[池袋] 特別受益と寄与分とは?遺産分割で考慮される相続分の調整
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query_builder 2026/08/04 相続税

相続が発生した際の遺産分割は、民法に定められた法定相続分を目安に進められることが多いといえますが、相続人の中に生前贈与を受けていた方や、被相続人の財産形成・療養看護に特別な貢献をした方がいる場合には、法定相続分どおりに分けるだけでは公平感を欠くと感じられるケースがあるとされています。こうした事情を相続分に反映させる仕組みが特別受益と寄与分であり、遺産分割協議や調停の場面でしばしば意見の対立を生む論点になっているといわれています。本記事では、特別受益・寄与分の基本的な考え方や持ち戻し計算のイメージ、近年設けられた特別寄与料制度の概要、実務上トラブルになりやすい場面、そして将来の紛争を避けるための生前の備えについて、順を追って解説していきます。

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法定相続分と実際の遺産分割の違い

民法では、相続人が誰であるかに応じて法定相続分という割合があらかじめ定められています。配偶者と子が相続人であれば配偶者と子でそれぞれ一定割合を分け合い、子が複数いる場合はその人数で均等に分けるのが原則とされています。この法定相続分は、遺産分割協議がまとまらない場合や、遺言がなく相続人間の話し合いだけでは決着がつかない場合に、調停や審判の場面で基準として用いられる重要な指標と位置付けられています。

もっとも、法定相続分はあくまで民法上の目安であり、相続人全員の合意さえあれば、これと異なる割合で遺産を分けることも可能とされています。実際の遺産分割協議の現場では、各相続人の生活状況や、被相続人との関わり方の違いなどを踏まえて、法定相続分どおりではない分け方が選ばれることも少なくないといわれています。

そしてこの「法定相続分どおりでなくてもよい」という柔軟性があるからこそ、特別受益や寄与分といった個別の事情を考慮した調整が意味を持つことになります。次の章以降では、これらの調整がどのような考え方に基づいて行われるのかを見ていきます。

実務上は、不動産や自社株式など性質上分けにくい財産が遺産に含まれることも多く、法定相続分どおりの割合に数字を合わせようとすると、特定の相続人が不動産を取得する代わりに他の相続人へ現金を支払う代償分割や、財産ごとに取得者を分ける現物分割など、複数の分割方法が組み合わされることも少なくないとされています。

このように、法定相続分は遺産分割を考えるうえでの重要な出発点である一方、実際にどのような形で分割するかは、財産の種類や相続人同士の関係性によって大きく異なり得るものであり、画一的な正解があるわけではないと考えられています。

相続税の申告が必要となる場面でも、遺産分割の内容がどのように確定したかによって、各相続人が実際に納付すべき税額や特例の適用関係が変わってくることがあるため、法定相続分と実際の分割内容の違いを正しく理解しておくことは、税務面の検討においても重要な意味を持つと考えられています。

遺産分割協議書を作成する段階では、法定相続分と実際の分割内容が異なる理由についても、後日の紛争防止のため、可能な範囲で記録に残しておくことが望ましいと考えられています。

法定相続分はあくまで目安であること

法定相続分は、相続人同士で話し合いがまとまらないときに、調停や審判で用いられる基準としての性格が強いとされています。相続人全員が納得しているのであれば、法定相続分とは異なる割合、あるいは特定の相続人が特定の財産を取得するといった分け方も可能であり、遺産分割協議の内容が法定相続分に一致している必要はないと考えられています。

このように、法定相続分はあくまで「目安」であり「絶対的な結論」ではない点を理解しておくことは、特別受益や寄与分について話し合う際の前提として重要とされています。目安からどの程度、どのような理由で調整するのかという発想が、遺産分割協議の本質的なテーマになってくるといえるでしょう。

また、家庭裁判所における遺産分割調停や審判では、法定相続分を基準としつつも、特別受益や寄与分といった修正要素を加味した「具体的相続分」に基づいて分割内容が検討されることになるとされています。法定相続分がそのまま最終的な取り分になるとは限らない点は、あらかじめ理解しておくとよいでしょう。

相続人同士の話し合いにおいても、まず法定相続分を共通の出発点として確認したうえで、そこからどのような理由でどの程度調整するのかを丁寧にすり合わせていく進め方が、無用な誤解を避けるうえで有効だと考えられています。

遺産分割の話し合いにおいて、法定相続分をどのように出発点として扱うかという共通認識を早い段階で持てるかどうかが、その後の協議全体の進みやすさに影響すると考えられています。

特別受益・寄与分による調整の意義

特別受益は、一部の相続人が被相続人から生前に受けていた贈与などを相続分の計算に反映させる仕組みであり、寄与分は、被相続人の財産の維持・増加に特別な貢献をした相続人の取り分を増やす仕組みとされています。いずれも、形式的な法定相続分だけでは捉えきれない相続人間の実質的な公平を図ることを目的にしていると考えられています。

特別受益・寄与分の制度を理解しておくことで、遺産分割協議において「なぜこの分け方が妥当と考えられるのか」を相続人同士で共有しやすくなるという側面もあるようです。次章では、まず特別受益について具体的に見ていきます。

