらかじめ財産を渡す取り決めをしておくことで、内縁のパートナーに財産を承継させることが可能になると考えられていますが、いずれの方法でも、他の法定相続人の遺留分に配慮する必要があります。

内縁関係の場合、他の親族との関係が良好でないケースもあり、財産の承継をめぐって争いが生じやすい面もあります。契約内容を決める際には、遺留分の試算も含めて慎重に検討しておくことが望ましいでしょう。

また、内縁のパートナーが死因贈与によって財産を取得した場合には、前述の2割加算の対象になり得る点も踏まえて、税負担まで含めた計画を立てておくことが望ましいといえます。

内縁関係の期間や生活の実態によっても、周囲の家族の受け止め方が変わってくることがあるため、日頃から関係性を丁寧に説明しておくことも意味を持つと考えられます。

内縁関係にある場合、住民票の続柄や生活実態を示す資料を残しておくことが、後日の説明に役立つ場合もあると考えられます。

内縁関係の実態を示す資料は、生前から少しずつ整理しておくと、いざというときに慌てずに済みます。

事業を継ぐ推定相続人への資産の承継

個人で事業を営んでいる場合、事業を継ぐ予定の子どもに事業用の不動産や設備を確実に引き継がせたいと考えることがあります。このような場合に死因贈与契約を活用する例もあるとされていますが、他の相続人との間で遺産分割のバランスが崩れないよう、生前から家族間で状況を共有しておくことが望ましいと考えられます。

事業用資産は分割しにくい性質を持つことが多く、後継者以外の相続人にどのように配慮するかが課題になりがちです。死因贈与を活用する場合であっても、事業承継全体の計画の中でどう位置づけるかを整理しておくことが重要です。

後継者に事業用資産を集中させる分、他の相続人には別の財産を用意するなど、全体のバランスを意識した設計が求められる場面も多いといえるでしょう。

事業用資産を後継者に集中させる場合には、事業の継続に必要な範囲を見極めたうえで、対象財産を過不足なく特定しておくことが望ましいといえます。

後継者以外の相続人にも事業の状況を説明しておくことで、承継の必要性についての理解を得やすくなると考えられます。

事業用資産の承継計画は、後継者本人の意向も確認しながら進めることが望ましいと考えられます。

不動産を死因贈与した場合の登記手続き

死因贈与の対象に不動産が含まれる場合、贈与者の生前に「始期付所有権移転仮登記」という形で仮登記をしておくことがあるとされています。これにより、贈与者の死亡前に受贈者以外の第三者へ不動産が処分されるリスクなどに備える意味合いがあると考えられています。贈与者が亡くなった後には、仮登記から本登記への手続きを行うことになります。

実際の登記手続きに際しては、死因贈与契約書の内容や執行者の有無によって必要となる書類が変わってくるため、契約を結ぶ段階から、将来の登記手続きを見据えて準備しておくことが望ましいとされています。仮登記の手続きには贈与者の協力が必要になるため、契約締結と同じタイミングで進めておくケースが多いようです。

贈与者の死亡後、本登記の手続きを進めるにあたっては、他の相続人全員の関与が必要になる場合と、執行者の定めによって単独で進められる場合とがあり、契約書の内容によって実務上の負担が変わってくる点にも留意が必要です。

仮登記を行っておくかどうかは、財産の重要性や、他の家族との関係性なども踏まえて判断することになります。手続きの手間と、将来のトラブル防止のメリットを比較しながら検討するとよいでしょう。

また、死因贈与には遺贈に関する規定が準用されるとされていることから、受贈者が贈与者よりも先に亡くなった場合には、その死因贈与契約自体の効力が失われると考えられています。契約を結んだ後に受贈者が先に亡くなるという事態も想定し、そのような場合にどうするかを契約書の中で触れておくかどうかも、検討しておきたいポイントの一つです。

仮登記や本登記の手続きにかかる期間や必要書類は、対象となる不動産の状況や相続人の数によっても変わってきます。手続きが長引くと、その間の不動産の管理や固定資産税の負担をどう扱うかといった実務上の問題も生じ得るため、契約の段階からある程度手続きの見通しを立てておくことが望ましいと考えられます。

