[池袋] 相続税の税務調査はいつ来る?対象になりやすい財産と当日の流れを解説
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query_builder 2026/07/17 相続税 不動産 節税

相続税の申告を終えた後も、税務署による税務調査の対象になる可能性は他の税目と比べて高いといわれています。実地調査の対象となる割合や調査が行われやすい時期、申告漏れとして指摘されやすい財産の種類、調査当日の流れ、指摘を受けた場合に起こりうる修正申告やペナルティ、そして書面添付制度の活用まで、相続税の税務調査について知っておきたいポイントを幅広く解説します。これから相続税の申告を控えている方はもちろん、すでに申告を終えた方にとっても、今後の心構えや資料の保管方法を見直すきっかけとして役立つ内容です。

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相続税は税務調査の対象になりやすい税目とされる理由

相続税は、所得税や法人税など他の税目と比べても、税務調査の対象になりやすい税目のひとつとされています。国税庁が公表している統計を見ると、毎年申告される相続税の申告件数のうち、実地調査の対象となる割合はおよそ1割程度とされることが多く、調査が行われた場合には、その多くで何らかの申告漏れや評価の誤りが指摘されているとされています。もちろんこの割合は年度によって変動しますし、すべての申告が同じ確率で調査対象になるわけではありません。申告財産の規模が大きい場合や、生前の所得・資産の状況と申告内容に大きな差が見られる場合など、税務署側で気になる点があるケースほど、調査の対象として選ばれやすい傾向があるといわれています。

相続税の申告は、多くの人にとって一生に一度あるかどうかという機会であり、所得税の確定申告のように毎年繰り返し経験するものではありません。そのため、申告する相続人自身が財産の全体像を把握しきれていなかったり、何を申告すべきかについての知識が十分でなかったりすることも少なくなく、結果として申告漏れが生じやすい構造があるとも指摘されています。一方で、税務署側は、金融機関や保険会社、証券会社などから提出される法定調書、生命保険金の支払調書、不動産の登記情報など、さまざまな情報をあらかじめ収集しており、被相続人や相続人の資産状況についてある程度の情報を把握した状態で申告内容を確認しているとされます。申告内容とこうした情報との間に食い違いがあれば、それが調査の端緒となることも珍しくありません。税務調査が行われること自体は珍しいことではなく、必ずしも申告に問題があったことを意味するわけではありませんが、対象になりやすい税目であることを前提に、申告段階から準備を整えておくことが望ましいといえるでしょう。

特に、相続財産の総額が大きい場合や、被相続人が複数の金融機関に口座を持っていた場合、あるいは生前に不動産の売却や大きな資金移動があった場合などは、税務署の側から見ても資産の動きを追いやすく、申告内容との整合性が細かく確認される傾向があるとされています。逆に、相続財産の規模が比較的小さく、財産の種類も限られている場合には、調査の優先順位が下がる傾向があるともいわれていますが、これも絶対的な基準ではなく、あくまで傾向として理解しておく必要があります。

実地調査は、対象として選ばれた事案について、税務署の担当者があらかじめ収集した情報をもとに事前検討を行ったうえで実施されます。そのため、調査当日に初めて疑問点が生じるというよりも、ある程度確認すべき事項が絞り込まれた状態で調査に臨んでいることが多いと考えられています。この点からも、申告段階で財産の把握と評価の根拠を明確にしておくことの重要性がうかがえます。国税庁が公表する資料では、こうした事前の情報収集や選定作業を通じて、限られた調査リソースを効果的に配分する仕組みが取られていることがうかがえるとされています。

実地調査の対象になる割合の目安

国税庁が毎年公表している統計資料によれば、相続税の申告後に実地調査が行われる割合は、申告件数全体のおよそ1割前後で推移しているとされています。ただし、この数値はあくまで目安であり、年度や社会情勢、税務署の人員体制などによっても変動します。また、実地調査以外にも、申告内容について書面や電話で確認が行われる簡易な接触が行われるケースもあり、これらを含めるとより多くの申告が何らかの形で確認の対象となっているとも考えられます。

実地調査の対象として選定された申告のうち、実際に申告漏れなどの非違が指摘される割合は非常に高い水準にあるとされることが多く、調査に着手された場合には、何らかの指摘を受ける可能性が相応にあると考えておいた方がよいでしょう。もっとも、これは裏を返せば、そもそも調査対象として選ばれにくい、内容の整った申告書を作成しておくことが重要であるということでもあります。財産の把握に漏れがなく、評価や申告の根拠が明確に整理されている申告であれば、調査対象として選定されにくくなると考えられています。なお、実地調査の対象として選定されなかった申告についても、それで完全に安心というわけではなく、後年になって資料の突合作業が進んだ結果、改めて確認の連絡が来るというケースもあるとされています。統計上の割合はあくまで全体の傾向を示すものであり、個々の事案がどのように扱われるかは、財産の内容や申告の精度によって左右されると考えておくのが実務的な理解といえるでしょう。

