[池袋] 相続土地国庫帰属制度とは?不要な土地を手放すための要件・費用と注意点
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query_builder 2026/09/30 相続税

相続土地国庫帰属制度は、相続や相続人への遺贈によって土地の所有権を取得した人が、一定の要件を満たす場合にその土地を手放し、国庫(国)に帰属させることができる制度とされています。令和5年4月27日から運用が始まったといわれており、遠方にある山林や利用予定のない原野など、管理の負担が大きい相続土地への対応策のひとつとして注目されているようです。もっとも、建物が建っている土地や担保権が設定されている土地などはそもそも対象外とされているほか、審査を経て承認された場合には負担金の納付も必要になるとされています。この記事では、制度が設けられた背景と申請から承認までの流れ、対象外となる土地の要件、費用の考え方、共有地の場合の注意点、相続税申告との関わりについて整理していきます。相続をきっかけに、活用予定のない土地への対応を検討している方にとって、判断材料のひとつになれば幸いです。

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相続土地国庫帰属制度が設けられた背景と相続放棄との違い

相続土地国庫帰属制度は、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」に基づいて設けられた制度とされ、令和5年4月27日から施行されているといわれています。近年、相続をきっかけに取得した土地について、遠方に所在していて管理が難しい、利用の見込みがない、買い手が見つからないといった事情から、そのまま放置されてしまうケースが増えていると指摘されてきました。

こうした土地が長期間にわたって放置されると、所有者の把握が難しい、いわゆる所有者不明土地の増加につながるおそれがあると考えられています。所有者不明土地は、公共事業や災害復旧、周辺の土地利用にも支障を及ぼしかねないことから、社会的な課題のひとつとして位置づけられてきたようです。

この制度は、令和6年4月から義務化された相続登記制度とあわせて、相続を契機とする土地の管理不全を防ぐための一連の見直しの一環として整備されたとされています。相続登記が土地の所有者を把握しやすくするための仕組みであるのに対し、国庫帰属制度は、相続人自身にとって重荷になりやすい土地を手放す選択肢を用意するものと整理できそうです。

なお、相続放棄との違いも押さえておく必要があると考えられます。相続放棄は、家庭裁判所への申述によって、プラスの財産も含めた相続財産全体についての相続人としての地位を手放す手続きであり、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行う必要があるとされています。これに対し、相続土地国庫帰属制度は、いったん相続した後で、既に自分の所有物となっている特定の土地についてのみ、審査を経て手放すことを目指す仕組みである点が大きく異なるといえそうです。

こうした土地は、資産としての価値が乏しいにもかかわらず、固定資産税の負担や草刈り・倒木対策などの管理の手間だけが生じることから、一部では「負動産」と呼ばれることもあるようです。相続人にとっては、住んだこともない遠方の山林や、代々受け継がれてきたものの用途のない原野などを、相続をきっかけに初めて意識するケースも少なくないといわれています。

こうした土地を将来にわたって放置してしまうと、次の世代がさらに把握しづらい形で相続を重ねてしまい、権利関係が一段と複雑になっていくおそれもあると指摘されています。相続土地国庫帰属制度は、こうした連鎖を早い段階で断ち切るための選択肢のひとつとして整備されたと考えられます。

制度の検討過程では、土地を安易に手放せるようにしてしまうと、逆に管理の質が低下した土地が国に集まりすぎてしまうのではないかという懸念も示されていたとされています。そのため、後述するように、対象となる土地の要件や費用負担の仕組みが比較的細かく定められており、誰でも無条件に利用できる制度ではない点も特徴のひとつといえそうです。

この制度が始まる以前は、土地を手放したいと考えても、相続放棄によって他の財産も含めてすべてを放棄するか、買い手や引き取り手を自力で探すかという選択肢に限られがちだったといわれています。相続土地国庫帰属制度は、こうした従来の選択肢の間を埋める新しい仕組みとして位置づけられると考えられます。

なお、この制度は土地のみを対象としており、建物や動産は対象に含まれないとされています。建物が残っている土地を手放したい場合には、あらかじめ建物を取り壊して更地にするなどの対応が必要になると考えられ、その分の費用や手間もあわせて見込んでおく必要がありそうです。

制度創設の社会的背景(所有者不明土地問題)

所有者不明土地とは、不動産登記簿等の情報だけでは所有者が直ちに判明しない、または判明しても連絡がつかない土地を指すとされています。人口減少や高齢化の進行、都市部への人口移動などを背景に、地方の山林や農地、原野などでこうした土地が増加している傾向があると指摘されてきました。

所有者不明土地が生じる主な要因のひとつとして、相続が発生しても登記名義が変更されないまま放置されるケースが挙げられているようです。相続人が複数いる場合、遺産分割が終わらないまま何世代も名義が変わらず、権利関係が複雑化してしまうことも少なくないといわれています。

こうした状況を踏まえ、相続登記の義務化や、相続人が土地を手放しやすくする仕組みの整備など、土地の管理不全を防ぐための一連の制度改正が進められてきたと考えられます。相続土地国庫帰属制度も、この流れのなかで創設された制度のひとつと位置づけられそうです。