仮登記をしないまま死因贈与契約だけを結んでおくケースもありますが、その場合は贈与者の死亡後に速やかに本登記の手続きに移れるよう、契約書や必要書類をあらかじめ整えておくことが望ましいと考えられます。

登記手続きは、専門的な知識が求められる分野でもあるため、契約内容を固める段階から司法書士など専門家に関わってもらっておくと、実際の手続きがより円滑に進みやすくなると考えられます。

また、対象財産が農地である場合には、農地法上の許可の要否についても別途確認が必要になることがあるとされています。相続によって農地を取得する場合と異なり、死因贈与は契約による取得と位置づけられるため、通常の相続とは異なる手続きが必要になる可能性がある点にも留意しておくとよいでしょう。

死因贈与執行者を定めておく意味

死因贈与契約書の中で、契約内容を実現するための「執行者」をあらかじめ定めておくことができるとされています。執行者を定めておくと、贈与者が亡くなった後の登記手続き等を、他の相続人の関与なしに進めやすくなる面があると考えられ、手続きの円滑化という観点から活用されることがあります。

執行者を定めていない場合、本登記の手続きに他の相続人全員の協力が必要になることがあり、関係者間で意見が対立していると手続きが滞ってしまう可能性もあります。そうした事態を避けるためにも、契約の段階で執行者を指定しておくことが実務上有効とされています。

執行者には受贈者本人がなる場合もあれば、第三者に依頼する場合もあり、どちらが適しているかは家族関係や財産の内容によって変わってきます。遺言についても別途遺言執行者を定めている場合には、両者の役割が重ならないよう整理しておくことが望ましいと考えられます。

執行者を第三者に依頼する場合には、あらかじめ本人の承諾を得ておくとともに、報酬の有無や範囲についても契約書に明記しておくとよいでしょう。

執行者の権限の範囲についても、契約書の中でできるだけ具体的に定めておくと、実際の手続きで迷いが生じにくくなります。

執行者への依頼内容は書面で明確にしておくと、後日の行き違いを防ぎやすくなります。

契約書を公正証書にしておくことの意味

死因贈与契約書は私文書のままでも成立し得ると考えられていますが、公正証書として作成しておくことで、契約の存在や内容についての証明力が高まり、後日の争いを避けやすくなるとされています。特に不動産のように価値の大きい財産を対象とする場合には、公正証書化を検討する意味は大きいといえるでしょう。

公正証書によって契約を残しておくと、贈与者の意思を確認した公証人が関与している分、後になって契約の有効性そのものが争われるリスクを抑えやすいという利点もあると考えられています。手続きの手間はかかりますが、将来のトラブル防止という観点からは検討する価値があるといえます。

公正証書を作成する際には、あわせて執行者の指定や、負担付きとする場合の条件についても明確に盛り込んでおくと、後の手続きがより円滑に進みやすくなります。

公正証書の作成には公証人との事前の打ち合わせや必要書類の準備が必要になるため、時間に余裕を持って進めることが望ましいと考えられます。

公正証書の原本は公証役場に保管されるため、契約書を紛失した場合でも内容を確認できるという安心感もあります。

公正証書化にかかる費用や日数についても、事前に公証役場へ確認しておくと計画が立てやすくなります。

登録免許税・不動産取得税における注意点

不動産の名義を移すためには登録免許税がかかりますが、相続人が相続によって不動産を取得する場合の税率と、贈与や遺贈によって取得する場合の税率は異なる取扱いになっているとされています。死因贈与は法律上「贈与」の一種と整理されるため、たとえ受贈者が法定相続人であったとしても、相続そのものによる取得と比べて登録免許税の負担が重くなる場合があると指摘されています。

また、不動産取得税についても、相続によって不動産を取得した場合は非課税とされる一方、死因贈与によって取得した場合には課税対象になり得るとされ、遺贈の場合と比べても取扱いに差が生じる可能性があります。このように、死因贈与は相続税そのものについては遺贈と同様に扱われるとされる一方で、不動産に関連する登記関係の税金では相続や遺贈と異なる負担になり得る点は、見落とされやすい注意点といえます。