相続税の申告がなぜ調査されやすいのか

相続税が他の税目に比べて調査対象になりやすいとされる背景には、いくつかの理由が挙げられます。まず、相続税の申告は多くの人にとって初めての経験であり、所得税のように毎年申告に慣れているわけではないため、財産の把握や評価において漏れや誤りが生じやすいという事情があります。また、相続財産には預貯金や有価証券だけでなく、不動産、生命保険金、退職手当金、家庭内の現金、貴金属や書画骨董といった多様な財産が含まれることがあり、申告者がすべての財産を正確に把握し、評価額を適切に算定することは容易ではありません。

さらに、税務署側は法定調書や支払調書、登記情報などを通じて、被相続人の生前の資産状況についてあらかじめ一定の情報を保有しているとされ、こうした情報と申告内容を突き合わせることで、申告漏れの可能性がある事案を絞り込んでいると考えられています。加えて、相続税は一件あたりの税額が大きくなりやすく、申告漏れが生じた場合の追徴税額も相応の金額になりやすいことから、税務署にとって調査の優先度が高い税目とされている面もあるといわれています。こうした事情が重なることで、相続税は他の税目と比べて申告後に何らかの形で内容が確認される可能性が相対的に高い税目になっていると理解しておくとよいでしょう。金融資産のデータ化が進み、税務署が把握できる情報の範囲が広がっていることも、こうした傾向を後押しする一因になっていると考えられています。

税務調査が入りやすい時期とタイミングの傾向

相続税の税務調査は、申告書を提出してからすぐに行われるわけではなく、一般的には申告期限からある程度の期間が経ってから実施されることが多いとされています。具体的には、申告後1年から2年程度が経過した頃に調査の連絡が来るケースが多いといわれており、申告してからしばらく経って忘れかけた頃に連絡が来て驚いたという声も少なくありません。これは、税務署側が申告内容を精査し、法定調書などの情報と照合したうえで、調査対象とすべき事案を選定するまでに一定の時間を要するためと考えられます。

また、相続税の税務調査は、1年を通じて均等に行われているわけではなく、時期的な偏りがあるとされています。一般的には、8月から11月頃にかけて実地調査が多く行われる傾向があるといわれています。これは、税務署の人事異動が7月頃に行われることが多く、異動後の体制が整ってから下半期にかけて実地調査を本格的に進めるというスケジュール上の事情が背景にあるためとされています。もちろん、これらはあくまで一般的な傾向であり、すべてのケースに当てはまるわけではありません。年明けから夏にかけて調査が行われることもありますし、申告から数年が経過した後に調査の連絡が来ることもあります。いずれにしても、相続税の申告を終えたからといって、それで手続きが完全に終了したと考えるのではなく、しばらくの間は関連資料を整理して保管しておくことが望ましいといえるでしょう。

また、調査の連絡は、相続人本人ではなく、申告を担当した税理士に対してまず入ることが一般的です。税理士が事前通知を受けた段階で相続人に連絡し、日程の調整や当日までの準備について相談する流れになることが多いとされています。そのため、申告を依頼した税理士とは、申告が終わった後も一定期間は連絡が取れる関係を維持しておくと安心です。

なお、財産の規模が大きい事案や、申告内容に疑問点が多いと判断された事案については、申告直後の早い時期に調査の連絡が来ることもあるとされています。逆に、内容が整った申告であれば、数年間何の連絡もないまま経過することも珍しくありません。時期の傾向を知っておくことは大切ですが、それに過度にとらわれず、いつ連絡が来ても対応できる状態を維持しておくという姿勢が基本になります。

申告から実地調査までの期間の目安

相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内とされていますが、税務調査が行われる場合、その連絡は申告期限からさらに1年から2年程度経過した頃に来ることが多いといわれています。これは、税務署が提出された申告書の内容を精査し、法定調書や過去の所得情報、不動産の登記情報などと照らし合わせながら、調査の必要性を判断するまでに一定の時間がかかるためと考えられます。

そのため、申告を終えてから半年や1年程度で何も連絡がなかったとしても、それで調査の可能性がなくなったと判断するのは早計です。国税に関する更正・決定などの期間制限、いわゆる除斥期間は、原則として法定申告期限から5年、悪意のある場合には7年とされているため、その間は関連資料を保管しておく必要があります。申告後しばらく経ってから連絡が来ることを念頭に置き、通帳や契約書、評価の根拠資料などをすぐに取り出せる状態で保管しておくことが望ましいでしょう。特に、申告時に用いた資料の写しについては、原本とあわせて一定期間保管しておくと、後日確認を求められた際にも慌てずに対応できます。申告書自体の控えについても、税理士から受け取ったものを紛失しないよう、家族間で保管場所を共有しておくとよいでしょう。

秋ごろに調査が集中しやすい背景

相続税の実地調査は、8月から11月頃にかけて実施されることが多い傾向があるとされています。この背景には、税務署の組織運営上の事情があるといわれています。国税庁や税務署では、毎年7月頃に定期的な人事異動が行われることが多く、異動によって新しい体制が整った後、担当者が引き継いだ事案を精査し、調査計画を立てたうえで実地調査に着手するまでに一定の準備期間を要します。そのため、実際に相続人の自宅などを訪問して調査が行われる時期は、秋口以降に集中しやすいと考えられています。

