[池袋] 老人ホーム入居中の相続で小規模宅地等の特例は使える?適用要件と注意点
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query_builder 2026/08/26 相続税

自宅で長年暮らしていた方が、加齢や体調の変化により老人ホームなどの施設に入居し、そのまま亡くなるケースは珍しくありません。こうした場合、空き家となった自宅の宅地について、相続税の小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)を適用できるのかどうかは、多くのご家族が疑問に感じる点です。本記事では、老人ホーム入居中に相続が発生した場合の特例適用の考え方や必要な要件、実務上の注意点について解説します。

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小規模宅地等の特例の基本とは

小規模宅地等の特例は、被相続人が住んでいた自宅の土地や、事業・貸付けに使っていた土地について、一定の要件を満たす場合に相続税の課税価格の計算上、評価額を大きく減額できる制度とされています。特に自宅の土地に適用される「特定居住用宅地等」の区分では、要件を満たせば評価額を最大80%減額できるとされており、相続税の負担に大きな影響を与える特例のひとつと考えられます。

この特例は、残された家族が住み慣れた自宅を手放さざるを得なくなる事態を避ける趣旨で設けられているといわれています。評価額が大きく下がることで、相続税額そのものが下がるだけでなく、他の相続財産とのバランスを考えた遺産分割がしやすくなる面もあると考えられます。

ただし、この特例は自動的に適用されるものではなく、相続税の申告書に一定の書類を添付して選択適用する必要があるとされています。また、適用対象となる宅地等の範囲や取得者の要件は細かく定められているため、要件を一つひとつ確認しながら判断を進めることが重要です。

小規模宅地等の特例が対象とするのは、あくまで「宅地等」であり、建物そのものの評価を減額する制度ではないとされています。建物は別途、固定資産税評価額をもとに評価されるのが一般的であり、この特例による評価減はその上に存する敷地部分に限られる点を押さえておく必要があります。

また、対象となる宅地等の区分は自宅の敷地である特定居住用宅地等だけでなく、事業に使っていた土地の特定事業用宅地等、同族会社に貸し付けていた土地の特定同族会社事業用宅地等、賃貸不動産の敷地である貸付事業用宅地等など複数存在するとされています。被相続人の財産に複数の区分に該当する宅地等が含まれる場合には、どの宅地等について特例を選択するかによって限度面積の調整計算が必要になることもあると考えられます。

このように、小規模宅地等の特例は制度としての射程が広く、単に自宅の評価が下がるかどうかだけでなく、事業用資産や賃貸不動産を含めた財産全体の評価にも影響し得るものと理解しておくとよいでしょう。今回取り上げる老人ホーム入所のケースは、このうち特定居住用宅地等の適用可否をめぐる論点にあたります。

都市部に自宅がある場合、路線価をもとにした評価額が高額になりやすく、80%という減額幅は相続税額全体に与える影響も大きいと考えられます。だからこそ、要件を正しく理解し、適用できる場面で確実に適用を受けられるようにしておくことが重要といえます。

なお、この特例を適用した結果として相続税額がゼロになる場合であっても、特例の適用を受けるためには相続税の申告書を提出する必要があるとされています。税額が発生しないからといって申告そのものを省略できるわけではない点には注意が必要です。

この点は見落とされやすい実務上のポイントとされています。「税額が出ないなら申告しなくてよい」という思い込みから申告を怠ってしまうと、後になって特例の適用自体が認められなくなるおそれもあるため、専門家に確認しながら手続きを進めることが望ましいと考えられます。

特定居住用宅地等の意義

特定居住用宅地等とは、被相続人またはその生計を一にしていた親族が居住していた宅地等のうち、一定の要件を満たす部分を指すとされています。典型的には、被相続人が亡くなる直前まで住んでいた自宅の敷地がこれに該当すると考えられます。

誰がその宅地等を取得するかによって要件が異なり、配偶者が取得する場合には特段の要件は課されない一方、それ以外の親族が取得する場合には、同居していたかどうかや、その後も居住を継続するかどうかといった要件が関係してくるとされています。

なお、いわゆる二世帯住宅で親世帯と子世帯が構造上区分された建物に住んでいたようなケースでも、一定の要件のもとで同居していたものとして扱われる場合があるとされています。建物の内部構造だけで判断が分かれるため、該当するかどうかは個別の確認が望ましいと考えられます。

こうした細かな区分の違いは、老人ホーム入所のケースを検討するうえでも土台となる知識といえます。まずは基本的な区分を押さえたうえで、次項以降で老人ホーム入所特有の論点を確認していきます。

特定居住用宅地等は、被相続人が一人で住んでいた自宅だけでなく、家族と共に暮らしていた自宅にも当然に及ぶ考え方とされています。家族構成や同居の状況によって適用の可否が変わってくるため、それぞれのケースに即した確認が欠かせません。

減額割合と限度面積

特定居住用宅地等に該当する場合、限度面積である330平方メートルまでの部分について、評価額を80%減額できるとされています。限度面積を超える部分については、この特例の対象外となる点にも注意が必要です。