財産全体としてどの程度の税負担になるのかを把握するためには、相続税だけでなく、こうした登記関連の税金も含めたトータルでの試算をしておくことが大切です。死因贈与によって特定の不動産を渡す計画を立てる場合には、あらかじめこれらの税負担も踏まえて検討しておくことをおすすめします。

相続税の負担だけを見て死因贈与を選んでしまうと、登記関連の税金まで含めた総費用では、他の方法よりも負担が大きくなってしまう可能性もあります。全体のコストを比較したうえで、財産の承継方法を選ぶことが望ましいといえるでしょう。

なお、小規模宅地等の特例のように、相続又は遺贈によって財産を取得したことを前提とする各種の特例についても、死因贈与は相続税法上遺贈と同様に扱われると考えられていますが、居住や事業の継続といった個々の特例ごとの要件を実際に満たしているかどうかは、契約の内容や取得後の状況によって個別に確認する必要があります。

たとえば、将来その不動産を売却する予定がある場合には、取得時の登録免許税や不動産取得税に加えて、売却時の譲渡所得課税まで見据えて検討する必要があります。承継方法によって取得費の考え方が変わってくる可能性もあるため、不動産を売却する見込みがあるかどうかも含めて、専門家と相談しながら承継方法を選ぶことが望ましいといえるでしょう。

相続人が財産を引き継ぐ場合との比較

同じ相続人が同じ不動産を引き継ぐ場合であっても、それが遺産分割や遺贈によるものか、死因贈与によるものかによって、登記や税金の負担が変わってくる可能性があります。財産の承継方法を選ぶ際には、相続税以外にこうした登記関連の税負担も含めて比較検討することが望ましいと考えられます。

特定の不動産を特定の相続人に渡したいという目的だけであれば、遺言による遺贈でも死因贈与でも実現できる場合が多いため、税負担の違いも踏まえたうえで、どちらの方法がより適しているかを比較しておくとよいでしょう。

遺言書の作成には契約のような相手方の合意が不要という利点もあるため、税負担の差とあわせて、手続き面での利便性も比較材料の一つになります。

複数の不動産を対象とする場合には、それぞれの評価額や税負担を個別に試算しておくと、全体像を把握しやすくなると考えられます。

複数の相続方法を比較する際には、税負担だけでなく、手続きにかかる時間や手間も含めて検討すると、より実情に即した判断がしやすくなります。

比較検討の結果は書面やメモに残しておくと、後で見直す際の参考になります。

具体的な税額は専門家への確認が望ましい

登録免許税や不動産取得税の具体的な取扱いは、対象となる不動産の種類や契約の内容によって変わり得るため、この記事で触れた内容はあくまで一般的な考え方の整理にとどまります。実際に死因贈与を検討する際には、税理士や司法書士など専門家に個別の確認を依頼することが望ましいでしょう。

不動産の評価額や所在地によって税負担の絶対額は大きく変わってくるため、具体的な数字をもとに判断したい場合には、早い段階で専門家に相談し、複数の承継方法を比較したうえで方針を決めることをおすすめします。

登記に必要な書類の準備や手続きの流れについても、司法書士に早めに相談しておくことで、実際に手続きを行う段階になって慌てずに済むと考えられます。

専門家に相談する際には、対象となる不動産の登記事項証明書や固定資産税の課税明細書なども準備しておくと、具体的な試算を受けやすくなります。

試算の結果次第では、死因贈与以外の方法を選んだ方が総合的な負担が軽くなる場合もあるため、決めつけずに比較検討することが大切です。

専門家への相談は一度きりにせず、状況の変化に応じて複数回行うことも検討するとよいでしょう。

死因贈与契約書を作成する際の実務上の注意点

死因贈与契約を結ぶ際には、対象となる財産を具体的に特定できるように記載しておくことが重要とされています。不動産であれば所在地や地番などを明記し、預貯金であれば金融機関名や口座の種類を明らかにしておくなど、後になって対象財産が曖昧にならないようにする工夫が求められます。