空き家問題との関連も指摘されることがあります。建物付きの空き家そのものは本制度の対象外とされていますが、建物を取り壊した後の更地や、もともと建物のない山林・原野についても、同様に管理の担い手が不在になりやすいという点では共通する課題を抱えているといえそうです。国や地方自治体は、こうした土地を含めた総合的な土地政策の一環として、本制度の周知や運用の改善に取り組んでいるといわれています。

所有者不明土地をめぐっては、土地の利活用が進まないだけでなく、隣接地の所有者が越境した枝葉の処理や境界確認の相手方を見つけられないといった、日常的なトラブルにもつながりやすいと指摘されています。相続を機に土地の所有関係を明確にしておくことは、周辺の土地所有者にとっても意味のあることだと考えられます。

相続放棄との違い

相続放棄は、被相続人の権利義務を一切承継しないことを選択する手続きであり、不動産だけを選んで放棄することはできないとされています。プラスの財産が他にあっても、それらもあわせて手放すことになる点が特徴のひとつです。

一方、相続土地国庫帰属制度は、預貯金や他の不動産など他の相続財産はそのまま相続したうえで、管理の負担が大きい特定の土地だけを対象に手続きを進められる点で異なるといわれています。既に相続を済ませた後からでも利用を検討できる点も、相続放棄とは性質が異なる部分といえそうです。

もっとも、相続土地国庫帰属制度を利用するためには法務局による審査を経て承認を受ける必要があり、対象となる土地の要件も定められているため、相続放棄のようにどのような土地でも必ず手放せるわけではない点には注意が必要とされています。

また、既に相続放棄をして相続人としての地位を失った人は、そもそも当該土地について相続によって取得した状態にはないため、本制度の申請主体にはなり得ないと考えられます。相続放棄をするかどうかを検討する段階では、他にどのような財産があるか、特定の土地だけを対象に国庫帰属制度を利用できる見込みがあるかをあわせて整理しておくことが望ましいといえそうです。

相続放棄の期限は原則3か月と比較的短いのに対し、国庫帰属制度には申請の期限そのものは設けられていないとされています。ただし、相続税の申告期限や、相続登記の義務化に伴う登記の期限など、他の手続きとの兼ね合いで実質的に検討できる時間が限られてくる場合もあるため、あわせてスケジュールを意識しておく必要があると考えられます。

制度の基本的な仕組みと申請から承認までの流れ

相続土地国庫帰属制度を利用できるのは、相続または相続人に対する遺贈によって土地の所有権の全部または一部を取得した人とされています。売買など相続以外の原因のみで土地を取得した人は、原則として対象にならないといわれています。

申請にあたっては、対象となる土地を管轄する法務局に対して承認申請書や必要書類を提出することになるとされています。提出後は、法務局の担当者による書類審査に加えて、必要に応じて土地の実地調査が行われる場合があるといわれています。

審査では、後述する却下事由・不承認事由に該当しないかどうかが確認されるとされています。審査の過程で、境界の確認や土地の状況に関する追加の資料提出、聞き取りなどが求められることもあるようです。

審査を経て承認された場合には、申請者は所定の負担金を納付する必要があり、この負担金の納付をもって土地の所有権が国庫に帰属するとされています。承認から負担金納付、国庫帰属までの一連の流れは、あらかじめ余裕をもって見込んでおくことが望ましいと考えられます。

申請の際には、対象となる土地の位置や範囲を示す公図や地図、現況を撮影した写真など、土地の状況を客観的に示す資料の提出が求められるとされています。あわせて、申請者が相続または遺贈によって土地を取得したことを示す戸籍関係の書類なども必要になるといわれており、準備すべき書類は決して少なくないようです。

審査の段階は、大きく分けて申請の形式面を確認する段階と、対象地が却下事由・不承認事由に該当しないかを実質的に確認する段階に分かれると考えられます。形式的な要件を満たしていても、実質的な審査で不承認事由に該当すると判断されれば承認には至らないとされているため、両方の観点から準備を進めておく必要がありそうです。

審査の途中で不備や疑問点が見つかった場合には、法務局から追加の資料提出や説明を求められることもあるといわれています。こうした照会に迅速に対応できるよう、申請前の段階から関連資料を整理し、いつでも提示できる状態にしておくことも実務上の工夫のひとつと考えられます。

承認された場合、その通知とあわせて負担金の金額が示され、申請者が期限内に納付することで国庫への帰属の効力が生じるとされています。逆に不承認となった場合には、その理由が通知されるといわれており、内容によっては土地の状況を改善したうえで再度申請を検討する余地がある場合もあると考えられます。

申請できる人・対象となる土地の範囲

申請できるのは、相続または相続人への遺贈によって土地を取得した人であるとされ、土地が複数の相続人による共有となっている場合には、共有者の全員が共同して申請する必要があるといわれています。共有者の中に、相続以外の原因(売買や贈与など)によって持分を取得した人が含まれていても、共有者全員で申請すれば要件を満たす場合があるとされています。