これらの調整は、あくまで相続人間の話し合いや、まとまらない場合の調停・審判を通じて具体化されるものであり、自動的・機械的に金額が確定するわけではない点にも注意が必要とされています。だからこそ、それぞれの制度の考え方をあらかじめ理解しておくことが、話し合いを円滑に進めるうえで役立つと考えられています。

特に、相続人の数が多い家庭や、生前贈与・介護など個別の事情が複雑に絡み合っている場合には、専門家に相談しながら整理を進めることで、感情的な対立を避けやすくなる面もあるといわれています。

特別受益や寄与分といった調整要素を早期に整理しておくことは、遺産分割協議だけでなく、その後の相続税申告における財産の帰属関係の確認にもつながる場合があり、実務上あわせて検討されることが多いといわれています。

特別受益や寄与分の考え方を早い段階で共有しておくことで、遺産分割協議が始まってから初めてこれらの制度を知るよりも、落ち着いた話し合いにつながりやすいと考えられています。

特別受益とは何か

特別受益とは、相続人の中に、被相続人から生前贈与や遺贈によって特別な利益を受けていた人がいる場合に、その利益を相続分の計算上考慮する制度とされています。民法では、婚姻や養子縁組のための贈与、生計の資本としての贈与などが特別受益に該当し得るものとして挙げられています。

すべての生前贈与が特別受益に当たるわけではなく、金額の大小や贈与の趣旨、他の相続人との比較における均衡などを踏まえて、個別に判断されるべきものと考えられています。少額の贈り物やお祝い金程度のものは通常、特別受益として扱われにくいといわれる一方、住宅取得資金の援助や事業資金の提供などは特別受益に該当しやすいとされています。

特別受益に該当するかどうかの判断が難しいケースも多く、相続人間で見解が分かれることも珍しくないとされています。次に、どのような生前贈与が特別受益に該当しやすいのか、具体例を交えて見ていきます。

また、特別受益に該当するかどうかを検討する際には、贈与が行われた時期も一つの考慮要素になるとされています。相続開始から近い時期に行われた贈与ほど、相続財産との関連性が強いと評価されやすい一方、何十年も前に行われた贈与については、当時の趣旨や状況を後から正確に把握すること自体が難しくなる傾向があるといわれています。

さらに、特別受益に当たるかどうかの判断は、贈与を受けた相続人自身の主観だけでなく、他の相続人から見た公平感とのバランスも踏まえて検討されるべきものとされており、一律の基準で機械的に線引きできるものではないと考えられています。

また、生命保険金や死亡退職金など、法律上は受取人固有の財産とされ遺産分割の対象に含まれないものであっても、その金額があまりに大きい場合には、特別受益に準じた形で考慮されることがあるとされ、財産の種類ごとの取り扱いの違いにも注意が必要です。

特別受益に該当するかどうかの判断に迷う場合には、早い段階で専門家に相談し、類似の事例や一般的な考え方を踏まえたうえで方針を検討することが望ましいとされています。

特別受益に該当しやすい生前贈与の例

特別受益に該当しやすい例としては、住宅を購入する際の頭金の援助、独立開業のための事業資金の提供、結婚に際してのまとまった額の持参金や支度金などが挙げられることが多いようです。これらは「生計の資本としての贈与」に当たると評価されやすく、金額も比較的大きくなる傾向があるため、他の相続人との公平性が問題になりやすいと考えられています。

一方で、大学や専門学校の学費など教育に関する支出については、扶養の一環とみなされ特別受益に当たらないと判断される場合もあれば、他の兄弟姉妹との間で著しい差がある場合には特別受益として考慮されることもあるとされ、事案ごとの事情によって結論が異なり得る点に注意が必要です。

このほか、事業の後継者として自社株式や事業用資産の贈与を受けていた場合も、金額が大きくなりやすく、特別受益として考慮されるべきかどうかが争点になりやすい類型の一つとされています。事業承継の場面では、経営の安定という観点と、他の相続人との公平という観点のバランスをどう取るかが実務上の難しさとしてしばしば指摘されています。

いずれの例においても、贈与の時期・金額・趣旨を裏付ける資料が残っているかどうかが、特別受益としての評価に大きく影響すると考えられています。

海外留学の費用や、留学先での生活費の援助など、教育関連の支出であっても、金額や期間によっては特別受益として考慮されるべきだという考え方もあり、一律に扱うことは難しいとされています。

贈与税の申告の有無や、贈与契約書の作成状況も、特別受益の該当性を検討するうえでの参考資料になることがあるとされています。過去の贈与税申告の記録が残っている場合には、贈与の時期や金額を客観的に裏付ける手がかりになると考えられます。

特別受益の持ち戻しの考え方

特別受益を相続分の計算に反映させる方法は「持ち戻し」と呼ばれています。これは、特別受益を受けた相続人がいる場合に、その贈与額を相続財産にいったん加算したうえで各相続人の相続分を計算し、特別受益を受けた相続人については、その相続分から既に受け取った贈与額を差し引くという考え方とされています。