また、負担付きの死因贈与とする場合には、受贈者に求める負担の内容(介護の程度や期間など)をできる限り具体的に定めておくことで、後日「負担を果たしたかどうか」をめぐる争いを避けやすくなると考えられます。曖昧な表現のままにしておくと、贈与者の死後に解釈をめぐって関係者の間で対立が生じることもあります。

契約書を作成した後は、内容を実現するために必要な書類とあわせて、家族の誰かが所在を把握できる場所に保管しておくことも大切です。せっかく契約を結んでいても、契約書の存在が誰にも知られないままでは、実現されずに終わってしまう可能性もあります。

契約の内容を定期的に見直す機会を設けておくことも一つの工夫です。財産状況や家族関係は時間とともに変化することがあるため、一度作成した契約書をそのままにせず、必要に応じて内容を更新することも検討しておくとよいでしょう。

加えて、契約書の中で贈与者が亡くなったことをどのように確認するか、また受贈者が誰にどのように連絡すればよいかといった、実際の手続きの流れについても触れておくと、いざというときに慌てずに対応しやすくなると考えられます。

契約書の内容を検討する段階では、対象財産や負担の内容だけでなく、契約書自体をどのように保管し、誰が贈与者の死亡をどのように把握するのかといった、実際の運用面についても具体的に取り決めておくと、いざというときに手続きがスムーズに進みやすくなると考えられます。

契約書の文言を専門家に確認してもらう際には、想定しているケース(受贈者が先に亡くなった場合や、財産の一部が失われた場合など)についても具体的に相談しておくと、より実情に即した内容に仕上げやすくなります。

契約書の作成にあたっては、雛形をそのまま使うのではなく、家族の状況や財産の内容に応じて、必要な条項を過不足なく盛り込んでいくことが望ましいと考えられます。

あわせて、贈与者が亡くなったことをどのように把握し、誰にどう連絡するかという手順を契約書に記載しておくと、実際に相続が発生した際、死亡診断書の写しなどの必要書類をそろえながら落ち着いて手続きを進めやすくなると考えられます。

他の相続人との関係にも配慮する

死因贈与によって特定の相続人に多くの財産が渡る内容になっている場合、他の相続人から見ると不公平感が生じ、遺留分侵害額請求などのトラブルに発展する可能性があります。契約を結ぶ段階で、他の相続人の遺留分にも配慮した内容にしておくことが、後々のトラブルを避けるうえで重要と考えられます。

可能であれば、生前のうちに家族全員が集まる機会などを利用して、大まかな方針を共有しておくことも、後日の紛争を防ぐ一つの方法として考えられます。

不公平感を和らげるために、死因贈与の対象にならない相続人に対しては別の形で配慮する(たとえば生前贈与や遺言による別途の遺贈など)という工夫をする例もあります。

契約書に将来の見直しを想定した条項を設けておくと、家族構成や財産状況が変化した際にも、比較的スムーズに内容を更新しやすくなると考えられます。

他の相続人への配慮を検討する際には、財産だけでなく、生前の関わり方や気持ちの面にも目を向けることが、円満な相続につながると考えられます。

遺留分への配慮は、対象財産の価値が大きいほど重要性が増す点にも注意が必要です。

遺言と併用する場合の記載の整合性

死因贈与契約と遺言を両方作成する場合には、それぞれの内容が矛盾しないように注意する必要があります。同じ財産について死因贈与と遺言で異なる相手に譲る内容になっていると、後から作成された意思表示が優先されるといった整理がされる可能性があり、かえって混乱を招くこともあるため、内容の整合性を確認しておくことが望ましいとされています。

財産ごとに、死因贈与で対応する部分と遺言で対応する部分を切り分けて整理しておくと、内容の重複や矛盾を防ぎやすくなると考えられます。

契約や遺言の内容を変更する際には、その都度、関連する他の書類との整合性も見直しておくことが、将来のトラブルを防ぐうえで役立つと考えられます。

遺言と死因贈与の内容を照らし合わせる際には、専門家に両方の書類を確認してもらい、矛盾がないかを点検してもらうことも有効な方法といえます。

契約や遺言の内容を見直した際には、その都度、家族の中で状況を共有しておくことも、後日の混乱を防ぐうえで役立つと考えられます。

整合性の確認は、契約や遺言を変更するたびに行う習慣をつけておくと安心です。

死因贈与を検討する際に専門家へ相談したいポイント

死因贈与は、遺言による遺贈と比べて柔軟に取り決めができる面がある一方で、税務上の細かな取扱いや、他の相続人との関係で注意すべき点が少なくない制度です。特に、相続税の申告実務においては、死因贈与によって取得した財産をどのように評価し、他の相続財産と合わせて申告するかという点を正確に整理しておく必要があります。