対象となる土地の種類について、宅地・農地・森林など、土地の種目そのものによって申請の可否が一律に決まるわけではないとされていますが、後述するとおり、土地の状態によっては却下または不承認となる要件が定められているため、実際に申請可能かどうかは個別の土地ごとに確認する必要があると考えられます。

農地についても、農業委員会への届出など農地法上の手続きとの関係が生じる場合があるとされています。国庫帰属制度の対象となる農地であっても、他の法令に基づく手続きが別途必要になることがあるため、農地を対象に含める場合には、関連する制度もあわせて確認しておくことが望ましいと考えられます。

また、対象となるのは相続人に対する遺贈によって土地を取得した場合であり、相続人以外の第三者に対する遺贈によって土地を取得したにすぎない人は、原則として本制度の対象にならないといわれています。遺言による財産の承継方法を検討する段階から、将来的に本制度の利用が見込まれるかどうかを意識しておくことも考えられそうです。

申請時点で既に土地を売却するなどして所有していない場合は、そもそも申請の対象にならないと考えられます。相続してからしばらく経ってしまった土地についても、名義が申請者本人のままであれば申請自体は可能とされているため、時間が経過しているからといって諦める必要はないといえそうです。

対象となる土地が複数の地目にまたがっている、あるいは一筆の土地の一部だけを対象にしたいといった変則的なケースについては、通常の申請よりも慎重な確認が必要になると考えられます。こうした事情がある場合には、早めに法務局や専門家に相談し、想定される取り扱いを確認しておくことが望ましいといえそうです。

審査の流れとかかる期間の目安

審査の一般的な流れとしては、申請書類の形式的な確認に始まり、担当法務局による書類審査、そして必要に応じた実地調査を経て、承認または不承認の判断が行われるとされています。実地調査では、土地の現況や境界の状況、工作物や樹木の有無などが確認されるといわれています。

審査に要する期間は、土地の状況や地域の実情によって幅があるとされていますが、申請から承認まで数か月から半年程度、場合によってはそれ以上を要することもあるといわれています。実地調査の日程調整や追加資料の提出などが必要になると、その分期間が長くなる可能性もあるため、余裕をもったスケジュールで検討することが望ましいと考えられます。

実地調査は、法務局の担当者が現地に赴いて土地の状況を直接確認する形で行われることが多いとされています。遠方の土地であっても、申請者本人や関係者の立会いが常に必須というわけではないといわれていますが、境界の確認や現況の説明が必要な場面では、何らかの形で協力を求められることもあるようです。

審査期間中に土地の状況を大きく変化させるような行為(伐採や造成など)を行うと、審査への影響が生じる可能性も考えられます。申請から承認までの間は、土地の現況を大きく変えないよう留意しておくことが望ましいといえそうです。

引き取ってもらえない土地の要件(却下事由・不承認事由)

相続土地国庫帰属制度では、すべての土地が対象になるわけではなく、あらかじめ申請そのものが認められない「却下事由」と、審査の結果として承認されない「不承認事由」が定められているとされています。

却下事由は、申請書類の審査の段階で、土地の性質上そもそも制度の対象にならないと判断されるケースを指すといわれています。これに対し、不承認事由は、実地調査等を踏まえた実質的な審査の結果、通常の管理や処分に過分な費用や労力を要すると判断されるケースを指すとされています。

いずれの事由についても、抽象的な基準だけでなく具体的な要件が定められているとされていますが、個別の土地がどの事由に該当するかの判断は専門的な検討を要する場合が多いといわれています。申請を検討する段階で、対象地がこれらの事由に触れる可能性がないか、あらかじめ確認しておくことが望ましいと考えられます。

これらの要件が細かく定められている背景には、いったん国庫に帰属させた土地は、その後の管理も国が担うことになるという点があると考えられます。管理に多額の費用がかかる土地や、権利関係が複雑で紛争を抱えた土地まで無制限に引き取ることになれば、かえって国の財政や土地行政に負担が生じかねないため、一定の線引きが設けられているといえそうです。

そのため、この制度は「管理が大変な土地であれば何でも国が引き取ってくれる仕組み」ではなく、あくまで一定水準以上の管理可能性がある土地を対象とした仕組みであると理解しておくことが望ましいと考えられます。対象地の状態次第では、そもそも申請が難しい、あるいは承認に至らない可能性がある点を前提に検討を進める必要がありそうです。

実際に運用が始まってからも、要件の細かな解釈や取り扱いについては、運用状況を踏まえて見直しが行われることがあるといわれています。申請を検討する時点での最新の基準を確認することが大切であり、数年前の情報だけを頼りに判断することは避けたほうがよいと考えられます。

却下事由・不承認事由のいずれに該当するかによって、対応の方向性も変わってくると考えられます。却下事由に該当する場合は、建物の取り壊しや担保権の抹消など、権利関係そのものを整理しない限り申請自体が難しいのに対し、不承認事由の一部は、工作物の撤去など土地の現況を整えることで解消できる可能性がある点も異なるといえそうです。