また、税務署の事務年度は7月から翌年6月までとされており、この事務年度の中で実地調査の実施件数などの目標が管理されているため、下半期にあたる秋から年末にかけて調査が積極的に行われやすいという事情もあるとされています。もっとも、これはあくまで傾向であり、年明けや夏場に調査が行われないというわけではありません。時期にかかわらず、いつ連絡が来ても対応できるよう、資料を整理しておくことが大切です。年度末や年度初めなど、時期によって税務署の繁忙度合いが変わることも、実地調査の実施タイミングに影響を与える一因になっていると考えられています。確定申告の時期にあたる2月から3月頃は、税務署全体が所得税の申告対応で多忙になるため、相続税の実地調査が実施されにくい時期であるともいわれています。

現金・預貯金は特に指摘を受けやすい財産

相続税の税務調査で申告漏れとして指摘される財産の中でも、現金や預貯金は特に指摘されやすい財産のひとつとされています。国税庁が公表する統計でも、申告漏れ財産の内訳のうち現金・預貯金が占める割合は高い水準にあるとされることが多く、有価証券や不動産などと比べても指摘件数が多い傾向があるといわれています。その代表例が「名義預金」と呼ばれるものです。名義預金とは、口座の名義こそ配偶者や子、孫といった家族の名前になっているものの、実際にその口座に入金した資金の拠出者や、通帳・印鑑の管理者が被相続人自身であったと認められる預金のことを指します。

相続税の申告においては、口座の名義がだれであるかにかかわらず、実質的にだれの財産であったかという実質判定の考え方に基づいて相続財産に含めるべきかどうかが判断されます。そのため、家族名義の口座であっても、実質的には被相続人の財産であったと判断されれば、相続財産として申告する必要があります。名義預金は、被相続人が家族のために将来のことを考えて積み立てていたケースや、相続税対策のつもりで名義を分けていたケースなど、さまざまな経緯で発生します。しかし、贈与の手続きが適切に行われていなかったり、通帳や印鑑を被相続人が管理し続けていたりすると、実質的な所有者は被相続人のままであると判断され、相続財産として申告漏れを指摘される可能性が高くなります。現金や預貯金は金融機関の履歴から比較的把握しやすい財産であるため、税務調査においても重点的に確認される項目のひとつとなっています。

また、被相続人が生前に自宅で保管していた現金、いわゆる手許現金についても、申告漏れが指摘されやすい財産のひとつとされています。生前の生活費の引き出し状況や、収入・支出のバランスから見て、手元に残っているはずの現金が申告書に反映されていないと判断されると、その分の現金が別途存在するのではないかという観点から質問が及ぶことがあります。

金融機関に対する調査、いわゆる反面調査が行われることもあり、被相続人や相続人の口座の取引履歴が、申告書に記載された内容よりも詳細に確認されるケースもあるとされています。過去にさかのぼって多額の出金があった場合には、その資金の使途について具体的な説明を求められることも少なくありません。生活費や医療費、リフォーム費用など、使途が明確なものについては特に問題視されないことも多いですが、使途が不明な出金が続く場合には、他の財産に転化されている可能性を疑われることもあります。

名義預金とは何か、なぜ問題になるのか

名義預金とは、預金口座の名義人と、実際にその預金の原資を拠出し管理していた人物が異なる預金のことをいいます。たとえば、被相続人が生前、配偶者や子、孫の名前で口座を開設し、そこに自分の収入や貯蓄を入金していたものの、通帳や印鑑、キャッシュカードなどは被相続人自身が管理し続け、名義人となっている家族はその口座の存在自体を知らなかった、あるいは自由に使うことができなかったというケースが典型例です。

相続税の課税においては、財産の名義がだれになっているかではなく、実質的にだれに帰属する財産であるかという観点から判断が行われます。そのため、このような名義預金は、名義人固有の財産としてではなく、被相続人の相続財産として申告する必要があると判断されることになります。税務調査では、家族名義の口座についても、資金の流れや通帳・印鑑の保管状況、口座開設の経緯などが確認され、実質的な帰属者が誰であったかが検討されます。名義を分けているだけでは贈与や財産移転の効果が認められない場合があるという点は、あらかじめ理解しておく必要があります。配偶者名義の口座であっても、専業主婦・主夫であった期間が長く、独自の収入源が乏しいと判断される場合には、同様に名義預金として扱われる可能性がある点にも注意が必要です。特に、婚姻期間が長い夫婦の場合、収入の大部分が一方の名義に集中し、他方名義の預金は生活費の余りを貯蓄したものであることが多いため、その資金の出所が丁寧に確認される傾向があります。

名義預金以外にも注意したい財産の種類

申告漏れとして指摘されやすいのは、現金・預貯金や名義預金だけではありません。有価証券についても、証券会社を通じた取引履歴などから保有状況が把握されやすく、申告漏れが指摘されるケースがあります。また、被相続人が代表を務めていた会社への貸付金や未収の役員報酬、退職慰労金なども見落とされがちな財産です。不動産についても、自宅や収益物件だけでなく、共有持分や先代からの名義変更が済んでいない不動産、他人に使用貸借で貸している土地などが申告から漏れることがあります。