この持ち戻しの仕組みによって、生前に多くの財産を受け取っていた相続人と、そうでない相続人との間の不公平感を是正することが意図されていると考えられています。具体的な計算のイメージについては、次章で詳しく取り上げます。

持ち戻しの計算対象となるかどうかを判断する際には、贈与が行われた当時の被相続人と相続人それぞれの経済状況も考慮要素になり得るとされ、単に金額の大小だけで機械的に判断されるものではないと考えられています。

持ち戻しの対象となる財産の評価時点についても実務上の論点があり、贈与を受けた時点の価額ではなく、相続開始時点の価額を基準に評価し直すべきとされる財産(不動産など)もあれば、贈与された金銭のように贈与時の額をそのまま用いる財産もあるとされています。

このように、持ち戻し計算は単純に贈与額を合計するだけでは済まない場合もあり、財産の種類によって考慮すべきポイントが異なる点にも留意が必要とされています。

持ち戻し計算の結果、算出された具体的相続分がマイナスになるようなケースも理論上は生じ得るとされていますが、その場合であっても、既に受け取った贈与を相続人が返還する義務は生じないという考え方が一般的とされています。

特別受益の持ち戻し計算の考え方

特別受益の持ち戻し計算は、まず相続開始時の遺産の額に、特別受益として認められる生前贈与の額を加算し、これを「みなし相続財産」として扱うところから始まるとされています。このみなし相続財産に各相続人の法定相続分を掛け合わせることで、各相続人の「一応の相続分」が算出される仕組みです。

そのうえで、特別受益を受けた相続人については、算出された一応の相続分から、既に受け取っている特別受益の額を差し引いた金額が、その人の具体的な相続分になると考えられています。特別受益を受けていない相続人については、一応の相続分がそのまま具体的な相続分になるのが基本的な考え方とされています。

実際の計算では、贈与の時期や評価の基準時、財産の性質などによって考慮すべき要素が増えることもあり、単純な足し引きだけでは済まないケースも少なくないといわれています。次に、具体的な計算のイメージと、持ち戻しが行われない特別なケースについて見ていきます。

また、特別受益として考慮される贈与が複数ある場合には、それぞれの贈与についてみなし相続財産への加算の要否や金額を個別に検討する必要があり、贈与の件数が多くなるほど計算は複雑になる傾向があるとされています。

さらに、相続人の中に複数の特別受益者がいる場合には、それぞれの持ち戻し額を反映させたうえで各相続人の具体的相続分を算出する必要があり、単純な二者間の調整にとどまらないケースも少なくないといわれています。

みなし相続財産や具体的相続分の計算は、相続税の申告における課税価格の計算とは目的も算定方法も異なるものであるため、両者を混同しないよう注意が必要とされています。特別受益の持ち戻しはあくまで相続人間の取り分を調整するための民法上の考え方です。

相続人の中に未成年者がいる場合には、その法定代理人が持ち戻し計算の内容を確認したうえで遺産分割協議に臨む必要があり、通常の場合よりも手続きが慎重に進められる傾向があるとされています。

具体的な計算のイメージ

例えば、相続人が子2人で、相続開始時の遺産が3000万円、そのうち1人が生前に住宅取得資金として1000万円の贈与を受けていたとします。この場合、みなし相続財産は3000万円に1000万円を加えた4000万円となり、法定相続分が2分の1ずつであれば、一応の相続分はそれぞれ2000万円になると考えられます。

贈与を受けた方の具体的な相続分は、一応の相続分2000万円から既に受け取った1000万円を差し引いた1000万円、贈与を受けていない方はそのまま2000万円になるというのが基本的な計算のイメージとされています。このように、特別受益を考慮することで、生前に多く受け取った分を遺産分割の場面で調整する形になります。

実際の事案では、相続人が3人以上いる場合や、複数の相続人がそれぞれ異なる時期・異なる金額の贈与を受けている場合など、計算の前提となる事実関係がより複雑になることが多いとされています。そのため、具体的な金額を算出する際には、贈与の一覧を時系列で整理しておくことが有効だと考えられています。

不動産の贈与を受けていた場合には、贈与時ではなく相続開始時の評価額を用いて持ち戻し額を算定するのが基本的な考え方とされており、地価の変動が大きい地域では、この評価時点の違いが結果に影響することもあるといわれています。

計算の前提となる財産の一覧や評価額について相続人間で認識がそろわない場合には、専門家に間に入ってもらい、客観的な資料に基づいて整理し直すことも有効な進め方の一つと考えられています。

計算の過程を相続人全員が共有し、途中の考え方についても丁寧に説明を行うことが、後になって「なぜこの金額になったのか分からない」といった不満を防ぐうえで役立つと考えられています。

持ち戻し免除の意思表示があった場合

被相続人が、特定の生前贈与について「相続分の計算には反映させなくてよい」という意思、いわゆる持ち戻し免除の意思表示をしていた場合には、その贈与は特別受益としての持ち戻し計算の対象から外れると考えられています。この意思表示は明示的な書面によることもあれば、生前の言動や状況から黙示的に認められる場合もあるとされています。