却下事由(申請段階ではねられるケース)

却下事由に該当するとされる土地の例としては、建物が建っている土地、担保権や使用収益を目的とする権利(抵当権や地上権、賃借権など)が設定されている土地、通路など他人による使用が予定されている土地が含まれるといわれています。

「通路など他人による使用が予定されている土地」の典型例としては、隣接地の住民が通行のために使用している私道や、他人の水路・墓地に接続しているような土地が挙げられることがあるといわれています。こうした土地は、所有権を国庫に移した後も第三者の利用を前提とした管理が必要になるため、対象から除かれていると考えられます。

このほか、特定の有害物質により土壌が汚染されている土地や、境界が明らかでない土地、あるいは土地の所有権の存否や範囲について第三者との間で争いがある土地なども、却下事由に含まれるとされています。これらの事情がある土地は、そもそも申請の段階で受け付けられない可能性が高いといわれています。

「境界が明らかでない土地」に該当するかどうかは、隣接地との筆界がどの程度客観的資料で確認できるかによって判断されると考えられます。古くからの山林や原野では、そもそも正確な測量が行われないまま名義だけが相続によって引き継がれてきたケースも多いとされ、こうした土地では境界確定の作業自体に相応の時間と費用がかかる場合もあるといわれています。

担保権が設定された土地についても、抵当権等の登記が残ったままになっているケースは珍しくないといわれています。既に完済しているにもかかわらず抹消登記を済ませていない古い担保権が残っている場合には、国庫帰属制度の申請に先立って、登記の整理を済ませておく必要が生じることもあると考えられます。

不承認事由(審査段階ではねられるケース)

不承認事由としては、一定の勾配や高さを超える崖があり、通常の管理に過分な費用や労力を要する土地、土地の管理や処分を阻害するような工作物・車両・樹木などが地上にある土地が挙げられるといわれています。

また、除去しなければ通常の管理や処分ができない有体物が地下に存在する土地、隣接する土地の所有者等との争訟をしなければ管理や処分ができない土地、その他通常の管理や処分に過分な費用や労力を要すると政令で定められている土地についても、不承認となる可能性があるとされています。

こうした事由に該当するかどうかは、土地の現況を踏まえた個別具体的な判断になるとされているため、山林や傾斜地、放置された建築資材や樹木がある土地などについては、申請前に慎重な確認が必要になると考えられます。

地下埋設物の例としては、かつて建物があった土地に残る基礎部分やコンクリートがら、浄化槽、井戸などが挙げられることがあるといわれています。地表からは分かりにくい事情であっても、除去に多額の費用がかかると判断されれば不承認事由に該当し得るとされているため、可能な範囲で土地の履歴や過去の利用状況を把握しておくことも有用と考えられます。

崖の該当性についても、勾配や高さといった客観的な基準に加えて、実際に管理や災害防止のためにどの程度の対策が必要かという観点から判断されると考えられます。急傾斜地に指定されている、あるいは過去に土砂災害の履歴があるといった土地では、特に慎重な事前確認が必要になりそうです。

申請時にかかる費用(審査手数料と負担金)

相続土地国庫帰属制度を利用する場合、大きく分けて審査の段階で必要となる審査手数料と、承認後に納付する負担金という2種類の費用がかかるとされています。いずれも、制度を利用するかどうかを検討するうえで確認しておきたいポイントのひとつです。

これらの費用は、土地の種目や面積、周辺の状況などによって変わる部分があるとされており、一律の金額ではない点にも留意が必要です。実際の申請にあたっては、対象となる土地についてどの程度の費用が見込まれるか、事前に確認しておくことが望ましいと考えられます。

費用の負担があるとはいえ、土地を所有し続ける限り毎年の固定資産税や維持管理の手間が生じ続けることを踏まえると、将来にわたる負担の総額を比較したうえで制度の利用を検討する視点も有用だと考えられます。特に、利用の見込みがなく将来的な売却も難しいと見込まれる土地については、早い段階で費用試算をしておくことが望ましいといえそうです。

また、審査手数料や負担金のほかにも、境界確認のための測量費用や、必要書類を取得するための実費など、申請の準備段階でも一定の費用が発生し得るとされています。制度の利用を検討する際には、こうした周辺費用もあわせて見込んでおくことが望ましいと考えられます。

費用の全体像を把握するためには、審査手数料・負担金・周辺費用のそれぞれについて、対象地の状況をもとにおおまかな見積もりを立てておくとよいと考えられます。見積もりの段階で予想以上の負担が見込まれる場合には、他の選択肢とあわせて再検討する材料にもなりそうです。

専門家に書類作成や現地調査への対応を依頼する場合には、別途報酬が発生することも考えられます。自分たちで対応できる部分と、専門家に依頼したほうがよい部分を切り分けて検討することで、全体としての費用を抑えられる場合もあるといえそうです。

