[池袋] 自筆証書遺言書保管制度とは?検認不要のメリットと相続税申告での注意点
#相続税#税理士#池袋

query_builder 2026/09/29 相続税

自筆証書遺言書保管制度は、自分で作成した遺言書を法務局(遺言書保管所)に預けることができる制度で、令和2年7月10日から運用が始まったとされています。自宅で保管する場合に比べて紛失や改ざんのリスクを抑えられ、家庭裁判所の検認手続きが不要になる点が特徴のひとつといわれています。一方で、保管の申請には一定の手数料や必要書類が求められるほか、相続開始後の手続きや相続税申告における書類の扱いにも独自の注意点があるとされています。この記事では、制度の仕組みとメリット・注意点、相続税申告実務との関わりについて整理していきます。なお、関連する運用は見直されることもあるため、実際の手続きにあたっては最新の情報をあわせて確認することが望ましいと考えられます。

税理士法人アウル
ロゴ
相続税の申告や税務相談について、税理士としての資格とノウハウを活かしながら対応いたします。また、池袋で弁護士や司法書士などと連携し、その他のお困り事についても一つの窓口でサポートしております。
税理士法人アウル
住所:

〒170-0013

東京都豊島区東池袋1-35-8

第一伊三美ビル401

電話番号:
0120-327-321

自筆証書遺言書保管制度の概要と創設の背景

自筆証書遺言書保管制度は、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(平成30年法律第73号、いわゆる遺言書保管法)に基づいて設けられた制度とされています。同法に基づく取り扱いは令和2年7月10日から始まったといわれています。

この制度が設けられた背景には、自筆証書遺言が自宅などで保管されることが多く、紛失や第三者による改ざん・隠匿、あるいは相続人が遺言書の存在に気づかないまま遺産分割が進んでしまうといった課題が指摘されてきたことがあるとされています。法務局という公的機関が遺言書を保管することで、こうした保管面の問題を軽減する狙いがあると考えられます。

なお、この制度はあくまで遺言書を「保管」する仕組みであり、遺言の内容そのものの有効性を法務局が保証するものではないとされている点には注意が必要です。

民法上、自筆証書遺言は全文・日付・氏名を自書し押印することで作成できるとされていますが、財産目録については自書でなくパソコン等での作成や通帳のコピー等の添付が認められる方式緩和もあわせて行われたといわれています。この保管制度は、こうした自筆証書遺言の作成のしやすさを維持しつつ、保管面の弱点を補う制度として位置づけられていると考えられます。

公正証書遺言のように公証人が内容に関与する仕組みとは異なり、この制度はあくまで遺言者自身が作成した書面を法務局が受け入れ、保管するという性質のものとされています。そのため、利用にあたっては、保管の仕組みと遺言の内容そのものの適法性は別の問題であるという整理を理解しておくことが重要と考えられます。

保管制度の対象となるのは、日本国内に住所を有するかどうかにかかわらず、自筆証書遺言の方式を満たす書面であるとされていますが、実際の申請にあたっては日本語で記載されていることが前提となっている場合が多いといわれています。

また、この制度は遺言書そのものの保管にとどまり、遺言執行や相続手続き自体を代行する仕組みではないとされているため、保管後の実際の手続きについては、相続人等が別途進める必要があると考えられます。

制度の利用を検討する際には、あわせて遺言の内容面についても専門家に相談し、方式と内容の両方を整えておくことが望ましいと考えられます。

なお、保管の申請にかかる様式や手数料は全国一律とされており、申請先の法務局によって取り扱いが大きく異なるものではないといわれています。

制度の対象や様式について不明な点がある場合には、申請前に法務局へ問い合わせることで、当日になって手続きが滞る事態を避けやすくなると考えられます。

制度創設までの経緯

相続法(民法)の改正にあわせて、自筆証書遺言の方式緩和や配偶者居住権の新設などとともに、遺言書保管制度の創設が進められてきたとされています。自筆証書遺言は手軽に作成できる一方で、様式の不備によって無効になったり、死後に発見されなかったりするリスクが以前から指摘されてきたといわれています。

こうした課題を踏まえ、公的機関である法務局が遺言書を保管する仕組みを新たに設けることで、自筆証書遺言をより安心して活用できるようにする狙いがあったと考えられます。

この制度が検討された当時、高齢化の進展に伴って相続をめぐるトラブルが増加傾向にあるとの指摘もあり、遺言の活用を後押しする環境整備の一環として位置づけられていたといわれています。

あわせて、相続法改正では配偶者居住権の新設や、預貯金の払戻し制度の整備なども行われており、遺言書保管制度はこうした一連の見直しの中の一つの施策として導入されたと考えられます。

制度導入前は、自筆証書遺言の紛失・未発見のリスクに加え、遺言書の破棄や隠匿をめぐるトラブルが相続人間の紛争の一因になっているとの指摘もあったとされています。

こうした状況を踏まえ、遺言書を公的機関が保管することで、相続をめぐる紛争の予防や、遺言の実効性を高めることが期待されていたと考えられます。

実際の申請件数は年々増加している傾向にあると紹介されることもあり、遺言書作成の選択肢の一つとして定着しつつあると考えられます。

今後も、遺言をめぐる制度の運用状況を踏まえて、利用のしやすさが見直されていく可能性があると考えられます。

制度の対象拡大や手続きの簡素化が検討される可能性もあるとされ、今後の動向にも注目が集まっていると考えられます。

対象となる遺言書の種類

この制度で保管できるのは、自筆証書遺言に限られるとされています。公正証書遺言は公証役場で原本が保管される仕組みがすでに存在するため、この制度の対象には含まれていないといわれています。また、秘密証書遺言についてもこの制度の対象外とされています。