もっとも、持ち戻し免除の意思表示があったかどうかは、後になってから相続人間で見解が分かれやすい点でもあり、書面や記録が残っていないと立証が難しくなる場合もあるといわれています。婚姻期間が一定以上の夫婦間で行われた居住用不動産の贈与などについては、法律上、持ち戻し免除の意思表示があったものと推定される制度も設けられています。

この推定規定は、長年連れ添った配偶者の生活基盤を保護する趣旨で設けられたものとされていますが、あくまで「推定」にとどまるため、他の相続人から反証が示された場合には、持ち戻し免除の意思表示がなかったと判断される可能性も残されているといわれています。

持ち戻し免除の意思表示の有無は、遺産分割全体の結論に大きく影響し得る重要な論点であるため、生前贈与を行う際には、免除の意思がある場合にはその旨を明確に書面化しておくことが望ましいと考えられています。

持ち戻し免除の意思表示の有無をめぐって話し合いが平行線をたどる場合には、生前の被相続人の言動や関連する書類などの状況証拠を丁寧に集めて検討することが、解決の糸口になることもあるといわれています。

被相続人が生前に「この贈与は特別扱いしないでほしい」という趣旨の発言を家族に対して繰り返していたような場合には、明確な書面がなくても、状況全体から持ち戻し免除の意思が推認されることもあるとされています。

寄与分とは何か

寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加について特別な貢献をした相続人がいる場合に、その貢献の度合いに応じて相続分を増額する制度とされています。単に親と同居していた、日常的な範囲で世話をしていたという程度では足りず、「特別の寄与」と評価されるだけの事情が必要と考えられている点に注意が必要です。

寄与分が認められる典型的な類型としては、被相続人の事業を無償に近い形で手伝っていた場合、被相続人の療養看護に多大な時間と労力を費やした場合、被相続人の財産を維持するために自己の財産を提供した場合などが挙げられています。いずれも、通常期待される程度を超えた貢献であることが重視されているとされています。

寄与分は、特別受益と同様に遺産分割協議の中で相続人間の合意によって定めることもできますが、合意がまとまらない場合には家庭裁判所の調停・審判で判断されることになるといわれています。次に、寄与分が認められやすい具体的な事情と、金額算定の難しさについて見ていきます。

また、寄与分が認められるためには、その貢献と被相続人の財産の維持・増加との間に一定の因果関係が必要とされており、単に長時間そばにいた、精神的な支えになっていたというだけでは、寄与分として評価されにくい傾向があるといわれています。

このように、寄与分の該当性を判断するにあたっては、貢献の内容が財産的な意味を持つものであったかどうかという視点が重視されると考えられています。

寄与分をめぐる話し合いでは、貢献した相続人自身が声を上げなければ、他の相続人がその存在に気づかないまま遺産分割が進んでしまうこともあるとされ、早い段階で事情を共有しておくことの大切さが指摘されています。

寄与分の主張は、相続人同士の関係性にも影響を与えやすいテーマであるため、単に金額の多寡だけでなく、他の相続人がその貢献をどのように受け止めているかという心情面にも配慮しながら話し合いを進めることが望ましいと考えられています。

寄与分が認められやすい事情の例(介護・事業手伝い等)

寄与分が認められやすい典型例としては、長期間にわたり被相続人の介護を担い、本来であれば専門の介護サービスを利用する費用がかかっていたはずの負担を軽減した場合や、被相続人が営む事業に長年従事し、給与に見合わない働きによって事業の維持・拡大に貢献した場合などが挙げられることが多いようです。

また、被相続人の借金の肩代わりをした場合や、自宅の建て替え費用の一部を負担した場合など、財産面での直接的な援助も寄与分として考慮され得るとされています。いずれのケースでも、単なる家族としての協力を超える「特別な」貢献であったかどうかが判断の分かれ目になると考えられています。

近年では、共働き世帯の増加や介護の長期化を背景に、遠方に住む相続人よりも近くに住む相続人が実質的に多くの介護負担を担うケースが増えており、こうした負担の偏りが寄与分をめぐる話し合いの発端になることも多いといわれています。

また、事業の手伝いについても、正式な雇用契約を結ばずに家族として無給に近い形で働いていた期間が長いほど、寄与分として評価される余地が大きくなる傾向があるとされています。

事業を手伝っていた期間の給与水準が、世間相場と比べてどの程度低かったかという比較も、寄与分の該当性を検討するうえでの一つの視点になり得ると考えられています。また、農業や個人商店など家族経営の性質が強い事業ほど、家族の労働が正当に評価されにくい傾向があり、そうした背景も寄与分の検討にあたって考慮されることがあるといわれています。

被相続人の看護のために自身の仕事を辞めた、あるいは大幅に労働時間を減らしたといった事情がある場合には、その経済的な損失も寄与分を検討するうえでの考慮要素になり得ると考えられています。

寄与分の金額の算定の難しさ

寄与分の金額をどのように算定するかについては、明確な計算式が定められているわけではなく、貢献の内容や期間、被相続人の財産状況、他の相続人との比較などを総合的に考慮して決められるものとされています。そのため、当事者間の話し合いだけでは金額について折り合いがつかないことも多いといわれています。