費用面を検討する際には、対象地が複数ある場合に、すべての土地について申請すべきか、それとも特に管理負担の大きい土地に絞って申請すべきかといった優先順位の整理も有用と考えられます。限られた予算のなかで、どの土地から着手するかを見極めることも実務上のポイントのひとつといえそうです。

審査手数料の考え方

審査手数料は、土地一筆当たり一定額を納付する必要があるとされています。この手数料は、審査の結果として却下や不承認となった場合でも返還されないといわれているため、申請前に対象地が却下事由・不承認事由に該当しないかをある程度見極めておくことが実務上重要になると考えられます。

手数料の具体的な金額は法令等で定められているとされていますが、制度の見直しにより変更される可能性もあるため、実際に申請する際には最新の情報を法務局等で確認することが望ましいといわれています。

審査手数料は、申請書に収入印紙を貼付する方法などで納付することになるとされています。申請対象の土地が複数筆にわたる場合には、その筆数に応じた金額が必要になると考えられるため、対象地を事前にきちんと特定し、必要な手数料の総額を見積もっておくことが望ましいといえそうです。

この手数料は、あくまで審査そのものにかかる費用であり、審査の結果として承認が得られるかどうかを保証するものではないとされています。事前相談等を通じて申請の見込みをある程度確認したうえで、正式な申請に進むかどうかを判断することも実務上の工夫のひとつと考えられます。

負担金の算定方法と目安

承認を受けた場合には、土地の性質に応じて算定される負担金を納付する必要があるとされています。負担金は、原則として土地一筆ごとに一定の基準額が定められているものの、市街化区域内の宅地や農地、森林など一定の種目の土地については、面積に応じた算定式によって金額が決まる仕組みになっているといわれています。

また、隣接する複数の土地について、あわせて申請することで負担金が土地ごとではなくまとめて算定される場合があるともされています。負担金の具体的な金額は土地ごとの事情によって幅があるため、対象地の種目や面積を踏まえて、あらかじめどの程度の負担が生じ得るかを試算しておくことが望ましいと考えられます。

負担金は、承認の通知とあわせて金額が示され、一定期間内に一括で納付する必要があるとされています。分割による納付は想定されていないといわれているため、承認後にまとまった資金を用意できるよう、あらかじめ準備しておくことも実務上のポイントのひとつと考えられます。

示された期限内に負担金を納付しないと、せっかく得られた承認の効力が失われてしまう場合があるとされています。承認から納付までの期間はあらかじめ把握したうえで、必要な資金をいつまでに準備すべきかを見通しておくことが望ましいと考えられます。

共有地の場合の取り扱いと注意点

相続によって土地を複数の相続人が共有している場合、相続土地国庫帰属制度の利用にあたっては特有の注意点があるとされています。共有名義の土地は、遺産分割が長期間まとまらないまま放置されがちな類型のひとつともいわれており、制度の活用を検討する場面が比較的多いと考えられます。

共有地について本制度を利用する場合、共有者のうち一人だけの意思で手続きを進めることは想定されておらず、共有者全員が共同で申請に関与する必要があるとされています。この点は、単独所有の土地とは異なる実務上の負担が生じやすい部分といえそうです。

特に、遺産分割がまだ終わっておらず相続人全員の共有状態になっている土地については、遺産分割協議そのものが進んでいないと、本制度の利用に向けた話し合いも同時に停滞してしまう可能性があると考えられます。共有関係の整理と国庫帰属制度の利用は、あわせて検討していく必要がある論点といえそうです。

共有地をめぐっては、一部の共有者だけが土地の管理に関心を持ち、他の共有者は関心が薄いといった温度差が生じることも珍しくないといわれています。こうした状況では、まず共有者間で土地に対する考え方を共有し、方向性をすり合わせるところから始める必要があると考えられます。

共有者の一部が遠方に住んでいる、あるいは高齢で判断が難しいといった事情がある場合には、意思確認や書類のやり取りに工夫が必要になることもあると考えられます。郵送でのやり取りやオンラインでの連絡手段を組み合わせながら、無理のないペースで合意形成を進めていくことが望ましいといえそうです。

共有名義の土地は、固定資産税の納付についても代表者がまとめて負担しているケースが多いといわれており、費用や労力の分担をめぐって共有者間の不公平感につながりやすい面もあると考えられます。国庫帰属制度の利用を機に、こうした負担の分担についてもあわせて話し合っておくとよさそうです。

共有者全員での申請が必要な理由

共有地については、共有者の全員が共同して申請しなければならないとされています。これは、土地の所有権を国庫に帰属させるという処分行為の性質上、共有者の一部の意思だけで手続きを進めることが適当でないと考えられているためのようです。

共有者のなかに、相続以外の原因(売買や贈与など)によって持分を取得した人が含まれている場合であっても、共有者全員で申請する限りは制度の対象になり得るとされています。ただし、共有者の一部が申請に協力的でない場合には、そもそも申請自体が難しくなる可能性がある点に注意が必要です。

共有者の人数が多い、あるいは共有者の一部と長年連絡を取っていないといった事情がある場合には、全員の意思を確認して申請にこぎつけるまでに相応の時間を要することも想定されます。共有者間の関係性によっては、専門家に間に入ってもらいながら合意形成を進めることも有効な手段のひとつと考えられます。