保管を申請する遺言書は、法務省令で定める様式(用紙の余白の大きさなど)に従って作成されている必要があるとされており、様式を満たさない場合は保管の申請自体が受け付けられない可能性がある点に留意が必要です。

秘密証書遺言は、遺言の内容を誰にも知られないまま公証役場で存在のみを証明してもらう方式とされていますが、原本の保管は遺言者自身が行う必要があるとされており、この保管制度の対象には含まれていないといわれています。

そのため、遺言の方式を選ぶ段階で、内容の秘匿性や証人の要否、保管方法などを踏まえて、自筆証書遺言(保管制度の利用を含む)、公正証書遺言、秘密証書遺言のいずれが適しているかを検討することが望ましいと考えられます。

なお、外国語で作成された遺言書や、共同で作成された遺言書など、民法上有効性に疑義が生じやすい形式については、そもそも自筆証書遺言としての方式を満たすかどうかも含めて慎重な検討が必要とされています。

保管を申請する前に、様式面で不安がある場合には、法務局の案内や専門家への相談を通じて確認しておくことが望ましいと考えられます。

財産目録を含めた遺言書全体のページ数が多い場合には、様式面の確認にも時間を要することがあるため、余裕を持った準備が望ましいといわれています。

作成時点で方式に不安がある場合には、早めに窓口へ相談しておくことで、当日の手続きを円滑に進めやすくなると考えられます。

方式の緩和が適用されるのは財産目録部分に限られるとされ、本文部分は自書が必要である点にも注意が必要といわれています。

保管の申請手続きの流れ

遺言書保管制度を利用する場合、遺言者本人が、遺言書保管所である法務局の窓口へ出向いて申請する必要があるとされています。郵送や代理人による申請は認められておらず、必ず本人が出頭することが求められるといわれています。

申請にあたっては、あらかじめ法務局の窓口で予約を取ったうえで、保管する遺言書のほか、申請書、添付書類、本人確認書類などを持参する必要があるとされています。

法務局の職員は、民法が定める自筆証書遺言の方式(全文・日付・氏名の自書、押印の有無等)について外形的な確認を行うとされていますが、遺言の内容そのものの有効性や、相続税を含めた税務上の当否について相談に応じるものではないといわれています。内容面の検討は、別途、専門家に確認することが望ましいと考えられます。

申請の予約は、法務局の窓口やオンラインの予約システムを通じて行うことができるとされています。当日は本人確認のうえで書類の形式面の確認が行われ、その場で保管の可否が決まる運用になっているといわれています。

申請時に方式の不備が見つかった場合には、その場で訂正できることもあれば、書き直しが必要になることもあるとされているため、余裕をもったスケジュールで手続きを進めることが望ましいと考えられます。

申請にかかる時間は、書類の状況等によって異なるとされていますが、一定の時間を要する場合があるといわれているため、余裕をもって予約を取ることが望ましいと考えられます。

また、申請後に保管証(保管番号等が記載された書面)が交付されるとされており、この保管証は、相続人等が証明書の交付請求を行う際の手がかりとしても活用できると考えられます。

申請日当日は、遺言書の原本を持参する必要があり、コピーのみでは申請できないとされている点にも注意が必要です。

なお、申請時に提出した遺言書の原本は法務局で保管される扱いとなり、申請後は遺言者の手元に原本が残らないとされています。手元に控えを残しておきたい場合には、申請前にコピーを取っておくことも考えられます。

特に平日の日中に法務局へ出向くことが難しい場合には、予約可能な日時を早めに確認しておくことが望ましいと考えられます。

申請できる法務局(遺言書保管所)

申請できる法務局は、遺言者の住所地、本籍地、または遺言者が所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所に限られるとされています。全国どこの法務局でも申請できるわけではない点には注意が必要です。

また、一度ある遺言書保管所に遺言書を保管した後、別の遺言書を新たに保管する場合は、同じ遺言書保管所へ申請する必要があるとされています。

遺言者が複数の遺言書保管所の管轄に該当する場合(例えば住所地と本籍地が異なる法務局の管轄にある場合など)には、いずれか一つを選んで申請することができるとされています。

なお、保管後に遺言者の住所や本籍が変更になった場合には、変更の届出を行う必要があるとされており、届出を怠ると、相続開始後の通知等に影響が生じる可能性も考えられます。