介護の場面では、実際にかかったはずの介護費用を基準に一定の計算方法が用いられることもあるようですが、労力や精神的な負担をどこまで金銭的に評価するかという点で、相続人同士の受け止め方に差が生じやすいとされています。こうした算定の難しさが、寄与分をめぐる話し合いを長引かせる一因になっているとも考えられます。

裁判実務においては、介護の内容や期間、被相続人の要介護度、実際に発生を免れた介護費用相当額などを踏まえて、一定の裁量的な判断がなされることもあるとされていますが、あらかじめ明確な相場が存在するわけではない点には留意が必要です。

そのため、寄与分を主張する側は、貢献の内容をできるだけ具体的に、かつ客観的な資料とともに整理しておくことが、話し合いを円滑に進めるうえで有効だと考えられています。

介護保険サービスを実際に利用していた期間と、家族が独自に介護を担っていた期間を区別して整理しておくことも、寄与分の金額を検討するうえでの手がかりになると考えられています。

また、寄与分の主張が認められた場合であっても、その金額が相続人の期待していた水準に届かないと感じられることもあり、金額の算定過程について丁寧な説明を尽くすことが、納得感を得るうえで重要だと考えられています。

特別寄与料制度(相続人以外の貢献)

従来の寄与分の制度は、あくまで相続人にのみ認められるものであり、例えば長男の配偶者が義理の親の介護に尽力していたとしても、その配偶者自身は相続人ではないため、寄与分を主張することはできないという課題があったとされています。こうした状況を踏まえて設けられたのが、特別寄与料の制度です。

特別寄与料は、相続人ではない親族が、被相続人の療養看護その他の労務の提供によって被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした場合に、相続人に対して金銭の支払いを請求できる制度とされています。相続人ではない立場でも、実質的な貢献を金銭的に評価してもらえる可能性が開かれた点が特徴といわれています。

ただし、特別寄与料を請求できるのは一定の範囲の親族に限られており、誰でも請求できるわけではない点や、請求できる期間にも制限が設けられている点には注意が必要とされています。次に、この制度が設けられた趣旨と、実際に請求する際の流れについて見ていきます。

特別寄与料の額についても、寄与分と同様に明確な算定式があるわけではなく、貢献の内容や期間、被相続人の財産状況などを総合的に考慮して当事者間で決めることが基本になるとされています。

この制度が設けられたことにより、これまで法的な手当てがなかった相続人以外の親族の貢献にも一定の光が当たるようになった一方、実際に請求に至るケースはまだそれほど多くないとも言われており、制度の認知や活用はこれから進んでいく段階にあると考えられています。

特別寄与料の制度が設けられる前は、相続人以外の親族の貢献に報いる手段として、被相続人が生前贈与や遺言によって直接その親族に財産を残す方法しかなかったとされており、特別寄与料はこうした事前の備えがなかった場合の受け皿としての役割も持っていると考えられています。

特別寄与料をめぐる話し合いは、相続人と、相続人ではない請求者との間の話し合いという特殊な構図になるため、通常の遺産分割協議とは異なる配慮が必要になる場面もあると考えられています。

相続人でない親族の貢献が認められる制度の趣旨

特別寄与料の制度は、相続人という身分を持たない親族であっても、被相続人の介護等に実際に貢献していた場合には、その貢献を何らかの形で評価すべきであるという考え方を背景に設けられたとされています。特に、子の配偶者が義理の親の介護を担うケースが実務上少なくないことが、制度創設の一因になったといわれています。

この制度により、相続人ではない親族の貢献が完全に無視されるのではなく、金銭という形で一定の評価を受けられる可能性が生まれた点は、実質的な公平の実現に資するものと考えられています。もっとも、寄与分と同様に「特別の寄与」と評価されるだけの事情が必要である点は変わらないとされています。

このほか、被相続人の兄弟姉妹やその配偶者など、相続人以外の親族が長年にわたり身の回りの世話をしていたケースなども、この制度の対象として想定されているとされています。血縁関係の有無にかかわらず、実際にどれだけの貢献があったかが重視される制度設計になっていると考えられます。

もっとも、対象となる親族の範囲には法律上一定の線引きがあり、事実婚のパートナーなど、範囲に含まれない立場の方もいる点には注意が必要とされています。

この制度は、あくまで金銭による解決を図るものであり、相続財産そのものを取得する権利を与えるものではない点も、寄与分との違いとして押さえておくとよいと考えられています。

特別寄与料の制度の対象は、被相続人の親族に限られており、内縁関係にある方や親族関係にない知人・友人などは、この制度による請求はできないとされています。そうした立場の方の貢献に報いたい場合には、生前贈与や遺言による対応を検討する必要があると考えられています。

特別寄与料を請求する際の流れ

特別寄与料を請求する場合、まずは相続人との話し合いによって金額や支払方法を決めることが基本になるとされています。話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を求める調停や審判の申立てを行うことも可能とされていますが、この申立てには期間の制限が設けられている点に注意が必要です。

具体的には、相続の開始および相続人を知った時から一定の期間内、あるいは相続開始の時から一定の期間内に申立てを行う必要があるとされており、この期間を過ぎると請求自体ができなくなるおそれがあるといわれています。介護等の貢献に心当たりがある場合には、早めに専門家に相談し、期間内に適切な対応を検討することが望ましいと考えられます。