評価額が大きく下がることで納税額そのものが軽くなるだけでなく、納税資金の確保がしやすくなるといった効果も期待できると考えられます。特に不動産のように換金しにくい財産が中心の相続では、この効果の大きさが実務上とても重要になると考えられます。

手元の現金だけでは納税資金が不足しがちな相続でも、評価額が下がることで資金計画に余裕が生まれる場合があると考えられます。土地を手放さずに納税を済ませられるかどうかという観点からも、この特例の意義は大きいといえます。

参考までに、貸付事業用宅地等は200平方メートルまで50%、特定事業用宅地等や特定同族会社事業用宅地等は400平方メートルまで80%の減額とされており、区分によって限度面積や減額割合が異なります。複数の区分に該当する宅地等がある場合には、どの組み合わせが有利になるかを試算しながら検討することが望ましいと考えられます。

評価額の減額幅が大きいだけに、要件を誤って判断してしまうと、申告後の税額に想定以上の影響が生じる可能性もあります。次項以降で取り上げる老人ホーム入所特有の要件についても、慎重に確認しておくことが重要です。

限度面積の計算は一つの宅地等だけで完結する場合もあれば、複数の宅地等にまたがって調整が必要になる場合もあるとされています。財産構成が複雑な場合には、シミュレーションを行いながら最も有利な適用方法を検討することが望ましいと考えられます。

自宅の敷地面積が330平方メートルを大きく超えるようなケースでは、超過部分について評価減が受けられない結果、想定より税負担が大きくなることもあり得ます。事前に敷地の面積を確認し、大まかな税額の見通しを立てておくことも実務上有効と考えられます。

また、路線価が付されていない地域の宅地等については、倍率方式など別の評価方法が用いられるとされています。評価方法そのものも地域によって異なるため、自宅の所在地に応じた評価方法をあらかじめ確認しておくことが望ましいと考えられます。

老人ホーム入居と「居住の用に供されていた」の考え方

特定居住用宅地等の要件を考えるうえで、まず問題となるのが「被相続人の居住の用に供されていた宅地等」という文言の解釈とされています。文字どおりに読むと、亡くなった時点で実際にその家に住んでいなければ対象にならないようにも思えますが、老人ホームなどの施設に入所していた場合については、一定の要件のもとで例外的な取り扱いが認められているとされています。

これは、加齢や病気、要介護状態などのやむを得ない事情により施設に入所した方について、単に「亡くなる直前まで自宅に住んでいなかった」という理由だけで特例の対象外としてしまうのは、制度の趣旨に合わないと考えられているためといわれています。そのため、一定の要件を満たせば、施設入所前まで住んでいた自宅の宅地等も、引き続き「居住の用に供されていた宅地等」とみなされる取り扱いがあるとされています。

もっとも、この取り扱いはあくまで例外的なものであり、要件を満たさない場合には原則どおり特例の対象外となる可能性があります。要介護認定の有無や施設の種類、入所後の自宅の使用状況など、複数の要件を総合的に確認する必要があると考えられます。

また、この取り扱いはあくまで「入所前まで自宅に居住していたこと」を前提とするものであるとされています。もともと自宅に住んでいなかった被相続人が、老人ホーム入所を機にその宅地等について特例を主張することはできないと考えられ、入所前の居住実態も確認しておくべき事項のひとつといえます。

このように、老人ホーム入所というライフイベントは、税務上「居住の用に供されていた」という状態がどこまで継続しているとみなされるかという、やや技術的な論点を含んでいます。次項からは、この考え方を支える具体的な要件について、順を追って確認していきます。

実務上は、被相続人が施設に入所した経緯や理由を、家族が客観的な資料とともに整理しておくことが重要とされています。感覚的に「介護が必要だったから」と説明するだけでなく、要介護認定の記録などの裏付けを準備しておくことが望ましいと考えられます。

こうした考え方は、被相続人が老人ホーム以外の理由、たとえば単なる利便性や趣味嗜好から自宅を離れて別の場所で暮らしていたようなケースには当てはまらないとされています。あくまで介護等のやむを得ない事情が前提になっている点を混同しないよう注意が必要です。

たとえば、子ども夫婦の近くで暮らしたいという理由だけで自宅を離れ、賃貸住宅などに転居していたような場合には、この老人ホーム入所に関する取り扱いとは別の論点として整理する必要があると考えられます。転居の理由がどのようなものであったかは、丁寧に振り返っておくべき事項といえます。

みなし規定が設けられている背景

この取り扱いは、税制改正によって明文化された経緯があるとされています。高齢化が進むなかで、要介護状態となった高齢者が自宅での生活を続けることが難しくなり、老人ホームなどの施設に入所するケースが増えてきた社会的背景を踏まえたものといわれています。

単身で暮らしていた高齢者が施設に入所し、そのまま自宅に戻ることなく亡くなった場合でも、やむを得ない事情による転居であれば、それまでの生活の本拠であった自宅の評価を大きく下げる余地を残す趣旨と考えられます。

この規定が設けられる以前は、施設入所によって「居住の用に供されていない」と判断され、特例の対象外とされてしまう例があったともいわれています。現在の取り扱いは、そうした実情を踏まえて整理されたものと理解しておくとよいでしょう。