管轄の判断に迷う場合には、法務局のウェブサイトや窓口で、遺言書保管所の一覧や管轄区域を確認できるとされています。

遠方への移動が難しい場合には、住所地・本籍地・不動産所在地のいずれを基準にするかを踏まえて、通いやすい法務局を選ぶことも考えられます。

複数の遺言書保管所の管轄に該当する場合でも、申請先を自由に選べるのは初回の保管申請時に限られると考えられます。

転居等により管轄が変わる可能性がある場合には、あらかじめ手続きの流れを確認しておくと安心と考えられます。

管轄の遺言書保管所は、法務局のウェブサイト等で確認できるとされています。

必要書類と手数料

申請時には、保管申請書のほか、本籍の記載がある住民票の写し(発行から一定期間内のもの)、本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証等)などが必要とされています。

手数料については、遺言書の保管の申請1件につき3,900円が必要とされ、収入印紙で納付する扱いになっているといわれています。この手数料は遺産の金額や相続人の人数にかかわらず一律とされています。

本人確認書類としては、マイナンバーカード、運転免許証、運転経歴証明書、パスポートなど、顔写真付きの公的書類が求められる場合が多いといわれています。有効な写真付き身分証明書を持っていない場合の代替手段についても、事前に確認しておくことが望ましいと考えられます。

手数料は保管の申請時に一度納付すれば足り、保管期間中に別途更新料等が発生する仕組みにはなっていないとされています。

本籍の記載がある住民票の写しは、発行後一定期間内のものを求められる場合が多いとされているため、申請日に近い時期に取得しておくことが望ましいと考えられます。

保管の申請書は法務局所定の様式によることとされており、記載事項に不備があると受付ができない場合もあるといわれています。

収入印紙は法務局内で購入できる場合が多いとされていますが、事前にコンビニ等で用意しておくことも可能といわれています。

必要書類に不足があると再度の来庁が必要になる場合もあるため、事前に一覧を確認しておくことが望ましいと考えられます。

書類の有効期限にも注意し、直前に取得し直すなどの工夫が望ましいといわれています。

保管制度を利用するメリット

この制度を利用する主なメリットとしては、遺言書の紛失・盗難・改ざん・隠匿といったリスクを抑えられる点が挙げられるとされています。原本は遺言者の死亡後50年間、画像データは150年間保管されるといわれており、長期にわたって遺言の内容を確認できる体制が整えられていると考えられます。

また、法務局職員による外形的な確認が申請時に行われるため、日付の記載漏れや押印の欠落といった、方式面での明らかな不備は防ぎやすくなるといわれています。

あわせて、保管されている遺言書は原則として遺言者本人以外が内容を確認することはできないとされており、生前における内容の漏えいを防ぎやすい点もメリットの一つといわれています。

遺言者自身は、保管の申請後であっても、法務局において遺言書の閲覧を請求することができるとされ、内容を確認したい場合の手段が確保されていると考えられます。

これらのメリットは、特に相続人が多数にわたる場合や、相続人間の関係が疎遠な場合において、遺言の存在や内容を確実に伝える手段として評価されることが多いといわれています。

もっとも、メリットの多くは「保管」に関するものであり、遺言の内容の妥当性そのものを高めるものではない点は、あらためて整理しておく必要があると考えられます。

これらのメリットを踏まえ、遺言の作成自体を検討している場合には、保管方法もあわせて選択肢に入れておくとよいと考えられます。

他の保管方法(貸金庫等)と比較しながら、自身の状況に合った方法を選ぶことが望ましいといわれています。

貸金庫での保管では、相続開始後に金融機関所定の手続きを経て初めて内容を確認できる場合もあるとされており、この点でも法務局への保管とは違いがあると考えられます。

検認手続きが不要になる

通常、自筆証書遺言は相続開始後に家庭裁判所での検認手続きを経る必要があるとされていますが、この制度を利用して保管された遺言書については、検認手続きが不要とされています。これは、法務局において原本や画像データが適切に保管されており、偽造・変造のおそれが低いと考えられることによるといわれています。

検認手続きには一定の時間を要することが多く、相続税の申告期限(相続の開始を知った日の翌日から10か月以内とされています)との関係でも、検認が不要になることは実務上のメリットとして受け止められていると考えられます。

検認手続きでは、家庭裁判所が相続人等の立会いのもとで遺言書を開封し、記載内容や形状を記録するとされていますが、申立てから検認期日までに一定の期間を要することが一般的といわれています。

保管制度を利用した遺言書であれば、この期間を要さずに遺言書情報証明書の交付を受けて手続きを進められるため、相続手続き全体を速やかに進めやすくなると考えられます。

検認手続きを要する場合、相続人全員の戸籍謄本等を収集したうえで家庭裁判所に申立てを行い、期日の調整を経て実施されるため、数週間から数か月程度を要することもあるといわれています。

この点、保管制度を利用していれば、証明書の交付請求という比較的短期間で完了しやすい手続きに置き換えられるため、相続手続き全体のスケジュールを立てやすくなると考えられます。

検認が不要になることで、相続人の負担が軽減されるだけでなく、相続手続き全体の見通しを立てやすくなるといわれています。

特に相続税の申告期限を意識する必要がある場合には、このメリットが実務上大きな意味を持つと考えられます。

検認手続きの要否をめぐって相続人間で認識の相違が生じることを防ぐ意味でも、保管制度の利用は一定の効果があると考えられます。

相続人全員が同じ認識を持てることは、遺産分割協議を円滑に進めるうえでも役立つと考えられます。

紛失・改ざん・隠匿のリスク軽減

自宅で保管する場合、遺言書の存在に相続人が気づかないまま遺産分割が進んでしまったり、特定の相続人にとって不利な内容であった場合に遺言書が廃棄・隠匿されてしまったりするおそれが指摘されてきたとされています。