死因贈与を選択肢として検討する場合には、契約内容を決める前の段階から、相続税や登記関係の税金も含めた見通しを専門家に確認しておくことで、後になって想定外の負担が生じる事態を避けやすくなると考えられます。家族間で認識のずれが生じないよう、生前のうちに関係者で状況を共有しておくことも大切なポイントといえるでしょう。

財産の内容や家族構成は一人ひとり異なるため、死因贈与が向いているかどうかも状況によって変わってきます。遺言や生前贈与、家族信託など他の方法とあわせて、総合的な視点から検討することが望ましいと考えられます。

専門家に相談する際には、財産の一覧や家族関係図をあらかじめ整理しておくと、より具体的な助言を得やすくなると考えられます。早めに動き出すことで、選べる選択肢の幅も広がりやすくなるでしょう。

また、死因贈与によって渡した財産も、遺留分を計算するための基礎財産に算入されると考えられています。相続開始の時点で効力が生じる点で遺贈と同様に扱われるため、生前贈与のように一定期間より前のものであれば基礎財産に含めなくてよい、といった扱いにはならないと考えられており、遺留分を試算する際には死因贈与の対象財産も含めて計算する必要がある点に注意が必要です。

最終的にどの方法を選ぶにしても、家族全体が納得できる形を目指し、必要に応じて専門家の力を借りながら、時間をかけて検討していくことが望ましいといえるでしょう。

相続税申告における財産の整理

死因贈与によって取得した財産は、他の相続財産や遺贈財産と合わせて相続税の申告書に反映させる必要があります。申告の段階になって財産の把握が漏れることがないよう、生前の段階から死因贈与の対象財産を明確にし、記録を残しておくことが望ましいと考えられます。

特に、契約の存在を家族の一部しか知らない場合には、申告作業を進める段階になって財産の把握に時間がかかることもあります。早めに専門家へ契約内容を伝えておくと、申告準備がスムーズに進みやすくなります。

財産目録を作成する際に、死因贈与の対象財産についても他の財産と同じ形式で整理しておくと、申告書作成の際の確認作業がしやすくなると考えられます。

相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内とされているため、死因贈与の対象財産についても早めに整理しておくことが望ましいといえます。

財産目録は一度作成して終わりにせず、財産状況の変化に応じて定期的に更新しておくことが、正確な申告につながると考えられます。

財産の把握に不安がある場合は、早い段階で専門家に一覧化の相談をしておくとよいでしょう。

家族全体での話し合いの重要性

死因贈与は当事者間の契約であるため、他の家族が契約の存在自体を知らないまま相続が発生するケースも考えられます。後日のトラブルを避けるためには、契約の存在や内容について、可能な範囲で家族の間で共有しておくことも一つの工夫といえるでしょう。

生前のうちに考え方や方針を共有しておくことで、贈与者が亡くなった後に相続人同士で不要な誤解が生じることを防ぎやすくなると考えられます。

話し合いの場を設けることが難しい場合でも、契約書の写しの保管場所や、専門家への相談履歴などを家族の誰かに伝えておくだけでも、後の手続きの助けになると考えられます。

家族間の話し合いが難しい事情がある場合には、専門家に間に入ってもらいながら、必要な情報だけを共有する形を検討することも一つの方法と考えられます。

家族の誰か一人にすべての情報を集中させるのではなく、複数の家族や専門家と情報を共有しておくことも、万一に備えた工夫の一つといえます。

家族間の共有が難しい場合でも、最低限の連絡先や保管場所だけは伝えておくことが望ましいといえます。

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