さらに、海外に保有する預金や不動産、有価証券などの国外財産についても、国外送金等調書や国外財産調書制度を通じて税務署が情報を把握しているケースが増えており、申告漏れの指摘対象となることがあります。貴金属や書画骨董、自動車、ゴルフ会員権といった動産についても、相応の価値があるものは相続財産に含める必要があります。財産の種類が多岐にわたるほど把握漏れが生じやすくなるため、申告前に財産の一覧を丁寧に洗い出しておくことが重要です。同居していた家族が把握していなかった財産や、被相続人が個人で契約していたサービス・会員権なども含めて、幅広く確認しておくことが望ましいでしょう。デジタル化が進んだ現在では、ネット銀行やネット証券の口座、暗号資産のように、通帳や郵送物が残らず把握しにくい財産も増えており、こうした財産についても見落とさないよう注意が必要です。

生前贈与の記録不備が指摘されやすい理由

相続税の税務調査では、被相続人が生前に行っていた贈与についても厳しく確認される傾向があります。とりわけ、贈与の記録が十分に残されていないケースは、指摘を受けやすいポイントのひとつとされています。贈与契約書が作成されていなかったり、贈与税の申告が行われていなかったりする場合、税務署からすると、それが本当に贈与として成立していたのかどうかを疑わしく思う材料になります。民法上、贈与は当事者間の意思表示によって成立するとされていますが、税務調査の場面では、通帳の入出金記録や契約書、贈与税の申告状況といった客観的な証拠がなければ、贈与の事実そのものを立証することが難しくなります。

また、贈与が成立したとみなされるためには、贈与を受けた人が贈与の事実を認識し、その財産を自由に管理・使用できる状態になっていることが重要とされています。たとえば、子や孫の名義で口座を作り、そこに贈与のつもりで入金していたとしても、その口座の通帳や印鑑を被相続人が管理し続け、贈与を受けたはずの本人がその口座の存在すら知らなかったというような場合には、贈与が実質的に成立していなかったと判断され、名義預金と同様に相続財産として扱われる可能性があります。さらに、暦年贈与を毎年同じ時期に同じ金額で継続して行っていたようなケースでは、いわゆる定期贈与とみなされ、贈与全体が一つの契約に基づくものとして課税されるリスクも指摘されることがあります。生前贈与を有効なものとして認めてもらうためには、贈与契約書の作成、贈与税申告の実施、受贈者自身による通帳・印鑑の管理といった実態を伴わせておくことが重要です。

近年は相続時精算課税制度を利用した贈与も増えていますが、この制度を利用した場合には、贈与税の申告状況や贈与財産の内容が相続税の申告に直接影響するため、贈与を行った年ごとの記録をより一層丁寧に残しておく必要があります。制度の選択誤りや申告漏れがあると、相続税の計算全体に影響が及ぶこともあるため注意が必要です。

教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与に関する非課税制度を利用していた場合も、金融機関との契約内容や資金の使途を裏付ける領収書などの記録が、相続税の申告や税務調査の場面で確認されることがあります。制度の適用を受けた贈与については、通常の贈与以上に記録を丁寧に残しておくことが望ましいとされています。

贈与契約書や申告の記録がないケース

生前贈与を行う際に、贈与契約書を作成していなかったり、非課税枠を超える贈与を行ったにもかかわらず贈与税の申告をしていなかったりするケースは、税務調査で指摘を受けやすい典型例のひとつです。贈与契約は口頭でも成立するとされていますが、後になってその事実を証明しようとした場合、客観的な記録がなければ、税務署に対して贈与があったことを説得的に説明することが難しくなります。

特に、被相続人が亡くなった後の相続税の税務調査では、被相続人本人から事情を聞くことができないため、通帳の入出金履歴や贈与契約書、贈与税の申告書といった書面が、贈与の事実を裏付ける重要な証拠となります。こうした記録が整っていない場合、贈与ではなく、単に口座名義を移しただけの名義預金であると判断されるリスクが高まります。生前贈与を行う際には、金額の多寡にかかわらず、贈与契約書を作成し、必要に応じて贈与税の申告を行い、記録を残しておくことが望ましいとされています。特に、贈与税がかからない範囲の少額な贈与であっても、後から実態を説明できるよう記録を残しておくことが、将来の税務調査への備えになります。振込による贈与であれば通帳の記録が残りますが、現金を手渡しした場合には記録が残りにくいため、領収書やメモを残しておくなどの工夫も有効です。

名義は変わっても管理実態が伴わないケース

贈与が税務上有効に成立したと認められるためには、単に口座の名義を子や孫に変更するだけでは不十分であり、実際にその財産の管理・処分権限が受贈者に移っていることが重要とされています。よくあるケースとして、被相続人が子や孫の名前で口座を開設し、そこに毎年一定額を入金していたものの、通帳や印鑑、キャッシュカードは被相続人自身が保管し続け、受贈者となるはずの子や孫はその口座の存在自体を知らなかった、あるいは自由に引き出すことができなかったという状況が挙げられます。