法務局が遺言書を保管することで、こうしたリスクを軽減できると考えられますが、後述するとおり、相続人等が遺言書の存在に気づくための通知の仕組みについても理解しておくことが望ましいといえます。

また、遺言書が複数枚にわたる場合、自宅保管では一部のページが紛失してしまうといった事態も考えられますが、法務局では画像データとして保管されるため、原本とあわせて内容を確認できる体制になっているといわれています。

災害等によって自宅が被災した場合でも、法務局に保管されたデータが失われにくいという点も、間接的なメリットとして紹介されることがあります。

特定の相続人が遺言書の内容を事前に知り、自身に不利な内容であることを理由に廃棄してしまうといった事態は、遺言者の意思に反する結果を招くおそれがあるとされています。

法務局による保管は、こうした人為的なリスクを一定程度抑える仕組みとして紹介されることが多いといわれています。

このような保管面の安心感は、遺言者本人の心理的な負担の軽減にもつながると紹介されることがあります。

あわせて、相続人にとっても、遺言の有無をめぐる不安を軽減できる点は評価されていると考えられます。

こうした安心感は、遺言者と相続人双方にとってのメリットとして紹介されることがあります。

保管制度を利用する際の注意点・デメリット

一方で、この制度にはいくつかの注意点も指摘されています。まず、法務局が行う確認はあくまで方式面の外形的なものにとどまるとされ、遺言の内容が法律的に有効であるか、あるいは記載内容が実現可能であるかどうかまでは審査されないといわれています。そのため、内容面に不備があれば、保管後であっても遺言の有効性が争われる可能性は残ると考えられます。

また、遺言者本人が法務局へ出向く必要があるため、体調面などの事情で外出が難しい場合には利用のハードルとなり得るといわれています。

加えて、保管の申請時点では相続人となる予定の者や財産の内容が確定していないことも多く、その後の家族構成や財産状況の変化に応じて、遺言の内容を見直す必要が生じる場合もあるとされています。

保管制度を利用していても、こうした見直しの要否については遺言者自身が定期的に確認する必要があると考えられます。

また、保管の申請自体は本人の意思に基づいて行われるものであるため、判断能力に問題が生じた後では、新たな遺言の作成や保管の申請が難しくなる可能性がある点にも留意が必要とされています。

将来の判断能力の変化も見据え、比較的早い段階で遺言の作成や保管を検討しておくことが望ましいという考え方もあるといわれています。

デメリットを理解したうえで利用するかどうかを判断することが、制度を適切に活用するうえで重要と考えられます。

法務局によっては、申請前の様式確認を目的とした無料の予約相談を実施している場合があるとされ、様式面の疑問点を事前に解消する機会として活用できると考えられます。

方式審査のみで内容の有効性は保証されない

法務局における確認は、民法が定める自筆証書遺言の方式(全文の自書、日付、氏名、押印等)を満たしているかどうかの外形的な確認にとどまるとされています。遺留分への配慮や、財産の特定が十分かどうかといった内容面の適切さについては、この確認の対象外と考えられます。

そのため、保管制度を利用したからといって、遺言内容をめぐる相続人間の紛争が必ず防げるわけではない点には留意が必要です。内容面については、専門家への相談を通じて検討することが望ましいといわれています。

例えば、財産の表示があいまいであったり、特定の相続人に配慮した付言事項があってもその実現方法が明確でなかったりする場合、方式面では問題がなくても、実際の遺産分割の場面で解釈をめぐる意見の相違が生じる可能性は否定できないといわれています。

そのため、保管制度の利用と、遺言内容そのものの相談は別の手続きとして捉え、必要に応じて専門家に内容面の確認を依頼することが望ましいと考えられます。

方式面の確認で不備が指摘された場合には、その場での訂正や、後日改めての申請が必要になるとされていますが、内容面の疑義については指摘されないまま保管が完了する場合もあると考えられます。

したがって、保管が完了したことをもって遺言の内容に問題がないと判断するのは適切ではないといわれています。

内容に関する不安がある場合には、保管の申請前に、専門家によるチェックを受けておくことも一つの方法といわれています。

特に財産の種類が多い場合や、相続人間の関係が複雑な場合には、事前の相談がより重要になると考えられます。

保管後の変更・撤回の手続き

保管を申請した後に、遺言の内容を変更したい場合や、保管の申請を撤回したい場合には、それぞれ所定の手続きが必要とされています。内容を変更するには、新しい遺言書を作成したうえで、改めて保管の申請を行う必要があると考えられます。

また、保管の申請の撤回自体には手数料はかからないとされていますが、住所・氏名等に変更があった場合の届出については、遺言者本人が手続きを行う必要があるといわれています。

遺言書の一部だけを訂正することはできず、内容を変更する場合は新たな遺言書を作成し直す必要があるとされています。複数の遺言書が保管されている場合、日付の新しいものが優先される扱いになるといわれていますが、内容が重複・矛盾する場合には解釈上の問題が生じる可能性もあるため、古い遺言書の取り扱いについても確認しておくことが望ましいと考えられます。