背景を理解しておくと、要件がなぜそのように定められているのかを納得しやすくなります。単なる形式的な条件としてではなく、制度趣旨に立ち返って一つひとつの要件を確認する姿勢が実務上も役立つと考えられます。

こうした制度の変遷を知っておくことは、細かな要件を丸暗記するよりも、判断に迷う場面での考え方の軸になるといわれています。要件の背景にある趣旨を意識しながら、個別の事情にあてはめていくことが望ましいと考えられます。

空き家となった自宅の位置づけ

施設入所後の自宅は、誰も住んでいない空き家の状態になることが多いと考えられます。この場合でも、後述する要件を満たしていれば、空き家であること自体が特例の適用を妨げるものではないとされています。

ただし、空き家のまま維持するか、第三者に貸し出すか、親族が住み続けるかによって、税務上の取り扱いが変わってくる点には注意が必要です。この点は後の項目で詳しく確認します。

空き家の管理そのものは特例の要件として明示されているわけではないとされていますが、定期的な換気や清掃などを行い、いつでも居住可能な状態を維持しておくことは、実態としての居住用不動産であることを裏付ける一助になるとも考えられます。

遠方に住む親族が管理を担うことが難しい場合には、空き家の管理を専門とするサービスを利用する選択肢もあるといわれています。管理の実態を記録として残しておくことも、後々の確認作業に役立つと考えられます。

自宅の固定資産税や火災保険の支払いを誰が続けているかといった経済的な負担の状況も、実質的な管理実態を示す情報として参考になる場合があると考えられます。日頃からこうした支払い状況を記録しておくとよいでしょう。

老人ホーム入居中でも特例の対象となるための要件

老人ホームなどに入所していた被相続人の自宅について特定居住用宅地等の特例を検討する場合、大きく分けて二つの要件を満たす必要があるとされています。一つは被相続人自身に関する要件、もう一つは入所先の施設に関する要件です。

被相続人に関する要件としては、相続開始の直前において、介護保険法上の要介護認定または要支援認定を受けていたこと(あるいはこれに準ずる状態にあったこと)が挙げられます。判定を受けた時期については、実際に施設へ入所した後であっても差し支えないとされる場合があるといわれていますが、詳細な適用関係は個別の事情によって異なるため、慎重な確認が必要です。

施設に関する要件としては、老人福祉法や介護保険法などに定められた一定の施設に入所していたことが求められるとされています。次の項目で、対象となる施設の範囲についてもう少し詳しく整理します。

なお、要介護認定・要支援認定を受ける前に急に体調を崩し、認定手続きが済まないまま老人ホームに入所し、そのまま相続が発生してしまうようなケースも考えられます。このような場合の取り扱いは個々の事情によって判断が分かれる可能性があるため、認定手続きはできる限り早めに進めておくことが望ましいと考えられます。

これら二つの要件はいずれも欠かせないものであり、片方だけを満たしていても特例の適用が認められない可能性があるとされています。次の項目では、それぞれの要件についてさらに詳しく確認していきます。

要件を満たしているかどうかの判断に迷う場合には、自己判断で結論を出すのではなく、税務の専門家に個別の事情を伝えたうえで確認してもらうことが望ましいと考えられます。とくに施設の類型については、専門家でも資料の確認が必要になることが多いようです。

被相続人が複数の施設を転々としていた場合や、一時的に病院への入院を挟んでいた場合など、経緯が複雑になるケースもあります。そのような場合には、時系列を丁寧に整理したうえで、それぞれの期間についての取り扱いを個別に確認する必要があると考えられます。

たとえば、自宅からいったん病院に入院し、その後に老人ホームへ入所して亡くなったようなケースでは、病院に入院していた期間の取り扱いも含めて確認しておくことが望ましいと考えられます。入院と施設入所とでは制度上の位置づけが異なる可能性があるため、慎重な整理が必要です。

また、老人ホームに入所した後、さらに要介護度が重くなって別の医療機関に転院したまま亡くなるようなケースも珍しくないとされています。こうした一連の経過をひとつの時系列として整理し、専門家に共有しておくことが円滑な申告につながると考えられます。

要介護認定・要支援認定に関する要件

要介護認定や要支援認定は、市区町村が実施する介護保険の仕組みのなかで判定されるものとされています。認定区分には要支援1・2、要介護1から5までの段階があり、いずれかの認定を受けていれば要件を満たす方向で考えられることが多いといわれています。

なお、認定を受けていたことを裏付ける資料は、後述する申告実務のなかで重要な書類のひとつになります。介護保険の被保険者証や認定結果通知書などを保管しておくことが望ましいとされています。

認定の更新時期と相続開始日との前後関係によっては、相続開始時点でどの認定区分が有効であったかを確認する作業が必要になる場合もあるといわれています。認定の履歴が分かる書類は、複数年分をまとめて保管しておくと安心です。

要支援・要介護の認定は、身体状況の変化に応じて区分が見直されることも珍しくないとされています。入所時と相続開始時とで認定区分が異なっている場合もあり得るため、時系列で認定の推移を確認しておくと安心です。