このような場合、形式的には贈与が行われたように見えても、実質的な財産の支配権は被相続人のもとにあったと判断され、贈与としては認められず、相続財産に含めるべき名義預金として扱われる可能性があります。また、暦年贈与を毎年同じ時期・同じ金額で機械的に継続していた場合には、あらかじめ定められた総額を分割して贈与していたとみなされ、定期贈与として一括で課税される可能性が指摘されることもあります。贈与の実態を伴わせるためには、受贈者自身が通帳や印鑑を管理し、贈与された財産を自分の意思で使用できる状態にしておくことが大切です。未成年の子や孫への贈与の場合には、親権者が通帳を管理すること自体は自然なことですが、その場合でも贈与契約書を作成し、贈与税の申告を行っておくなど、形式面での記録を残しておくことが望ましいとされています。子や孫が成人した後は、口座の存在を伝え、通帳や印鑑を本人に引き継ぐことで、名実ともに贈与が完結した状態にしておくことも大切です。

相続税の税務調査当日の一般的な流れ

相続税の税務調査は、多くの場合、事前に税務署から電話等で連絡があり、調査の実施日程についてあらかじめ相続人や関与税理士との間で調整が行われます。これを事前通知と呼び、通常は調査予定日の1週間から2週間程度前に連絡が来ることが多いとされています。事前通知では、調査の対象となる税目や期間、調査の目的、当日訪問する予定の場所などが伝えられます。調査当日は、国税局や税務署の担当者が2名程度で被相続人の自宅や相続人の自宅を訪問することが多いとされています。

一般的な傾向として、午前中は主に相続人へのヒアリングが中心となります。被相続人の経歴や職業、生前の生活状況、収入や資産形成の経緯、家族関係、趣味や交友関係などについて、雑談を交えながら幅広く質問が行われることが多いといわれています。これは、被相続人の生前の生活実態や資産の形成過程を把握し、申告された財産と実際の資産状況との間に不自然な点がないかを確認するためとされています。昼の休憩を挟んだ後、午後になると、通帳や印鑑、権利証、契約書などの書類の確認や、金庫・タンスなどの現物確認が行われることが多い傾向があります。この段階で、申告されていない預金通帳や、贈与に関する資料、生命保険証券などが見つかることもあり、それが申告漏れの指摘につながることもあります。調査は通常1日で終わることもあれば、複数日にわたって実施されることもあり、調査後に税務署から追加の資料提出を求められる場合もあります。

また、調査の対象は被相続人や相続人本人だけでなく、必要に応じて配偶者や同居していた家族にも質問が及ぶことがあります。生前の資金管理や日常生活の実態について、複数の家族から話を聞くことで、申告内容と実際の生活状況との整合性を多角的に確認しようとする狙いがあるとされています。

調査の初日で確認が終わらない場合には、後日改めて追加の調査や書面での照会が行われることもあります。特に、資金の流れが複雑な場合や、複数の金融機関にまたがる取引がある場合には、確認作業に時間がかかり、調査が長期化する傾向があるとされています。

事前通知から調査当日までの準備

税務調査の事前通知を受けたら、まずは関与税理士に連絡し、調査当日までにどのような準備をしておくべきか相談することが望ましいでしょう。事前通知の際には、調査の対象となる税目や対象期間、当日訪問する予定の場所などが伝えられるため、これに基づいて必要な書類を整理しておきます。具体的には、被相続人名義の預金通帳や証書、生命保険証券、不動産の権利証や固定資産税の課税明細書、有価証券の取引残高報告書、贈与契約書や贈与税の申告書控えなどを、すぐに提示できるようにまとめておくことが有用です。

また、家族名義の口座についても、被相続人からの入金や贈与の経緯を説明できるよう、通帳や関連資料を確認しておくとよいでしょう。当日は、相続人本人だけでなく、関与税理士が立ち会うことも一般的です。税理士が同席することで、専門的な質問への対応や、申告内容の根拠についての説明をスムーズに行うことができ、相続人の精神的な負担も軽減されると考えられています。事前の準備を丁寧に行っておくことが、調査当日の対応をより円滑にする鍵となります。当日質問される可能性のある内容について、あらかじめ税理士と想定問答を確認しておくことも、落ち着いて対応するための有効な手段のひとつです。自宅を片付けておくことも、書類や通帳をスムーズに提示するうえで意外と重要な準備のひとつとされています。

午前のヒアリングと午後の書類確認の内容

税務調査当日の一般的な流れとして、午前中は相続人に対するヒアリングが中心になることが多いとされています。被相続人がどのような職業に就いていたか、生前の収入や生活水準はどの程度であったか、趣味や交友関係、家族との関わり方などについて、雑談のような形で幅広く質問が行われることがあります。これは、申告された財産の規模と、被相続人の生前の生活実態との間に不自然な点がないかを確認するためのものとされています。たとえば、生前の収入に対して申告された財産が極端に少ない場合、どこかに申告されていない財産があるのではないかという観点から、より踏み込んだ質問がなされることもあります。