保管の撤回を行った場合、遺言書の原本は遺言者に返還されるとされていますが、返還後は遺言者自身が改めて保管方法を検討する必要があると考えられます。

遺言者が死亡した後は、遺言者以外の者が保管の撤回や内容の変更を行うことはできないとされています。

変更や撤回の手続きについても、事前に法務局の案内を確認しておくと、いざというときにスムーズに対応しやすいと考えられます。

定期的に遺言の内容を見直す機会を設けておくことも、実務上の工夫の一つといわれています。

家族構成や財産状況に変化があった際には、あわせて遺言の見直しを検討することが望ましいと考えられます。

相続開始後の手続き(遺言書情報証明書の交付請求等)

遺言者の死亡後、相続人等がこの制度に関する手続きを行う際には、いくつかの証明書の交付請求ができるとされています。代表的なものとして、遺言書保管事実証明書と遺言書情報証明書が挙げられるといわれています。

これらの証明書は、遺言者の死亡が確認できる資料(戸籍謄本等)とともに、遺言書保管所に対して交付請求を行うことで取得できるとされています。

交付請求は、遺言書保管所の窓口のほか、郵送によって行うことも可能とされています。窓口では、あわせて遺言書の閲覧を請求することもできるといわれています。

これらの手続きは、相続人、受遺者、遺言執行者など、法律上関係相続人等と位置づけられる者が行うことができるとされ、それ以外の者は原則として請求できないと考えられます。

相続開始前、すなわち遺言者が生存している間は、遺言者以外の者が遺言書の閲覧や証明書の交付を請求することはできないとされています。

これは、遺言の内容が生前に他者へ知られることを防ぎ、遺言者の意思決定の自由を確保する趣旨によるものと考えられます。

これらの手続きに不安がある場合には、法務局の相談窓口や専門家へ確認しながら進めることが望ましいと考えられます。

証明書の交付請求は相続人本人が行うことを基本としつつ、専門家等が事務を代行できる場合もあるとされており、多忙で自ら手続きを行うことが難しい場合には、こうした方法を検討することも考えられます。

遺言書保管事実証明書と遺言書情報証明書の違い

遺言書保管事実証明書は、特定の遺言者について、請求者を関係相続人等とする遺言書が保管されているかどうかを確認するための証明書とされています。手数料は1通につき800円とされているといわれています。

これに対して遺言書情報証明書は、保管されている遺言書の画像情報を用いた証明書で、遺言書の内容そのものを確認できるものとされています。手数料は1通につき1,400円とされ、相続手続きや相続税申告の場面で、遺言書の写しに代わるものとして用いられることがあるといわれています。

遺言書保管事実証明書は、遺言書の存在の有無のみを確認するものであり、内容までは記載されないとされています。一方、遺言書情報証明書には遺言書の画像とあわせて、作成年月日や遺言者の氏名・住所等の情報が記載されるといわれています。

相続手続きの当初段階では、まず遺言書保管事実証明書によって遺言書の有無を確認し、遺言書がある場合に遺言書情報証明書を取得するという進め方が一般的と考えられます。

遺言書情報証明書の交付を受けた場合には、法務局から他の関係相続人等に対して関係遺言書保管通知が発せられる仕組みになっているとされています。

そのため、証明書の交付を受けた者は、他の相続人等にも遺言書の存在が伝わることを踏まえて手続きを進めることになると考えられます。

どちらの証明書を取得すべきか迷う場合には、目的に応じて使い分けることが望ましいといわれています。

相続手続き全体の中でどの段階でどちらの証明書が必要になるかを整理しておくと、準備がしやすくなると考えられます。

金融機関等での相続手続きにおいても、いずれの証明書が必要とされるかは提出先によって異なる場合があるといわれています。

提出先ごとの必要書類をあらかじめ確認しておくことで、二度手間を避けやすくなると考えられます。

交付請求の方法と必要書類

証明書の交付請求は、遺言者の最後の住所地等にかかわらず、全国どこの遺言書保管所でも行うことができるとされています。請求にあたっては、法定相続情報一覧図の写しや、相続人全員の戸籍謄本、請求者の住民票の写しなどが必要になる場合があるといわれています。

必要書類は請求者の立場(相続人、受遺者、遺言執行者等)によって異なる場合があるとされているため、事前に窓口や案内で確認することが望ましいと考えられます。

相続人の一部が海外に居住している場合や、戸籍の収集に時間を要する場合には、証明書の交付請求自体にも相応の準備期間が必要になることがあるといわれています。

相続税の申告期限を意識しながら手続きを進める場合には、早い段階で必要書類の一覧を確認し、並行して準備を進めることが望ましいと考えられます。

請求書には、遺言者の氏名・生年月日・最後の住所等の情報を記載する必要があるとされており、これらの情報を正確に把握しておくことが手続きの円滑化につながると考えられます。