また、特別寄与料の請求にあたっては、相続人が複数いる場合、各相続人が法定相続分等に応じて分担して支払う形になるとされており、請求する側だけでなく、請求を受ける相続人側にとっても、あらかじめ制度の内容を理解しておくことが望ましいと考えられます。

話し合いが難航しそうな場合には、早い段階で専門家に相談し、証拠となる資料を整理しておくことが、その後の手続きを円滑に進めるうえで役立つといわれています。

当事者間の協議で解決できない場合、家庭裁判所への申立てという法的な手続きに進むこと自体が、親族間の関係にさらなる緊張をもたらす可能性もあるため、できる限り早期に、感情的にこじれる前に話し合いを始めることが望ましいと考えられています。

請求する側は、感情的な訴えだけでなく、実際に行った労務の内容や期間を裏付ける資料をできる限りそろえておくことが、話し合いを円滑に進めるうえで有効だと考えられています。

特別受益・寄与分をめぐる争いが起きやすい場面

特別受益や寄与分は、相続人間の実質的な公平を図るための制度である一方、その該当性や金額の評価をめぐって意見が対立しやすい分野でもあるとされています。特に、当事者の記憶や主観に頼らざるを得ない事情が多く関わる点が、争いを複雑にしている要因の一つと考えられています。

また、被相続人が亡くなった後になってから初めて他の相続人の生前贈与や介護の実態を知るというケースも多く、それまで気づかなかった不公平感が一気に表面化することで、感情的な対立に発展しやすい側面もあるといわれています。次に、争いが起きやすい具体的な場面について見ていきます。

さらに、被相続人が生前に複数の相続人へ異なる形で援助を行っていた場合には、援助を受けていた相続人自身が「特別受益に当たるかもしれない」という自覚を持ちにくいことも、争いを大きくする一因になっているとされています。

加えて、介護や生活支援の負担についても、日々の積み重ねであるがゆえに記録として残りにくく、後になってその実態を正確に把握し直すこと自体が難しくなる傾向があるといわれています。

こうした背景を踏まえると、特別受益や寄与分をめぐる争いを防ぐには、事後的な証明の難しさをあらかじめ想定した備えが重要になってくると考えられます。

こうした争いは、相続財産の総額が必ずしも大きくない家庭でも生じ得るとされており、財産の多寡にかかわらず、特別受益や寄与分に関する認識の違いが感情的な対立の引き金になり得る点には注意が必要だと考えられています。

こうした争いを未然に防ぐためには、被相続人が元気なうちから、相続人同士が財産状況や互いの事情についてある程度の情報を共有しておくことが、有効な対策の一つになると考えられています。

生前贈与の記録が残っていない場合

生前贈与が何年も前に行われたものである場合、贈与契約書や振込記録などの客観的な証拠が残っていないことが少なくないとされています。この場合、贈与があったこと自体や、その金額・趣旨について相続人間で認識が食い違い、水掛け論になってしまうケースがあるといわれています。

特に、現金での手渡しによる贈与や、生活費・教育費の名目で継続的に行われていた援助については、金額を正確に特定すること自体が難しく、特別受益として考慮すべきかどうかの判断がより一層困難になる傾向があるとされています。

また、通帳の記録が残っていたとしても、その振込が贈与なのか、貸付なのか、あるいは何らかの立て替えの精算なのかといった趣旨が明確でない場合には、これをめぐって相続人間の解釈が分かれることもあるとされています。

贈与を行った被相続人本人が亡くなっている以上、その時の趣旨を確認する手段は限られており、周辺状況からの推測に頼らざるを得ない場面も少なくないといわれています。

生前贈与を受けた相続人自身も、当時は特に記録を残す意識がなかったというケースが多く、後から証拠の提示を求められても対応が難しいという状況に陥りやすいとされています。こうした事情も、争いが長期化する一因になっていると考えられます。

贈与を受けた側が悪意を持って記録を残さなかったわけではなく、そもそも将来の相続争いを想定していなかったために資料が残っていないという場合が大半だと考えられており、こうした点への理解も、話し合いを進めるうえで役立つとされています。

特に、複数回にわたって少額の贈与が繰り返されていた場合には、個々の贈与を正確に積み上げて把握すること自体が困難になりやすく、全体としてどの程度の特別受益があったのかをめぐって見解の相違が生じやすいとされています。

介護の負担割合をめぐる認識の違い

被相続人の介護を担っていた相続人と、遠方に住むなどして介護に関わる機会が少なかった相続人との間では、介護の負担についての認識に大きな差が生じやすいとされています。介護を担っていた相続人からすれば「当然、寄与分として考慮されるべきだ」と感じられる一方、他の相続人からは「家族なのだから当然の協力の範囲内ではないか」と受け止められることもあるようです。

こうした認識の違いは、介護の内容や期間、他の相続人がどの程度事情を把握しているかによっても左右されるため、話し合いの早い段階で具体的な事実関係を共有しておくことが、無用な対立を避けるうえで重要になると考えられています。