認定を受けないまま病状が急変し、入院や入所を経て亡くなるようなケースもあり得ます。こうした場合には、医療記録や介護保険の申請状況など、周辺の資料もあわせて確認しながら要件を検討することになると考えられます。急な入院や入所であっても、申請自体は早めに行っておくことが望ましいと考えられます。

施設の種類に関する要件

対象となる施設としては、有料老人ホーム、軽費老人ホーム、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、サービス付き高齢者向け住宅の一部など、老人福祉法や介護保険法等に根拠を持つ一定の施設が想定されているとされています。

一方で、これらの法令上の位置づけを持たない施設に入所していた場合には、特例の対象とならない可能性があるといわれています。入所を検討する段階や、相続税申告の準備を進める段階で、施設がどのような位置づけにあるかを確認しておくことが実務上重要になると考えられます。

また、認知症高齢者向けのグループホームなど、施設の名称だけでは判断がつきにくいケースもあるとされています。施設のパンフレットや契約書に記載されている法令上の位置づけを確認し、不明な場合は施設側に直接問い合わせることも一つの方法と考えられます。

同じ「老人ホーム」という呼び方であっても、運営形態や根拠法令によって位置づけが異なる場合があるため、施設名だけで判断せず、入所時の契約書類までさかのぼって確認することが望ましいと考えられます。

入所先を選ぶ段階では、費用やサービス内容が重視されがちですが、将来の相続税申告への影響という観点からも、施設の法令上の位置づけを一度確認しておくと安心につながると考えられます。入所相談の窓口で、施設の法的な位置づけについて尋ねてみるのも一つの方法と考えられます。

老人ホーム入所後に自宅を賃貸すると特例はどうなるか

老人ホームに入所した後、空き家となった自宅を第三者に賃貸して収入を得るケースも考えられます。しかし、このように自宅を貸付けの用に供してしまうと、特定居住用宅地等としての特例の適用が受けられなくなる可能性が高いとされています。

これは、被相続人の居住の用に供されていたとみなすための要件のなかに、その家屋を事業の用や貸付けの用に供していないことといった趣旨の条件が含まれているためといわれています。賃貸によって収益を生む状態になった時点で、単なる一時的に空き家になっている自宅とは異なる性質を持つと評価される可能性があります。

相続税の負担を軽くしたいという理由だけで空き家にしておくべきかどうかは、家賃収入とのバランスや、他の財産の状況なども踏まえて判断すべき事柄であり、一概にどちらが得とはいえない面があると考えられます。

なお、自宅を賃貸に出して収益物件として活用すること自体は、資産の有効活用として一つの選択肢になり得ますが、その場合は特定居住用宅地等ではなく、貸付事業用宅地等としての取り扱いが検討対象になる可能性があります。区分が変われば限度面積や減額割合、取得者に求められる要件も変わってくるため、どちらの選択が全体として有利かを事前に試算しておくことが望ましいと考えられます。

介護費用の負担が大きくなり、家賃収入で補いたいという事情も理解できるところですが、特例の適用要件への影響を知らないまま賃貸を始めてしまうと、結果的に相続税の負担が増えてしまう可能性もあります。賃貸を検討する際は、税務上の影響もあわせて確認しておくことが望ましいと考えられます。

家族としては「空き家のままではもったいない」と感じることもあるかもしれませんが、賃貸による収入と相続税評価額への影響を総合的に比較したうえで判断することが、結果的に望ましい選択につながると考えられます。

既に賃貸に出してしまった後で特例の適用ができないと判明するケースを避けるためにも、賃貸を始める前の段階で、税理士などの専門家に相談しておくことが望ましいと考えられます。契約を結んでからでは対応が難しくなる場合もあります。

不動産会社から賃貸募集を勧められる場面もあるかもしれませんが、税務上の影響を十分に理解しないまま契約を進めてしまうことのないよう、家族内で情報を共有し、慎重に意思決定を行うことが望ましいと考えられます。

施設の入居費用が想定以上にかさみ、やむを得ず自宅を活用して収入を得たいと考える家族も少なくないと思われます。そうした場合には、賃貸以外の資金調達方法についても検討し、複数の選択肢を比較しておくことが望ましいと考えられます。

貸付けにより適用外となる理由

特例が設けられている趣旨は、あくまで被相続人や家族が生活の本拠としていた住まいを保護する点にあるとされています。自宅を賃貸に出すということは、その宅地等の性質が居住用から収益用に変化したとみなされやすく、特例の趣旨からは外れると考えられているようです。

そのため、老人ホーム入所中に自宅を賃貸してしまうと、たとえ被相続人が要介護状態であったとしても、特定居住用宅地等としての評価減は原則として受けられなくなるとされています。

賃貸を開始する時期についても留意が必要とされています。相続開始前から賃貸していた場合と、相続開始後に相続人が賃貸を始めた場合とでは、検討すべき論点が異なる可能性があるため、いずれの時点で貸付けが始まったのかを整理しておくことが重要と考えられます。