請求から証明書の交付までの期間は、法務局の窓口の混雑状況等によって変動する場合があるといわれています。

郵送による請求も可能とされていますが、返信用封筒や切手の同封など、窓口請求とは異なる準備が必要になる場合があるといわれています。

請求方法によって必要な準備が異なるため、事前に案内を確認しておくことが望ましいと考えられます。

窓口と郵送のいずれを選ぶ場合でも、必要書類に漏れがないよう事前に確認することが望ましいといわれています。

相続人等への通知制度(関係遺言書保管通知)

この制度には、相続人等が遺言書の存在に気づけるようにするための通知の仕組みが設けられているとされています。代表的なものとして、関係遺言書保管通知と、指定者通知(死亡時の通知)が挙げられるといわれています。

これらの通知により、遺言者が生前に誰にも遺言書の存在を伝えていなかった場合でも、死亡後に相続人等がその存在を把握できる可能性が高まると考えられます。

この通知の仕組みは、遺言者が保管を申請する際に、通知を希望するかどうかや、通知の対象者をどう指定するかを選択できる形になっているとされています。

通知先の指定は義務ではないため、指定がない場合には、相続人等が自ら遺言書保管事実証明書の交付請求を行うなどして、遺言書の有無を確認する必要が生じると考えられます。

通知の仕組みは、遺言者が生前に気づかれたくなかった内容を、死後に確実に相続人等へ伝えるための手段として位置づけられているとも考えられます。

一方で、通知を受け取る相続人等の側では、通知が届くまでは遺言書の存在を把握できない場合もあるため、他の手段(遺言書保管事実証明書の請求等)とあわせて理解しておくことが望ましいといわれています。

通知の仕組みを正しく理解しておくことは、相続開始後の初動を円滑にするうえでも役立つと考えられます。

通知の有無にかかわらず、相続人等が自ら遺言書の有無を確認できる手段があることもあわせて理解しておくことが望ましいといわれています。

通知制度と自主的な確認手段の両方を組み合わせることで、遺言書の存在をより確実に把握しやすくなると考えられます。

いずれの手段を用いる場合であっても、必要な書類をあらかじめ準備しておくことが手続きの円滑化につながると考えられます。

死亡時の通知の仕組み

指定者通知は、遺言者があらかじめ通知を希望する対象者を指定しておくことで、遺言者の死亡の事実が法務局側で確認できた場合に、指定された者へ遺言書が保管されている旨が通知される仕組みとされています。指定できる対象者の人数や範囲は、制度の運用の見直しに伴って変更されてきたといわれており、申請時点の最新の案内を確認することが望ましいと考えられます。

一方、関係遺言書保管通知は、相続人等のうちの1人が遺言書の閲覧や証明書の交付を受けた場合に、他の関係相続人等に対しても遺言書が保管されている旨が通知される仕組みとされています。

指定者通知が届くタイミングは、遺言者の死亡の事実を法務局側が戸籍情報等から確認できた後になるとされており、死亡届の提出から通知が届くまでには一定の期間を要する場合があるといわれています。

そのため、通知が届く前に、相続人等が独自に遺言書の有無を確認したい場合には、遺言書保管事実証明書の交付請求を利用することも考えられます。

指定者通知の対象者は、遺言者があらかじめ指定した者に限られるとされているため、指定されていない相続人には、指定者通知は届かない扱いになっていると考えられます。

そのため、より確実に遺言書の存在を把握したい場合には、相続人自身が定期的に遺言書保管事実証明書の交付請求を検討することも一つの方法といわれています。

通知の運用は見直しが行われることもあるため、遺言者自身が保管を申請する際に、最新の制度内容を確認しておくことが望ましいといわれています。

指定者の範囲や人数についての運用が変更された経緯を踏まえ、既に保管を申請している場合でも、必要に応じて指定内容を見直すことが考えられます。

指定内容の変更についても、所定の届出により行うことができるとされています。

通知を受けた相続人が行うべきこと

通知を受け取った相続人等は、遺言書保管事実証明書や遺言書情報証明書の交付請求を行うことで、遺言の内容を確認できるとされています。内容を確認したうえで、遺産分割協議を行うか、遺言の内容に従って手続きを進めるかを検討することになると考えられます。

なお、通知はあくまで遺言書が保管されている事実を知らせるものであり、通知を受けたからといって、直ちに遺言の内容どおりに手続きが進むわけではない点には留意が必要です。

通知を受け取った後は、他の相続人等とも情報を共有し、遺言の内容を踏まえたうえで、遺産分割の方針を話し合うことが望ましいと考えられます。

遺言の内容によっては、特定の相続人に多くの財産が指定されているなど、相続人間の意見調整が必要になる場合もあるため、早めに専門家へ相談することも選択肢の一つといわれています。

遺言の内容が遺留分を侵害している可能性がある場合には、遺留分侵害額請求の期間制限(相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年など)にも留意する必要があるとされています。

通知を受けた後、内容を確認したうえで、必要に応じて速やかに専門家へ相談することが望ましいと考えられます。

特に相続人間の関係が複雑な場合には、通知を受けた段階で早めに専門家に相談することが望ましいと考えられます。

通知をきっかけに、相続人間で早期に話し合いの機会を持つことが、円滑な手続きにつながると考えられます。

話し合いの内容によっては、専門家を交えて調整することも選択肢の一つと考えられます。

相続税申告における留意点

相続税の申告にあたっては、遺産分割の内容や取得財産を明らかにするための書類として、遺言書やその写しの提出が求められる場合があるとされています。この制度を利用していた場合には、遺言書の写しに代えて、遺言書情報証明書を用いることができる場合があるといわれています。