数次相続によって共有者がねずみ算式に増えてしまっている土地では、そもそも共有者全員を把握すること自体に手間がかかる場合もあるといわれています。こうしたケースでは、まず相続関係を戸籍等で確認し、現在の共有者を確定させる作業から始める必要があると考えられます。

一部の共有者だけが持分放棄したい場合の注意点

共有者の一人だけが自分の持分を手放したいと考える場合、相続土地国庫帰属制度とは別に、民法上の共有持分の放棄という選択肢が存在するとされています。もっとも、共有持分の放棄は他の共有者に持分が帰属する仕組みとされており、国庫に帰属させる本制度とは効果が異なる点に留意が必要です。

共有者間で土地の扱いについて意見が分かれる場合には、まず遺産分割協議や共有物分割といった手続きで権利関係を整理したうえで、本制度の利用を検討する流れになることも多いといわれています。共有関係が複雑な土地ほど、事前の話し合いや専門家への相談が重要になると考えられます。

実務上は、遺産分割協議のなかで、当該土地についてはあえて特定の相続人一人に集約したうえで、その相続人が単独名義になった段階で国庫帰属制度の申請を検討するという進め方が取られる例もあるといわれています。他の相続人にとっても、管理の負担が大きい土地の帰属先を早期にはっきりさせられるという意味で、選択肢のひとつになり得ると考えられます。

もっとも、特定の相続人に土地を集約する代わりに、他の相続人が預貯金など別の財産を多めに取得するといった調整を行う場合には、代償分割に類する話し合いとあわせて検討することになると考えられます。遺産分割全体のバランスを踏まえたうえで進める必要がありそうです。

相続税申告との関係で意識しておきたい点

相続土地国庫帰属制度は不動産登記や土地の管理に関する制度ですが、相続税申告の実務とも関わりが生じる場面があると考えられます。特に、相続税の申告期限との兼ね合いや、負担金の取り扱いについては整理しておく必要がありそうです。

相続税の申告期限は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内とされています。国庫帰属制度の審査には一定の期間を要するとされているため、審査の結果を待ってから相続税申告の内容を確定させようとすると、期限に間に合わなくなるおそれがある点には注意が必要と考えられます。

特に、対象となる土地について小規模宅地等の特例など、一定の要件を満たす場合に評価額を大きく減額できる特例の適用を検討しているケースでは、特例の適用要件と国庫帰属制度の利用見込みをあわせて整理しておく必要がありそうです。特例の適用を受けるためには、申告期限までに遺産分割が確定している必要がある場合も多いとされているため、この点でもスケジュール管理が重要になると考えられます。

また、相続税の納税資金が不足している場合に検討される延納や物納といった制度との関係も意識しておく必要があると考えられます。国庫帰属制度は物納とは異なり、相続税そのものを土地で納めるための仕組みではなく、あくまで土地の所有権を手放すための制度である点に注意が必要とされています。

物納は相続税の納付方法のひとつとして一定の要件のもとで認められる制度であるのに対し、国庫帰属制度は相続税の有無にかかわらず土地の管理負担を軽減するための制度である点で、目的や仕組みが異なると整理できそうです。両者を混同しないよう、それぞれの制度の位置づけを正しく理解しておくことが望ましいと考えられます。

相続税の申告書を作成する段階では、対象となる土地についても他の財産と同様に、地目や面積、評価方法などを申告書に記載する必要があると考えられます。国庫帰属制度の利用を予定しているかどうかにかかわらず、まずは通常どおりの申告書作成を進めることが基本になるといえそうです。

承認前の相続税評価の考え方

相続税の申告にあたっては、相続開始時点で相続人が取得した土地について、通常の財産評価の方法に基づいて評価額を算定する必要があるとされています。将来的に国庫帰属制度の承認を受ける見込みがあるからといって、申告時点でその土地の評価額をあらかじめ引き下げて申告することは想定されていないといわれています。

つまり、国庫帰属制度の利用を検討している土地であっても、相続税申告における評価は他の土地と同様の考え方に基づいて行う必要があるとされ、申告期限までに審査結果が出ていない場合には、通常どおりの評価額をもとに申告することになると考えられます。

利用予定のない山林や原野であっても、財産評価基本通達等に基づく評価方法に従って一定の評価額が算出されるのが原則とされています。実際の市場価値が乏しい土地であっても、評価上はゼロとして扱えるとは限らないため、こうした土地の評価方法についても、申告前にあらためて確認しておくことが望ましいと考えられます。

山林については、純山林・中間山林・市街地山林といった区分に応じて評価方法が異なるとされ、市街地に近い山林ほど宅地に準じた評価になりやすいといわれています。対象地がどの区分に該当するかによって評価額が大きく変わり得るため、慎重な確認が必要と考えられます。