短期間だけ他人に貸したような場合であっても、貸付けの事実自体が問題視される可能性があるとされています。一時的な利用であっても、安易に第三者への貸付けを行う前に、税務上の影響を確認しておくことが望ましいと考えられます。

民泊のように一時的な宿泊者を受け入れるような利用方法についても、貸付けの用に供したとみなされる可能性があるといわれています。自宅の活用方法を検討する際は、こうした形態についても慎重な判断が必要と考えられます。近隣への配慮という観点からも、安易な第三者利用は避けたほうが無難と考えられます。

生計を一にする親族が住む場合との違い

一方で、被相続人と生計を一にしていた親族が、その空き家となった自宅にそのまま住み続けるケースは、賃貸とは異なる扱いになると考えられています。この場合には、家屋が第三者への貸付けの用に供されているわけではないため、特例の要件を満たす余地が残るとされています。

ただし、この場合は生計を一にしていたかどうかという別の要件の判定が必要になるため、単に親族が住んでいれば良いというわけではない点に注意が必要です。

無償で親族に貸す、いわゆる使用貸借と、対価を受け取る賃貸借とでは税務上の評価が異なるとされています。親族間であっても賃料を受け取っている場合には、使用貸借とは異なる取り扱いになる可能性がある点は理解しておく必要があります。

生計を一にしていたかどうかは、生活費の負担状況や日常のやり取りなど、実態を踏まえて判断されるとされています。同居していなくても仕送りなどによって生計が一体となっていたと認められる場合もあるため、形式的な住所の違いだけで判断しないことが大切です。

生計を一にする親族が自宅に住み続ける場合でも、その親族が固定資産税などの負担を実質的に肩代わりしているようなケースでは、実態面での確認がより丁寧に行われることもあるといわれています。

自宅に配偶者や親族が同居していたかどうかによる違い

老人ホーム入所前、自宅に被相続人以外の親族が同居していたかどうかは、特例を適用するうえで重要な分岐点になるとされています。被相続人が一人暮らしをしていて施設に入所した場合と、配偶者や子と同居していた場合とでは、検討すべき要件が異なってくると考えられます。

配偶者が自宅に残って生活を続けている場合には、配偶者がその宅地等を相続すれば、多くの場合、特段の追加要件なく特定居住用宅地等の特例の対象になり得るとされています。配偶者については、同居の有無やその後の居住継続といった要件が課されていないためです。

一方、配偶者がおらず、子など他の親族と同居していた場合には、その同居していた親族が宅地等を取得し、かつ相続税の申告期限までそこに住み続けるといった要件を満たす必要があるとされています。

また、被相続人と配偶者がそろって老人ホームに入所し、自宅に誰も住まなくなったケースも考えられます。この場合には、配偶者が老人ホーム入所に関する要件を満たしているかどうかという論点と、自宅に同居していた親族がいなくなることで生じる論点の両方を確認する必要があると考えられます。

誰が自宅の宅地等を取得するかは、遺産分割協議によって決まる事柄であるため、税務上の有利不利だけでなく、家族それぞれの生活状況や意向も踏まえて話し合うことが望ましいと考えられます。次項では、代表的な二つのパターンについてさらに詳しく確認します。

同居の有無を確認する際には、住民票の異動時期と実際に引っ越した時期にずれがあるケースにも注意が必要とされています。書類上の記載だけに頼らず、実際の生活実態を丁寧に確認する姿勢が求められると考えられます。

被相続人に配偶者と子の双方がいる場合、配偶者が取得する部分と子が取得する部分とで宅地等を分筆して分割するようなケースも考えられます。この場合には、それぞれの取得部分ごとに要件を満たしているかどうかを個別に確認する必要があるとされています。

分筆による分割は、測量や登記の手続きが別途必要になるなど、実務上の手間も生じやすいとされています。分割方法を検討する段階で、税務上のメリットと手続き上の負担の両方を踏まえて判断することが望ましいと考えられます。

家族関係が複雑な場合や、相続人の一部と連絡が取りにくい場合には、分割協議自体に時間を要することもあります。そうした事情があるときほど、早めに専門家へ相談し、見通しを立てながら手続きを進めることが望ましいと考えられます。

配偶者が自宅に残っている場合

被相続人が老人ホームに入所し、配偶者だけが自宅に残って生活を続けていたようなケースでは、配偶者がその宅地等を取得する限り、居住継続要件などは問われないとされています。これは配偶者の生活基盤を保護する観点から、他の取得者よりも緩やかな要件が設定されているためといわれています。

もっとも、老人ホームへの入所自体が要件を満たすものであったかどうかは別途確認が必要であり、配偶者が取得するからといって他の要件がすべて不要になるわけではない点には留意が必要です。

配偶者が取得する場合は取得後の居住継続や保有継続も要件とされていないため、その後に配偶者自身も老人ホームへ入所したり、自宅を売却したりしても、既に成立した特例の適用に影響しないと考えられています。

配偶者が取得するケースは要件面で比較的シンプルとされていますが、配偶者の税額軽減など他の制度との関係も含めて、遺産分割全体のバランスを考えながら検討することが望ましいと考えられます。