また、介護を担っていた相続人が、仕事を辞めたり働き方を変えたりして時間を確保していた場合には、経済的な機会損失という側面も含めて負担を評価すべきだという考え方がある一方、そうした事情まで他の相続人が十分に把握できていないことも多いとされています。

こうした認識のズレを放置したまま遺産分割協議に臨むと、感情的な対立に発展しやすくなるため、早い段階で事実関係を丁寧に共有しておくことが望ましいと考えられています。

介護の負担をめぐる認識の違いは、金銭的な評価の問題にとどまらず、被相続人にどれだけ寄り添ってきたかという心情的な側面とも結び付きやすく、話し合いが単なる金額交渉以上に長引く要因になっていると考えられています。

特に、遠方に住む相続人が定期的に電話や訪問で被相続人を気にかけていたようなケースでは、目に見えにくい形での貢献をどう評価するかという難しい問題も生じ得ると考えられています。

遺産分割協議における特別受益・寄与分の話し合い方

特別受益や寄与分は、相続人それぞれの感情が絡みやすいテーマであるため、話し合いの進め方次第で協議全体の雰囲気が大きく左右されると考えられています。一方的に「これは特別受益に当たるはずだ」「自分の貢献は寄与分として認められるべきだ」と主張し合うだけでは、かえって対立が深まってしまう可能性もあるといわれています。

そのため、まずは相続人全員が把握している事実関係を整理し、認識の違いがどこにあるのかを明確にしたうえで、感情論と事実関係を切り分けて話し合いを進めることが望ましいとされています。次に、具体的な進め方のポイントについて見ていきます。

特に、相続人同士が長年離れて暮らしていたり、被相続人との関わり方に差があったりする場合には、お互いの生活状況や事情への理解が不足しがちであり、そうした背景を踏まえずに主張だけをぶつけ合うと、話し合いがこう着状態に陥りやすいといわれています。

そのため、特別受益や寄与分について話し合う際には、結論を急ぐのではなく、まず前提となる事実関係を丁寧に共有する時間を十分にとることが重要だと考えられています。

遺産分割協議は、法的な結論を出すだけでなく、その後も続く相続人同士の関係性にも影響を与える場であるという認識を持ちながら進めることが、円満な解決につながりやすいと考えられています。感情的なやり取りが先行してしまう場合には、いったん時間を置いて冷静さを取り戻してから話し合いを再開するという工夫も、有効な進め方の一つとされています。

話し合いの進め方に迷った場合には、まず全体のスケジュール感を共有し、いつまでにどのような結論を目指すのかという見通しを立てておくことも、円滑な進行につながると考えられています。

感情的な対立を避けるための進め方

特別受益や寄与分をめぐる話し合いでは、当事者同士だけで進めようとすると、過去の家族関係の中での不満や葛藤が表面化し、本来の遺産分割とは異なる感情的な対立に発展してしまうことがあるとされています。こうした事態を避けるためには、第三者である専門家を交えて話し合いを進めることが有効な場合があるといわれています。

また、いきなり結論を求めるのではなく、まずはお互いの認識や事情を共有する場を設け、段階的に合意形成を図っていくことが、感情的なしこりを残さないためのポイントになると考えられています。

専門家を交えることで、法的な考え方や一般的な取り扱いを踏まえた客観的な視点が話し合いに加わり、当事者だけでは膠着しがちな議論に一定の整理がつけられることもあるとされています。

また、相続人同士が直接顔を合わせると感情的になりやすい場合には、書面でのやり取りや、専門家を介した間接的なコミュニケーションを活用することも、対立を和らげる一つの方法として考えられています。

話し合いの場に専門家を交える場合には、特定の相続人の味方をする立場ではなく、あくまで中立的な視点から助言を行う専門家を選ぶことが、相続人全員の納得感を得るうえで重要だと考えられています。

話し合いの日程や場所についても、相続人全員が落ち着いて臨める環境を選ぶことが、感情的な対立を防ぐうえで意外と重要なポイントになると考えられています。

客観的な資料を用意することの重要性

特別受益や寄与分を主張する側にとっては、贈与の時期や金額を示す通帳の記録、振込明細、贈与契約書、介護に関する日々の記録や医療機関とのやり取りの記録など、客観的な資料をできる限り準備しておくことが、話し合いを円滑に進めるうえで重要とされています。

資料が十分にない場合でも、当時の状況を知る親族や関係者の証言、日記やメモなどが手がかりになることもあるようです。客観的な資料に基づいて事実関係を確認し合うことで、感情的な水掛け論を避け、建設的な話し合いにつながりやすくなると考えられています。

資料を整理する際には、時系列に沿って一覧表にまとめておくと、相続人全員が同じ事実関係を把握しやすくなり、話し合いの土台を共有するうえで役立つとされています。

客観的な資料が十分にそろわない場合であっても、可能な範囲で事実関係を整理し、推測にすぎない部分とそうでない部分を区別して提示することが、相続人間の信頼を保ちながら話し合いを進めるうえで有効だと考えられています。

資料の準備には手間がかかることも多いですが、早い段階で着手しておくことで、話し合いが具体的な論点に入ったときにスムーズに議論を進められるという利点もあると考えられています。