また、通常、家庭裁判所以外で保管されていた自筆証書遺言については検認手続きを経る必要がありますが、検認済証明書や検認調書そのものは、相続税の申告書に必ず添付しなければならない書類とはされていないといわれています。この制度を利用した遺言書は検認手続き自体が不要とされているため、その点での手間は生じにくいと考えられます。

相続税の申告では、遺産の分割状況に応じて、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など、各種特例の適用可否が変わってくるとされています。遺言の内容がこれらの特例の適用にどう影響するかについても、あわせて確認しておくことが望ましいと考えられます。

遺言によって特定の財産を特定の相続人に取得させる内容(特定遺贈等)が定められている場合には、財産評価や取得者の特定にあたって、遺言書の記載内容を慎重に確認する必要があるといわれています。

相続税の申告にあたっては、遺言により取得した財産と、遺産分割協議により取得した財産とで、必要な資料が異なる場合があるとされています。あらかじめどの財産が遺言の対象となっているかを整理しておくことが望ましいと考えられます。

また、遺言の中に相続税の負担に関する記載(誰がどの税額を負担するか等)がある場合には、その記載が実際の申告実務にどう反映されるかについても、専門家に確認しておくことが望ましいといわれています。

申告実務にあたっては、遺言の有無や内容によって手続きの進め方が変わり得るため、早い段階での確認が望ましいといわれています。

遺言によって配偶者の税額軽減や未成年者控除など各種控除の対象者が定まる場合もあり、申告作業の初期段階で遺言内容を確認しておくことは、控除額の計算誤りを防ぐ観点からも重要とされています。

申告書への添付書類としての遺言書情報証明書

相続税の申告書には、遺言による財産の取得状況を明らかにするための書類として、遺言書の写しなどを添付することが一般的とされています。この制度を利用していた場合は、遺言書情報証明書がその代わりとして扱われる場合があるといわれていますが、具体的な取り扱いについては、申告を依頼する専門家に確認することが望ましいと考えられます。

戸籍謄本一式に代えて法定相続情報一覧図の写しを用いる場合と同様に、証明書等の準備にあたっては、請求先や必要部数を事前に確認しておくとよいと考えられます。

証明書の交付請求から取得までには一定の日数を要する場合があるとされているため、相続税の申告期限に間に合うよう、余裕をもって請求の手続きを進めることが望ましいと考えられます。

複数の相続人がそれぞれ別々に証明書を取得する必要はなく、代表者が取得した証明書の写しを共有する形で申告手続きを進めることも多いといわれています。

証明書とあわせて、相続人の範囲を確認するための戸籍謄本や、法定相続情報一覧図の写しなど、他の必要書類の準備状況もあわせて確認しておくことが望ましいと考えられます。

申告書の作成を依頼している場合には、証明書が取得でき次第、速やかに担当者へ共有することで、申告作業を円滑に進めやすくなると考えられます。

証明書の取得方法や必要部数についても、申告を依頼する専門家とあらかじめ相談しておくと安心と考えられます。

必要書類の準備状況を早めに整理しておくことで、申告期限に向けた対応がしやすくなると考えられます。

準備状況を一覧化しておくと、申告実務全体の進捗を把握しやすくなると考えられます。

遺言内容と遺産分割協議が異なる場合の税務上の注意

遺言書が保管されていたことが後から判明し、すでに遺産分割協議が成立していた場合には、遺言の内容と協議の内容が食い違う事態が生じる可能性があるとされています。このような場合、相続人全員の合意によって遺言と異なる分割を行うこと自体は可能な場合もあるといわれていますが、税務上は、当初の申告内容の見直しや修正申告・更正の請求が必要になる場合もあると考えられます。

遺言の内容によっては、相続税額の2割加算の対象となる者や、各種特例の適用対象者が当初の想定と異なってくることもあり得るため、遺言書の内容は遺産分割協議に着手する前に確認しておくことが望ましいと考えられます。

遺言執行者が選任されている場合には、遺言執行者の同意なく相続人間で異なる分割を行うことについて、別途留意すべき点があるとされています。遺言執行者がいる場合といない場合とで、手続きの進め方が異なり得る点にも注意が必要といわれています。

いずれにしても、遺言の内容と実際の遺産分割の内容に相違が生じる場合には、税務上の影響も含めて、早い段階で専門家に相談しておくことが望ましいと考えられます。

遺言の内容と異なる遺産分割を行う場合、贈与税の課税関係が問題になる場合もあるとされているため、単に相続人間で合意すればよいというものではない点にも注意が必要といわれています。