昼休憩を挟んだ午後は、通帳や印鑑、権利証、保険証券といった書類の実物確認や、自宅の金庫、タンス、書斎などの現物確認が行われることが多い傾向があります。この際、申告書に記載のない預金通帳や、家族名義の口座に関する資料が見つかることもあり、それをきっかけに名義預金や生前贈与に関する質問が深掘りされることもあります。質問には正確に、かつ分かる範囲で答えることが基本とされ、記憶が曖昧な点については無理に断定せず、後日確認して回答する形でも差し支えないとされています。同席している税理士が、質問の趣旨を確認したり、専門的な観点から補足説明を行ったりすることで、やり取りが円滑に進むことも多いとされています。

調査後に想定される結果とペナルティの種類

税務調査の結果、申告内容に問題がないと判断されれば、特に是正を求められることなく調査が終了します。これを申告是認と呼ぶことがあります。一方で、申告漏れや評価の誤りが指摘された場合には、相続人自身が自主的に修正申告を行うことになるのが一般的です。修正申告とは、当初申告した税額が過少であったことを認め、正しい税額に修正して再度申告手続きを行うものです。相続人が修正申告に応じない場合には、税務署長が職権で税額を是正する更正という手続きが取られることもあります。

修正申告や更正が行われた場合、当初の申告で納めるべきだった税額と実際に納めた税額との差額について、追加で納税する義務が生じます。それに加えて、いくつかのペナルティが課される可能性があります。代表的なものが過少申告加算税で、当初の申告税額が過少であったことに対して課される加算税です。税務調査の通知後、実地調査が行われる前に自主的に修正申告をした場合と、調査によって指摘されてから修正申告をした場合とでは、加算税の割合が異なるとされており、自主的な修正の方が有利になる傾向があります。また、財産を意図的に隠したり、事実を仮装したりしたと認められる悪質なケースでは、過少申告加算税に代えて、より重い重加算税が課されることがあります。さらに、法定申告期限の翌日から納付までの期間に応じて延滞税が課されることもあります。これらのペナルティは、申告漏れの内容や経緯によって適用される種類や割合が異なるため、指摘を受けた場合には税理士に相談しながら適切に対応することが重要です。

なお、修正申告や更正によって追加の税額が確定した場合、その納付についても原則として速やかに行う必要があります。一括での納付が難しい事情がある場合には、延納などの制度が利用できないか、あわせて検討することも考えられます。いずれにしても、指摘を受けた内容を放置せず、早めに対応することが延滞税などの負担を抑えることにつながります。

まれに、税務署の判断に納得できない場合には、再調査の請求や審査請求といった不服申立ての手続きを利用することも制度上は可能です。ただし、こうした手続きには専門的な知識と一定の労力を要するため、実際に争うかどうかは、指摘内容の妥当性や見込まれる負担などを踏まえ、税理士とよく相談したうえで判断することが望ましいでしょう。

修正申告と更正の違い

修正申告とは、相続人自身が、当初申告した相続税額が実際よりも少なかったことに気づき、あるいは税務調査での指摘を受けて、正しい税額に修正して自主的に再申告する手続きのことをいいます。修正申告は、相続人側の意思に基づいて行われる点が特徴です。これに対して更正とは、相続人が修正申告に応じない場合や、税務署と相続人との間で申告すべき財産の範囲や評価額について見解の相違がある場合などに、税務署長が職権によって税額を是正する手続きのことをいいます。

更正が行われると、修正申告の場合と同様に、追加で納付すべき税額が確定しますが、更正の内容に不服がある場合には、不服申立てや税務訴訟といった手続きを通じて争うことも制度上は可能とされています。実務上は、税務調査で指摘を受けた場合、多くのケースで相続人側が指摘内容を受け入れ、修正申告によって対応することが多いとされていますが、評価方法などについて意見の相違がある場合には、税理士を通じて税務署と協議を行うことも重要です。感情的に対立するのではなく、根拠資料を示しながら冷静に説明を尽くすことが、円満な解決につながりやすいとされています。修正申告を行った場合でも、その後の対応が適切であれば、翌年以降の税務関係に大きな支障が生じるわけではないとされています。

加算税・延滞税の種類と目安

税務調査によって申告漏れが指摘され、修正申告や更正が行われた場合には、本来納めるべきであった税額に加えて、いくつかの附帯税が課されることがあります。代表的なものが過少申告加算税で、当初申告していた税額が過少であったことに対するペナルティとして課されます。税務署から調査の事前通知を受けた後、実地調査が始まる前に自主的に修正申告を行った場合には、加算税が軽減される、あるいは一定の場合には課されないこともあるとされ、調査によって指摘を受けてから修正申告をする場合よりも有利に扱われる傾向があります。