評価にあたっては、対象地の周辺の取引事例や、固定資産税評価額との関係なども踏まえて総合的に判断する必要があるとされています。特に、これまで評価の対象として意識してこなかった山林・原野等については、相続税申告にあたってあらためて評価方法を確認しておくことが望ましいと考えられます。

承認後の取り扱いと修正の要否

相続税の申告後に国庫帰属制度の承認を受け、負担金を納付して土地の所有権が国庫に帰属した場合、その後に相続税申告の内容を見直す必要が生じるかどうかは、個別の事情によって判断が分かれる可能性があるといわれています。

一般的には、相続税の課税価格は相続開始時点を基準に算定されるとされているため、その後に土地を手放したこと自体が直ちに過去の申告内容の誤りを意味するわけではないと考えられます。もっとも、納付した負担金の取り扱いなど、個別の論点については実務上の取り扱いを踏まえた検討が必要になる場合もあるとされているため、判断に迷う場合には専門家に確認することが望ましいといえそうです。

また、負担金や審査手数料そのものを相続税の計算上どのように位置づけるかについても、一律に決まった取り扱いがあるわけではないとされています。相続開始後に生じた費用であることを踏まえ、債務控除の対象となるかどうかなど、個別の事情に応じた検討が必要になると考えられるため、この点も含めて事前に確認しておくことが望ましいといえそうです。

承認・国庫帰属の時期が相続税の申告期限をまたぐことも多いと考えられるため、申告時点では審査中であることを前提に申告内容を確定し、その後の経過については必要に応じて別途整理していくという進め方が現実的な場合もありそうです。

相続税申告書を作成する税理士にとっても、対象となる土地について国庫帰属制度の利用を検討しているという情報は、評価方法や申告全体のスケジュールを考えるうえで重要な材料になると考えられます。申告を依頼する段階で、そうした事情もあわせて伝えておくことが望ましいといえそうです。

制度を利用する際の実務上の注意点

相続土地国庫帰属制度を実際に利用しようとする場合には、書類の準備や現地調査への対応など、実務面でいくつか気をつけておきたい点があると考えられます。制度の趣旨や要件を理解したうえで、余裕をもって準備を進めることが望ましいといえそうです。

特に、対象となる土地が却下事由や不承認事由に該当しないかどうかは、申請前の段階である程度見極めておくことが重要とされています。現地の状況を十分に把握しないまま申請を進めると、審査の途中で追加対応が必要になったり、結果として不承認となったりする可能性もあると考えられます。

また、相続人が複数いる場合には、誰が申請の窓口になるか、費用をどのように分担するかといった点についても、あらかじめ相続人間で話し合っておくことが望ましいと考えられます。申請の準備を始めてから方針の食い違いが判明すると、手続き全体が滞ってしまう可能性もあるようです。

制度の対象になるかどうかの判断は、法律や政令で定められた要件に照らして行われるため、インターネット上の情報や周囲の体験談だけに頼るのではなく、対象となる土地の実情をふまえて公的な情報源や専門家の見解を確認しながら進めることが望ましいと考えられます。

遠方の土地であるほど、現地の状況を正確に把握すること自体が難しくなりがちだといわれています。近隣に住む親族や知人に現況を確認してもらう、あるいは専門家に現地調査を依頼するなど、状況に応じた情報収集の方法をあらかじめ検討しておくことも有用と考えられます。

事前相談の活用

本制度の利用を検討する場合、法務局において事前相談の機会が設けられているとされています。事前相談では、対象となる土地の状況を説明したうえで、却下事由や不承認事由に該当する可能性がないか、必要な書類は何かといった点について確認できるといわれています。

事前相談を活用することで、申請後に思わぬ理由で却下・不承認となるリスクをある程度減らせる可能性があると考えられます。特に、山林や傾斜地、既存の工作物がある土地など、判断が分かれやすい土地については、早めに相談しておくことが望ましいといえそうです。

事前相談の際には、法務局が定める様式に沿って土地の概要をまとめた資料を持参することが求められる場合もあるといわれています。相談の予約方法や必要な準備物についても、事前に法務局のホームページ等で確認しておくと、当日の相談をより実りあるものにしやすいと考えられます。

遠方に住んでいて対象地の管轄法務局まで出向くことが難しい場合には、電話等による相談が可能な場合もあるとされています。相談の方法や対応状況は法務局によって異なる可能性もあるため、あらかじめ問い合わせて確認しておくとよいと考えられます。

申請書類の準備と現地調査への対応

申請にあたっては、承認申請書のほか、土地の位置や範囲を示す図面、境界に関する資料など、一定の書類の提出が求められるとされています。書類の不備があると審査に時間がかかる可能性があるため、記載内容や添付書類を丁寧に確認しておくことが望ましいと考えられます。

また、審査の過程で実地調査が行われる場合には、法務局の担当者が現地を確認できるよう、必要に応じて立会いや案内の対応が求められることもあるといわれています。遠方の土地について申請する場合には、こうした調査への対応方法もあわせて検討しておく必要がありそうです。