配偶者控除との組み合わせによっては、今回の相続では税負担が生じない場合もありますが、将来の二次相続まで見据えると、あえて評価減の効果を他の相続人に振り分けたほうが総合的に有利になることもあるといわれています。一次相続と二次相続を合わせたトータルの税負担を試算しておくと、より納得感のある分割方針を決めやすくなると考えられます。

子など親族が同居していた場合

被相続人と子など親族が自宅で同居しており、その後被相続人だけが老人ホームに入所したという場合、同居していた親族がそのまま宅地等を取得し、申告期限まで居住を継続することなどが要件になると考えられます。

同居の実態がどの程度あったかは、住民票の記載だけでなく、実際の生活状況によって判断される場合もあるとされており、形式的な要件を満たしているように見えても、実態が伴っていないと判断される可能性がある点には注意が必要です。

申告期限までの居住継続要件を満たせなかった場合、たとえば転勤や進学などやむを得ない事情があったとしても、原則として特例の適用が受けられなくなる可能性があるとされています。ライフイベントの予定がある場合には、あらかじめ影響を確認しておくとよいでしょう。

同居していた親族が複数いる場合には、そのうち誰が宅地等を取得するかによって適用可否が左右されることもあるため、遺産分割協議のなかで早い段階から特例の要件を意識しておくことが望ましいと考えられます。

共有名義で取得するという選択肢もありますが、共有者ごとに要件を満たしているかどうかを個別に確認する必要があるとされ、単独で取得する場合よりも判断が複雑になりやすい点には留意が必要です。

いわゆる「家なき子特例」との関係

特定居住用宅地等の特例には、被相続人に配偶者も同居していた親族もいない場合に、別居していた親族が一定の要件のもとで自宅の宅地等を取得したときに適用が認められる、いわゆる家なき子特例と呼ばれる区分もあるとされています。

老人ホームに入所していたケースでは、自宅に配偶者も同居親族も残っていない状況が生じやすいため、老人ホーム入所に関する取り扱いと、家なき子特例の要件検討が同時に問題となる場合があると考えられます。

この二つは別の制度趣旨を持つものであり、混同すると要件の判断を誤るおそれがあります。老人ホーム入所に関する取り扱いは被相続人の居住の用に供されていたとみなすための要件であり、家なき子特例は取得者である親族が自己の持ち家を持っていないことなどを求めるものであるという違いを整理しておくことが重要です。

家なき子特例をめぐっては、税制改正によって要件が段階的に見直されてきた経緯があるとされています。持ち家を親族名義に移してから取得するといった行き過ぎた活用を防ぐ観点から、要件が厳格化されてきたといわれており、現在では細部にわたる複数の条件を満たす必要があると考えられます。

老人ホーム入所のケースで自宅を相続する予定の親族がいる場合には、その親族自身の住宅事情についても早めに確認しておくことが望ましいと考えられます。持ち家の有無は本人にとっても認識しやすい事柄であるため、家族間で情報を共有しておくとよいでしょう。

家なき子特例の要件は法令上かなり細かく定められているとされ、専門家の間でも解釈が分かれる論点が残っているといわれています。この点も踏まえ、断定的な判断は避け、個別の事情に応じて慎重に検討する姿勢が求められます。

取得予定の親族が海外に居住しているようなケースでは、住宅事情の確認や必要書類の収集にさらに時間がかかることもあるとされています。国内外を問わず、取得予定者の状況を早い段階で把握しておくことが望ましいと考えられます。

また、相続人が複数の候補者のなかから誰が自宅を取得するか迷っている段階であれば、それぞれの候補者について家なき子特例の要件を満たしているかを事前に比較しておくことで、遺産分割の話し合いがスムーズに進むこともあると考えられます。

家なき子特例の概要

家なき子特例は、被相続人に配偶者も同居親族もいない場合において、相続開始前一定期間、自己または自己の配偶者等の所有する家屋に住んでいなかった親族が宅地等を取得したときに適用が認められる区分とされています。

賃貸住宅暮らしの親族が、実家を離れて生活していたようなケースを想定した制度といわれており、細かい要件が複数定められているため、該当するかどうかは個別に慎重な確認が必要です。

具体的な要件には、相続開始前一定期間に自己や配偶者、三親等内の親族などが所有する家屋に居住していないこと、相続開始時に居住していた家屋を過去に所有していたことがないこと、申告期限までその宅地等を保有し続けることなどが含まれるとされており、いずれも詳細な確認が必要な項目です。

要件の一つでも欠けると特例の対象外になり得るため、取得予定の親族の住宅事情を早い段階で棚卸ししておくことが実務上のポイントになると考えられます。

過去に一時的にでも自己所有の家屋に住んでいた期間があると、要件を満たさなくなる可能性があるとされています。転勤や単身赴任などで一時的に持ち家を離れていた場合の扱いも含め、細部まで確認しておくことが望ましいと考えられます。持ち家を賃貸に出して自身は別の賃貸住宅に住んでいるようなケースも、判断が分かれやすい論点のひとつといわれています。