また、財産を隠したり、帳簿や書類を偽装したりするなど、仮装・隠蔽と評価されるような悪質な行為があったと認められる場合には、過少申告加算税よりも重い重加算税が課されることになります。重加算税の対象となる名義預金の申告漏れなども、経緯や実態によってはこれに該当すると判断される可能性があります。さらに、法定申告期限の翌日から実際に税金を納付する日までの期間に応じて、延滞税が別途課されます。延滞税の割合は期間の経過に応じて段階的に変わるとされており、納付が遅れるほど負担が増える仕組みになっています。これらの附帯税は、本来納めるべき税額に上乗せされる形で発生するため、申告漏れが指摘された場合の負担は決して小さくないという点を理解しておく必要があります。加算税や延滞税の負担を避けるためにも、申告期限内に、把握できる限りの財産を漏れなく反映させた申告書を作成しておくことが何より重要です。

書面添付制度と税理士への意見聴取

相続税の税務調査に関連して知っておきたい制度のひとつに、書面添付制度があります。これは税理士法第33条の2に基づく制度で、税理士が申告書を作成する際に、どのような資料に基づいて申告内容を検討したか、財産の評価や申告に至る過程でどのような判断を行ったかといった事項を、一定の書面にまとめて申告書に添付することができるという制度です。この書面には、たとえば名義預金の有無をどのように確認したか、生前贈与の実態をどのように把握したか、非上場株式や不動産の評価においてどのような資料や方法を用いたかといった点が具体的に記載されます。

書面添付が行われた申告書について税務署が調査の必要性を検討する場合には、いきなり実地調査に着手するのではなく、まず税理士に対して書面に記載された事項について説明を求める意見聴取の機会を設けることとされています。この意見聴取の場で、税理士が税務署の疑問点に十分に説明を行い、税務署側がそれで納得できると判断すれば、実地調査が省略されることもあるとされています。逆に、意見聴取の結果、なお確認すべき点が残ると判断された場合には、通常どおり実地調査が行われることになります。書面添付制度を利用したからといって税務調査が必ず行われなくなるわけではありませんが、税理士が申告内容の根拠を丁寧に整理し、その過程を書面化しておくこと自体が、申告内容の信頼性を高めることにつながると考えられています。

相続税の申告は、財産の評価に専門的な判断が伴う場面が多く、書面添付によってその判断過程を可視化しておくことは、申告内容に対する説明責任を果たすという観点からも意義があるとされています。依頼する税理士が書面添付に対応しているかどうかは、事前に確認しておくとよいでしょう。

書面添付制度は相続税に限らず、所得税や法人税など幅広い税目で利用できる制度ですが、相続税の申告は財産の評価に判断の幅が生じやすいため、特に活用の意義が大きい場面のひとつといわれています。制度の趣旨を正しく理解し、単なる書類の一つとしてではなく、申告内容の質を高める手段として捉えることが大切です。

書面添付制度とはどのような制度か

書面添付制度は、税理士法第33条の2に基づいて設けられている制度で、税理士が申告書を作成するにあたり、どのような資料や説明に基づいて申告内容を検討し、どのような判断過程を経て申告書を作成したかを、所定の書面に具体的に記載して申告書とあわせて提出する仕組みです。相続税の申告においては、財産の評価方法の根拠、名義預金や生前贈与の有無についての確認状況、非上場株式や土地の評価に用いた資料や計算過程など、税務署が調査の際に確認したいと考えるであろう事項について、あらかじめ税理士の側から説明を尽くしておくという性格を持っています。

この制度を利用するかどうかは税理士の判断に委ねられており、すべての申告書に付されるわけではありませんが、丁寧に作成された書面添付は、申告内容の透明性を高め、税務署からの信頼を得やすくする効果があるとされています。書面添付を行うためには、税理士自身が申告内容について深く検討し、根拠資料を整理しておく必要があるため、結果として申告書全体の精度を高めることにもつながると考えられています。書面添付は義務ではありませんが、依頼者にとっても申告内容の根拠が明確になるというメリットがあるため、活用を検討する価値があるといえるでしょう。書面の作成には一定の手間がかかるため、対応の可否や費用について、依頼前に確認しておくと安心です。

意見聴取が調査の要否に与える影響

書面添付が行われた申告書について、税務署が調査の必要性を検討する際には、いきなり相続人宅を訪問して実地調査を行うのではなく、まず税理士に対して書面に記載された事項について説明を求める意見聴取の機会が設けられることとされています。この意見聴取は、税務署の担当者と税理士との間で行われるもので、相続人本人が同席する必要は基本的にありません。

意見聴取の場では、書面に記載された財産評価の根拠や、名義預金・生前贈与の確認状況などについて、税理士が追加で説明を行います。この説明によって税務署側の疑問が解消されたと判断されれば、実地調査を行わずに申告内容が是認されることもあるとされています。一方で、意見聴取を経てもなお疑義が残ると判断された場合には、通常どおり実地調査に進むことになります。意見聴取の機会が設けられること自体が、相続人にとっては、実地調査を受けることなく申告手続きが終了する可能性を広げるものであり、書面添付制度を活用する意義のひとつとされています。相続人にとっては、実地調査の連絡が来ることへの心理的な負担が軽減されるという点でも、意見聴取の仕組みは意味のあるものといえるでしょう。意見聴取の対象になるかどうかも含め、書面添付を行った申告のその後の扱いについては、税理士に確認しておくと経過を把握しやすくなります。