このような場面では、相続税だけでなく贈与税の観点もあわせて確認しておくことが望ましいと考えられます。

遺言の内容を踏まえた遺産分割を検討する際には、税務上の影響も含めて総合的に判断することが望ましいと考えられます。

相続人間の合意形成と税務上の取り扱いの両方を見据えて、慎重に手続きを進めることが望ましいといわれています。

特に申告期限が迫っている場合には、時間的な制約も踏まえて対応の優先順位を検討することが望ましいと考えられます。

優先順位を整理する際には、専門家の助言を踏まえて判断することが望ましいといわれています。

検認が必要な遺言書との違い・使い分けの考え方

自筆証書遺言のうち、この制度を利用せずに自宅や貸金庫等で保管されていたものについては、相続開始後に家庭裁判所での検認手続きが必要とされています。検認は、遺言書の状態を確認し、偽造・変造を防止するための手続きとされていますが、遺言の内容の有効性そのものを判断する手続きではないといわれています。

これに対して公正証書遺言は、公証人が関与して作成され、原本が公証役場で保管される仕組みがすでに存在するため、検認手続きは不要とされています。

検認手続きを経ないまま遺言を執行した場合や、家庭裁判所以外の場で遺言書を開封した場合には、過料の対象となる可能性があるとされていますが、これによって遺言そのものが無効になるわけではないといわれています。

保管制度の利用の有無にかかわらず、遺言の効力は民法の定める要件を満たしているかどうかによって判断される点は共通していると考えられます。

検認手続きの要否は、あくまで自筆証書遺言(保管制度を利用していないもの)であるかどうかによって判断されるとされており、公正証書遺言や、保管制度を利用した自筆証書遺言については検認が不要という整理になっていると考えられます。

遺言の種類ごとに必要な手続きが異なるため、遺言書を発見した際には、まずその遺言がどの方式によるものかを確認することが手続きの出発点になると考えられます。

いずれの方式を選ぶ場合であっても、相続人にとって分かりやすい形で遺言を遺すことが、円滑な相続手続きにつながると考えられます。

なお、保管制度を利用した自筆証書遺言と公正証書遺言のいずれを選ぶ場合であっても、内容面については専門家に相談しておくことが望ましいとされる点は共通していると考えられます。

公正証書遺言との比較

公正証書遺言は、公証人と2人以上の証人の関与のもとで作成されるため、方式面の不備が生じにくく、原本が公証役場に保管されることで紛失等のリスクも低いとされています。一方で、作成にあたっては証人の手配や公証人手数料が必要になるといわれています。

これに対し、自筆証書遺言書保管制度は、自分で作成した遺言書をそのまま法務局に預ける仕組みであるため、証人を用意する必要がなく、費用面でも比較的抑えられる場合が多いと考えられます。ただし、内容面の相談には応じてもらえない点が公正証書遺言との大きな違いのひとつといわれています。

公正証書遺言は、公証人が遺言者から直接内容を聴き取りながら作成するため、方式面だけでなく、内容の実現可能性についてもある程度確認しながら作成が進められるといわれています。判断能力に不安がある場合や、内容が複雑な場合には、公正証書遺言を選ぶケースも多いと考えられます。

一方で、証人の手配が難しい場合や、内容をあまり他人に知られたくない場合には、自筆証書遺言書保管制度を選ぶ実務上の理由になり得るといわれています。

費用面では、公正証書遺言の作成には、財産の価額に応じた公証人手数料が必要になるとされていますが、自筆証書遺言書保管制度では、財産の価額にかかわらず一律の保管手数料で足りるといわれています。

どちらの方式が適しているかは、費用だけでなく、証人の確保のしやすさや、内容の複雑さなども踏まえて検討することが望ましいと考えられます。

公正証書遺言の原本は公証役場で長期間保存される扱いとされており、保管期間の長さという点では、自筆証書遺言書保管制度と共通する特徴があると考えられます。

保管制度を利用しない自筆証書遺言の検認手続き

保管制度を利用しない自筆証書遺言を発見した場合、相続人等は遅滞なく家庭裁判所に検認を請求する必要があるとされています。検認を経ずに遺言を執行したり、遺言書を開封したりした場合には、過料の対象となる可能性があるといわれているため注意が必要です。

検認手続きには一定の期間を要することが多く、相続税の申告期限との兼ね合いも生じ得るため、遺言書の存在が判明した時点で早めに家庭裁判所への申立てを行うことが望ましいと考えられます。

検認の申立ては、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行うとされており、申立てにあたっては、相続人の範囲を確定するための戸籍謄本等の収集が必要になるといわれています。

これらの準備には時間を要することもあるため、遺言書を発見した場合には、内容を確認するだけでなく、検認の要否や必要書類についても早めに確認しておくことが望ましいと考えられます。

検認手続きを経た遺言書には、家庭裁判所から検認済証明書が付されるとされており、この証明書は、その後の相続手続き(不動産の名義変更等)においても必要になる場合があるといわれています。

保管制度を利用した遺言書の場合、検認済証明書に代わるものとして、遺言書情報証明書が用いられることになると考えられます。

検認手続きの詳細な進め方については、申立てを行う家庭裁判所によって案内が異なる場合もあるとされているため、遺言書を発見した際には、早めに家庭裁判所や専門家に相談することが望ましいと考えられます。

税理士法人アウル
ロゴ
相続税の申告や税務相談について、税理士としての資格とノウハウを活かしながら対応いたします。また、池袋で弁護士や司法書士などと連携し、その他のお困り事についても一つの窓口でサポートしております。
税理士法人アウル

〒170-0013

東京都豊島区東池袋1-35-8

第一伊三美ビル401

modal_banner