境界の確認や測量が必要になりそうな土地については、土地家屋調査士など専門家の協力を得て、あらかじめ資料を整えておくことも有効な手段のひとつと考えられます。書類作成や現地確認にかかる手間を見込んだうえで、余裕をもったスケジュールを組んでおくことが望ましいといえそうです。

現地の写真は、季節や天候によって土地の見え方が変わることもあるため、複数の時期に撮影しておくとより実情を伝えやすくなる場合もあると考えられます。草木が生い茂る時期と枯れている時期とでは、土地の状況の見え方が大きく異なることも珍しくないようです。

制度を利用するかどうかを判断するポイント

相続した土地の扱いに悩む場合、相続土地国庫帰属制度以外にも、売却や寄付、相続放棄といった選択肢が考えられます。それぞれの方法には特徴や制約があるため、対象となる土地の状況や相続人の意向を踏まえて、どの方法が適しているかを比較検討することが望ましいと考えられます。

特に、既に他の財産の相続を済ませている場合や、特定の土地だけが管理の負担になっている場合には、相続放棄よりも国庫帰属制度のほうが選択肢として現実的なことも多いといわれています。一方で、要件に該当しない土地や、費用に見合うだけの整理ができない土地については、売却や寄付など他の方法をあわせて検討する必要がありそうです。

どの選択肢にも共通していえるのは、土地の現況を正確に把握することがまず出発点になるという点だと考えられます。登記簿や固定資産税の課税明細だけでは分からない現地の状況を確認したうえで、初めてどの選択肢が現実的かを判断できるようになるといえそうです。

判断にあたっては、対象となる土地の現況を客観的に洗い出したうえで、却下事由・不承認事由に該当する可能性、想定される費用、他の選択肢との比較という3つの観点から整理していくと、方向性を見定めやすくなると考えられます。

こうした整理を相続人だけで行うのが難しい場合には、相続税申告の相談とあわせて、対象となる土地についてどのような選択肢があるかを専門家に相談してみるのもひとつの方法と考えられます。相続税申告の期限が迫っている状況であっても、落ち着いて優先順位を整理しながら進めることが望ましいといえそうです。

相続土地国庫帰属制度は、施行からまだ日が浅い制度であるとされ、今後も運用実績が積み重なるなかで、要件の考え方や実務上の取り扱いが徐々に明確になっていくことも考えられます。管理に悩む土地を抱えている場合には、制度の動向を継続的に確認しながら、無理のない範囲で検討を進めていくことが望ましいといえそうです。

他の選択肢(売却・寄付・相続放棄)との比較

売却は、買い手が見つかれば土地を手放せるだけでなく対価も得られる方法ですが、山林や原野など需要が乏しい土地では買い手が見つかりにくいことも多いとされています。自治体やNPO法人等への寄付という方法も考えられますが、必ず受け入れてもらえるとは限らず、受け入れの可否は個別の判断によるといわれています。

相続放棄は、既に述べたとおり特定の土地だけを選んで放棄することができず、プラスの財産も含めて相続人としての地位を全体として手放す必要があるとされています。これに対し国庫帰属制度は、他の財産を相続しつつ特定の土地だけを対象にできる点で異なりますが、要件を満たさない土地は利用できず、費用負担も生じる点を踏まえて比較する必要があると考えられます。

なお、土地を第三者や自治体等に無償で譲渡する、いわゆる寄付についても、譲渡所得税の考え方が関係してくる場合があるとされています。無償であっても、税務上は時価で譲渡があったものとみなされて課税関係が生じる場合があるといわれているため、寄付を検討する際には、この点についても専門家に確認しておくことが望ましいと考えられます。

こうした比較を行う際には、費用面だけでなく、手続きにかかる時間や、相続人自身の労力もあわせて考慮する必要があると考えられます。売却先を探すのに時間がかかりそうな土地であれば、費用を伴っても見通しの立てやすい国庫帰属制度を選ぶという判断もあり得そうです。

専門家に相談するタイミング

相続土地国庫帰属制度は、対象となる土地の要件判断や書類の準備など、専門的な知識を要する場面が少なくないとされています。相続税申告の要否や期限との兼ね合いも生じ得るため、相続が発生した段階で、早めに専門家へ相談しておくことが望ましいと考えられます。

特に、共有地である場合や、境界が不明確な土地、山林・傾斜地など判断が分かれやすい土地については、申請の可否を含めて慎重な検討が必要になるといわれています。制度の利用を急ぐあまり準備不足のまま申請するのではなく、事前相談や専門家への相談を通じて、見通しを立てたうえで手続きを進めることが望ましいといえそうです。

相続税申告や登記手続き、境界の確定、共有者間の調整など、論点が複数の分野にまたがることも多いため、税理士だけでなく司法書士や土地家屋調査士など、それぞれの分野の専門家と連携しながら手続きを進める視点も大切になると考えられます。

相続が発生してから時間が経つほど、相続人の人数が増えたり関係が疎遠になったりして、手続きが難しくなる傾向があるとも指摘されています。管理に悩む土地があるとわかった時点で、なるべく早いタイミングで検討を始めることが、結果として負担を抑えることにつながると考えられます。

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