老人ホーム入所のケースとの使い分け

老人ホームに入所していた被相続人の自宅を、同居していなかった親族が取得する場合には、老人ホーム入所に関する取り扱いによって被相続人の居住の用に供されていた宅地等とみなされることに加えて、取得者について家なき子特例の要件を満たすかどうかも合わせて検討する必要があるとされています。

どちらか一方の要件だけを確認して安心してしまうと、実際には特例の対象にならなかったという事態にもなりかねないため、両方の観点から要件を整理することが望ましいと考えられます。

特に、老人ホーム入所のケースでは「自宅に同居親族がいない状態」が生じやすいことから、家なき子特例の適用を検討する場面自体が増える傾向にあるといわれています。取得予定の親族が持ち家を保有していないかどうかは、早めに確認しておくべき事項のひとつと考えられます。

二つの制度が重なる場面では、確認すべき要件の数も自然と増えるため、早い段階から専門家に相談し、チェックリストのような形で要件を整理しておくことが実務上有効と考えられます。

老人ホーム入所前の同居状況によっても検討の道筋が変わってくるため、被相続人がいつ、どのような経緯で自宅を離れたのかを時系列でまとめておくと、要件の整理がしやすくなると考えられます。

申告にあたって準備しておきたい書類

老人ホーム入所中に相続が発生した場合、特定居住用宅地等の特例を適用するためには、通常の相続税申告に必要な書類に加えて、いくつかの追加資料を準備しておくことが望ましいとされています。

具体的には、要介護認定や要支援認定を受けていたことを示す資料、施設への入所契約書や入所日が分かる資料、住民票の除票、施設が老人福祉法等に定める一定の施設に該当することを確認できる資料などが挙げられます。

これらの書類は、相続開始後に慌てて集めようとすると時間がかかったり、施設側での保管期間の関係で入手が難しくなったりする場合もあるといわれています。生前から必要書類の所在を家族で共有しておくことも、実務上は有効な備えになると考えられます。

特例の適用可否は、税務署とのやり取りのなかで細かく確認されることもあるとされています。申告を依頼する専門家には、老人ホーム入所の経緯や自宅の使用状況をできるだけ具体的に伝え、早い段階で必要書類のリストアップをしてもらうことが望ましいと考えられます。

資料が一部そろわない場合でも、あきらめずに他の書類で補えないか、代替の証明方法がないかを専門家に相談することが大切です。書類の不足だけを理由に特例の検討を諦めてしまうのは早計といえます。

書類の整理は、相続税の申告作業のなかでも時間がかかりやすい部分といわれています。老人ホーム入所という事情がある場合には、通常より確認事項が増える分、余裕をもったスケジュールで準備を進めることが望ましいと考えられます。

相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内とされています。老人ホーム入所に関する資料集めに時間がかかることも想定し、できるだけ早い段階から準備を始めることが望ましいと考えられます。

生前のうちに、被相続人自身や家族が要介護認定の履歴や施設との契約書類をひとつのファイルにまとめておくといった備えも、相続発生後の負担を軽くする方法のひとつと考えられます。

施設への入所を証明する書類

施設との入所契約書や利用契約書、施設が発行する在籍証明のような書類は、いつからその施設に入所していたか、どのような種別の施設であったかを確認するために重要とされています。

施設のパンフレットや重要事項説明書なども、施設の類型を確認する補助資料として役立つ場合があるといわれています。申告を担当する専門家に早めに共有しておくとスムーズです。

転院や転所によって複数の施設を経由していた場合には、それぞれの施設での入所期間が分かる資料を時系列で整理しておくと、申告実務がスムーズに進みやすいと考えられます。

施設が既に廃業しているなど、書類の入手が難しい場合もあり得ます。そのような場合は、当時のやり取りが分かるメールや領収書など、周辺資料を幅広く集めておくことが有効と考えられます。

施設利用料の支払い記録が残る通帳やクレジットカードの明細なども、入所期間を裏付ける補助的な資料になり得るとされています。書類を一元的に整理しておくと、後の確認作業がスムーズになると考えられます。デジタルデータのみで保管されている場合は、印刷や別媒体への保存もあわせて検討しておくと安心です。

要介護認定を証明する書類

介護保険の被保険者証や、市区町村から交付される認定結果通知書は、要介護認定・要支援認定を受けていたことを裏付ける代表的な資料とされています。

認定の更新時期によっては、相続開始時点で有効な認定情報が確認しづらい場合もあるため、介護保険の被保険者証の写しなど複数の資料を確保しておくことが望ましいと考えられます。

市区町村の介護保険担当窓口に問い合わせることで、過去の認定履歴の写しを取得できる場合もあるとされています。書類が手元に見当たらない場合は、早めに窓口へ相談することも一つの方法と考えられます。

認定調査の際に作成される調査票の写しが取得できる場合、身体状況や生活状況の詳細を確認できる資料として役立つこともあるとされています。必要に応じて取得を検討するとよいでしょう。

ケアマネジャーが作成するケアプランなど、介護サービスの利用状況が分かる資料も、要介護状態にあったことを裏付ける参考資料になり得ると考えられます。担当のケアマネジャーに相談してみるのも一つの方法です。