家庭裁判所における調停・審判の実務でも、当事者が提出する資料の客観性や具体性が、審理の進め方に影響を与えることがあるとされており、日頃からの記録の積み重ねが、いざというときの備えになると考えられています。

将来のトラブルを避けるための生前の備え

特別受益や寄与分をめぐる争いの多くは、被相続人が生前に自身の意思を明確にしておかなかったことや、生前贈与や介護の実態についての記録が残っていなかったことに起因しているとも考えられています。逆にいえば、生前のうちにいくつかの備えをしておくことで、将来の紛争をある程度予防できる可能性があるといわれています。

特に、複数の子や親族がいる家庭では、それぞれが受け取る財産や果たしてきた役割について、被相続人自身が生前から意識的に記録・整理しておくことが、遺された家族の話し合いの負担を軽減することにつながると考えられています。次に、具体的な備えのポイントについて見ていきます。

また、生前贈与や介護等の負担について、被相続人自身が特定の相続人に配慮する意図を持っていた場合には、その意図を相続人全員に対して生前のうちに伝えておくことも、亡くなった後の誤解を減らすうえで意味があると考えられています。

家族間であらかじめ率直に話し合っておくことは、必ずしも容易ではありませんが、後になって相続人同士の関係にしこりを残さないためには、有効な備えの一つとされています。

生前の備えは、相続税対策としての側面だけでなく、相続人同士の関係を良好に保つための備えでもあるという視点を持つことが、遺産分割をめぐるトラブルを減らすうえで重要だと考えられています。

生前の備えを検討する際には、特別受益や寄与分といった民法上の調整の仕組みだけでなく、遺留分や相続税の申告期限といった関連する制度もあわせて確認しておくことが望ましいと考えられています。

生前贈与の記録を残しておくことの重要性

生前贈与を行う際には、贈与契約書を作成し、振込によって金額や日時を記録に残しておくことが、後の特別受益をめぐる争いを防ぐうえで有効とされています。贈与の趣旨(住宅取得資金なのか、生活費の援助なのか等)についても、書面やメモに残しておくことで、後になってからの認識の食い違いを減らすことができると考えられています。

また、特定の贈与について持ち戻しを免除する意思がある場合には、その旨を書面で明確にしておくことが望ましいとされています。口頭でのやり取りだけでは、被相続人の死後にその意思を証明することが難しくなる場合があるため、記録として残しておくことの意義は大きいといえるでしょう。

介護等の貢献についても同様に、負担した費用や介護に費やした期間・頻度などを日記や家計簿のような形で記録しておくことが、後に寄与分や特別寄与料を主張する際の裏付け資料として役立つ可能性があるとされています。

こうした記録は、必ずしも法的な手続きを見据えたものでなくても、日々の生活の一環として残しておくだけで、結果的に相続開始後の話し合いを円滑にする備えになり得ると考えられています。

記録を残す際には、特定の相続人だけがひそかに用意するのではなく、可能であれば被相続人自身の意思として、家族全体で共有できる形にしておくことが、後の疑念を招きにくいという意味で望ましいと考えられています。

贈与契約書を作成する際には、贈与者・受贈者双方の署名押印や日付を明記し、可能であれば公正証書の形にしておくことで、後日の証明力を高められると考えられています。

遺言書で意思を明確にしておくことの意義

遺言書を作成し、誰にどの財産を、どのような割合で承継させたいかをあらかじめ明確にしておくことは、特別受益や寄与分をめぐる争いを未然に防ぐための有効な手段の一つと考えられています。遺言書の中で、特定の相続人への配慮や、他の相続人が担ってきた貢献への感謝の意思を付言として残しておくことも、相続人間の納得感を高める一助になるといわれています。

もちろん、遺言書があれば争いが完全になくなるわけではありませんが、被相続人自身の意思が明確な形で残されていることは、相続人間の話し合いの出発点を安定させ、感情的な対立を和らげる効果が期待できると考えられています。生前のうちから専門家に相談しながら、こうした備えを進めておくことが望ましいといえるでしょう。

遺言書の作成にあたっては、特別受益や寄与分に関する被相続人自身の評価を盛り込んでおくことで、相続人間の解釈の余地を狭め、後々の争いを未然に防ぐ効果も期待できるとされています。

あわせて、遺言の内容や財産の全体像を生前のうちに家族へある程度共有しておくことも、相続開始後の混乱や不信感を軽減するうえで有効な備えの一つと考えられています。

また、遺言書の内容によっては特定の相続人の遺留分を侵害してしまう可能性もあるため、特別受益や寄与分を考慮しつつ、遺留分にも配慮したバランスの取れた内容を検討することが望ましいとされています。

遺言書には自筆証書遺言や公正証書遺言などいくつかの方式があり、それぞれ作成方法や保管方法、後日の有効性をめぐる論点が異なるため、状況に応じて適切な方式を選ぶことが望ましいとされています。

生前の備えは一度整えて終わりというものではなく、家族構成や財産状況の変化に応じて、遺言書の内容や記録の残し方を見直していくことも、長期的に相続人間の公平を保つうえで大切な視点だと考えられています。

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