申告前の見直しが指摘を防ぐ最善の備え

ここまで見てきたように、相続税は他の税目と比べて税務調査の対象になりやすく、現金・預貯金や名義預金、生前贈与の記録不備などが指摘されやすいポイントとして挙げられます。しかし、税務調査そのものを過度に恐れる必要はありません。調査が行われることと、申告に問題があることとは必ずしもイコールではなく、内容の整った申告書であれば、調査が行われたとしても特に指摘を受けることなく終了するケースも少なくありません。

重要なのは、税務調査が行われるかどうかにかかわらず、申告の段階で財産をもれなく把握し、その評価や取り扱いについての根拠資料をきちんと整理しておくことです。具体的には、被相続人名義の預金だけでなく、家族名義の口座についても、資金の出所や管理状況を確認し、必要であれば名義預金として申告に含めるかどうかを検討します。生前贈与を行っていた場合には、贈与契約書や贈与税の申告状況、受贈者による財産の管理状況などを確認し、贈与として認められる実態が伴っているかを見直しておくことも大切です。不動産や有価証券、生命保険金、退職手当金といった財産についても、評価方法や申告の根拠を明確にしておくことで、税務署からの信頼性が高まり、調査対象として選定されにくくなると考えられています。また、書面添付制度を活用し、税理士が申告内容の検討過程を書面にまとめておくことも、指摘を受けにくくするための有効な手段のひとつです。相続税の申告は、多くの人にとって不慣れな手続きですが、財産の網羅的な把握と根拠資料の整理という基本を丁寧に積み重ねておくことが、税務調査への何よりの備えになるといえるでしょう。

相続が発生した後は、葬儀や各種手続きに追われ、財産の把握や資料の整理にまで手が回らないことも少なくありません。だからこそ、早い段階から税理士に相談し、専門的な視点で財産を洗い出してもらうことが、結果的に申告漏れを防ぎ、税務調査への不安を軽減することにつながります。

可能であれば、生前のうちから財産の状況を整理し、家族間で情報を共有しておくことも有効な備えになります。名義預金や生前贈与の実態についても、贈与を行った本人が元気なうちに記録を残しておくことで、相続発生後に実態を確認する手間が大きく減ります。税務調査は決して特別な出来事ではなく、日頃からの丁寧な財産管理の延長線上にあるものと捉えておくとよいでしょう。

財産をもれなく把握するためのチェックポイント

申告前の財産把握においては、預貯金や有価証券といった代表的な財産だけでなく、見落とされがちな財産にも目を向けることが重要です。たとえば、被相続人が家族名義で保有していた口座については、資金の拠出者や通帳・印鑑の管理者を確認し、実質的に被相続人の財産と判断される可能性がないかを検討します。生命保険金や死亡退職金についても、非課税枠の適用を含めて正確に把握しておく必要があります。

不動産については、自宅や賃貸物件だけでなく、共有持分や先代名義のまま相続登記が済んでいない土地、使用貸借で他人に貸している農地なども申告対象となる可能性があります。海外に保有する預金や不動産などの国外財産についても漏れなく確認することが求められます。さらに、被相続人が経営していた会社への貸付金や、未収の役員報酬、貴金属や書画骨董といった動産類も見落とされやすい財産です。これらを一つひとつ丁寧に洗い出し、一覧化しておくことが、申告漏れを防ぐ第一歩になります。生前から財産の一覧表を作成しておく習慣があると、相続発生後の確認作業もスムーズに進めやすくなります。財産の一覧は一度作成して終わりにするのではなく、状況の変化に応じて定期的に更新しておくことが望ましいでしょう。

根拠資料を整理しておくことの重要性

財産を漏れなく把握することに加えて、申告した内容の根拠となる資料を整理しておくことも、税務調査への備えとして重要です。たとえば、預貯金であれば通帳や証書の写し、生前の入出金履歴、不動産であれば登記事項証明書や固定資産税評価証明書、有価証券であれば取引残高報告書などを、申告書とあわせて保管しておくとよいでしょう。生前贈与を行っていた場合には、贈与契約書や贈与税の申告書控え、贈与を受けた側の通帳など、贈与の実態を裏付ける資料を整理しておくことが望ましいとされています。

非上場株式や土地など、評価方法によって金額に幅が出やすい財産については、どのような資料や計算方法に基づいて評価を行ったかを記録しておくことで、後から説明を求められた際にも根拠を示しやすくなります。こうした資料の整理は、税務調査が行われるかどうかにかかわらず、申告内容の正確性を担保するうえでも有用です。日頃から資料を整理しておく習慣が、結果として税務調査への安心感にもつながるといえるでしょう。資料をひとつのファイルにまとめて保管しておくなど、家族にも分かりやすい形で整理しておくことも、いざというときの備えになります。相続税の申告や税務調査への対応に不安がある場合には、早めに税理士へ相談し、専門的な立場からのアドバイスを受けることも心強い備えとなるでしょう。

税理士法人アウル
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