実務でよくある誤解と注意すべきケース

老人ホーム入所と小規模宅地等の特例をめぐっては、いくつかの誤解が生じやすいといわれています。ここでは、実務上とくに注意しておきたい点をいくつか整理します。

まず、老人ホームに入所していれば自動的に特例が使えるという理解は正確ではないとされています。これまで見てきたとおり、要介護認定の有無、施設の種類、自宅の使用状況、取得者の要件など、複数の条件を満たして初めて特例の対象になり得るものです。

また、老人ホームの入居一時金を支払うために自宅を売却してしまった場合には、そもそも相続開始時点で自宅の宅地等自体が存在しないため、特例を検討する余地がなくなる点にも注意が必要です。自宅を残すか売却するかは、介護費用の資金計画とあわせて総合的に判断すべき事柄と考えられます。

さらに、複数の相続人がいる場合には、誰がその宅地等を取得するかによって特例の適用可否や適用後の税額が変わってくるため、遺産分割の話し合いと特例の適用要件を切り離さずに検討することが望ましいといわれています。

加えて、死亡した場所が老人ホームであること自体は、特例の適用可否に直接関係するものではないとされています。あくまで問われるのは、要介護状態で施設に入所していたという経緯や、自宅の使用状況であり、死亡診断書に記載される死亡場所とは別の観点で判断される点を理解しておく必要があります。

老人ホーム入所と小規模宅地等の特例の関係は、要件が細部にわたるだけに誤解も生じやすい分野といえます。判断に迷う点があれば、早めに専門家に相談し、家族全員が要件を共有した状態で申告準備を進めることが望ましいと考えられます。

本記事で紹介した内容は一般的な考え方の整理であり、実際の適用可否は個々の事情によって異なるとされています。似たようなケースであっても結論が異なることは珍しくないため、最終的な判断は必ず個別の事情に基づいて行う必要があります。

老人ホームへの入所を検討し始めた段階から、将来の相続を見据えて自宅の取り扱いや必要書類について家族で話し合っておくことは、いざというときの負担を軽くすることにもつながると考えられます。

特に、離れて暮らす家族が多い場合には、誰がどの書類を把握しているかが分からなくなりがちです。定期的に家族間で状況を共有し、必要な資料の保管場所を確認しておくことも、円滑な相続手続きの備えになると考えられます。

本記事で整理した内容を参考にしつつ、実際の申告にあたっては、個々の事情を正確に伝えたうえで税理士など専門家の判断を仰ぐことが、結果的に安心できる相続税申告につながると考えられます。

老人ホームの入居一時金と自宅売却の関係

老人ホームへの入居にあたっては、まとまった入居一時金が必要になる施設も少なくないとされています。その資金を捻出するために自宅を売却してしまうケースもありますが、この場合は相続開始時点で自宅の土地そのものが被相続人の財産として存在しないことになります。

特例はあくまで相続開始時点で被相続人が所有していた宅地等を対象とするものであるため、売却してしまった自宅について後から特例を検討することはできないとされています。資金計画を立てる段階で、この点も踏まえておくことが望ましいと考えられます。

施設によっては、入居一時金の一部が退去時や死亡時に返還される仕組みを設けている場合もあるとされています。この返還金は被相続人の財産として相続税の課税対象になり得るため、自宅の特例とは別に確認しておく必要があると考えられます。

自宅を売却するかどうかは、老後の生活資金や介護費用の見通し全体のなかで判断すべき事柄であり、相続税だけを基準に決めるのは適切でない場合もあります。家族間で早めに方針を話し合っておくことが望ましいと考えられます。

売却を検討する際には、譲渡所得税など別の税負担が生じる可能性もあるとされています。相続税だけでなく、売却時にかかる税金も含めて総合的に比較したうえで判断することが望ましいと考えられます。売却のタイミングによって適用できる特例が変わることもあるため、専門家への早めの相談が有効と考えられます。

複数の相続人がいる場合の分割との関係

相続人が複数いる場合、自宅の宅地等を誰が取得するかによって、特例が適用できるかどうかや、適用できたときの評価減の効果を受けられる相続人が変わってくるとされています。

特例の適用を意識するあまり、本来の遺産分割の話し合いが偏ってしまうことがないよう、税務上のメリットと家族間の実質的な公平のバランスを踏まえながら分割方法を検討することが重要と考えられます。

また、申告期限までに遺産分割協議がまとまらない場合には、いったん特例を適用しない前提で申告し、分割確定後に更正の請求を行うといった対応が必要になることもあるとされています。分割協議は早めに進めておくことが望ましいと考えられます。

本記事で取り上げた要件は多岐にわたるため、老人ホーム入所という事情がある相続では、通常のケースよりも早めに専門家へ相談し、時間的な余裕をもって準備を進めることが望ましいといえるでしょう。

相続人同士で意見が食い違う場合には、税務上の要件を客観的な材料として共有することが、話し合いを前に進める助けになることもあると考えられます。専門家を交えた話し合いの場を設けることも一つの方法です。

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