[池袋] 個人事業主の相続と事業用資産の引き継ぎで気をつけたいこと
#相続税#税理士#池袋

query_builder 2026/08/02 相続税

個人事業主として事業を営んでいた方が亡くなった場合、相続の手続きは一般的な財産の承継にとどまらず、事業用資産の評価や準確定申告、事業を続けるかどうかの判断など、通常の相続よりも検討すべき事項が多くなる傾向があるといわれています。法人のように会社と個人の財産が明確に分かれているわけではないため、事業用の資産と生活用の資産を一体として整理しなければならない点も、個人事業主特有の悩ましさといえるかもしれません。本記事では、個人事業主の相続において特に注意が必要とされるポイントについて、全体像を整理していきます。

税理士法人アウル
ロゴ
相続税の申告や税務相談について、税理士としての資格とノウハウを活かしながら対応いたします。また、池袋で弁護士や司法書士などと連携し、その他のお困り事についても一つの窓口でサポートしております。
税理士法人アウル
住所:

〒170-0013

東京都豊島区東池袋1-35-8

第一伊三美ビル401

電話番号:
0120-327-321

個人事業主が亡くなった場合に相続財産に含まれるもの

個人事業主が営んでいた事業に関する資産は、法人と異なり事業主個人の財産と明確に分離されていないことが多く、事業用の資産もそのまま相続財産に含まれると考えられています。具体的には、店舗や事務所として使用していた不動産、業務に使用していた機械や設備、在庫として保有していた商品や原材料などが該当するとされています。

また、事業用の預金口座も、名義が個人事業主本人であれば、事業用・生活用の区別なく相続財産として扱われるのが一般的です。事業のために保有していた売掛金や受取手形なども同様に、相続財産としての評価の対象になり得るといわれています。

個人事業主の場合、法人のように会社の財産と個人の財産が明確に区分されているわけではないため、相続が発生した際には、事業用の資産と生活用の資産を一体として把握する必要があるとされています。日頃から帳簿や資産台帳を整理しておくことが、相続発生後の資産把握を円滑にする一助になると考えられています。

なお、事業を行っていたかどうかにかかわらず、相続人の範囲や相続分の基本的な考え方自体は変わらないとされています。ただし、事業用資産の存在によって遺産分割の話し合いが複雑になりやすい点は、個人事業主特有の事情として意識しておく必要があるといわれています。

一方で、事業用の資産だけでなく、事業に伴って生じていた負債についても承継の対象となる点には注意が必要です。事業用資産の把握が不十分なまま相続税の申告期限を迎えてしまうと、後になって申告漏れが判明するといった事態にもつながりかねないため、早い段階で全体像を整理しておくことが望ましいと考えられています。負債の取り扱いについては次の項目で詳しく触れます。

また、自宅の一部を店舗や作業場として使用していたようなケースでは、居住用部分と事業用部分をどのように区分するかが評価や特例の適用に影響してくることもあるとされています。建物の面積按分など、実態に即した整理が求められる場合があるといわれています。

複数の事業を並行して営んでいたようなケースでは、それぞれの事業ごとに資産や取引の実態が異なるため、事業単位で整理してから全体を把握するという進め方の方が漏れを防ぎやすいと考えられています。

相続財産の全体像を把握する作業は、相続税申告の要否を判断するうえでの出発点にもなるとされ、事業用資産の存在によって申告が必要になるかどうかの見通しが変わってくることもあるため、早い段階で概算を確認しておくことが望ましいといわれています。

事業用資産(店舗・設備・在庫等)の範囲

店舗や事務所の建物・敷地、業務用の車両、機械設備、什器備品、在庫商品など、事業のために使用されていた資産は、名義が被相続人個人であれば相続財産に含まれると考えられています。これらの資産は事業を継続するかどうかによって今後の取り扱いが大きく変わってくるため、まずはどのような資産が事業用として存在するのか、リストアップして把握しておくことが望ましいとされています。

減価償却資産として計上されていた設備などについては、帳簿価額と相続税評価上の時価が異なる場合もあるため、評価にあたっては注意が必要だといわれています。特に、事業専用に使われていた資産と、生活の中でも使っていた資産が混在しているケースでは、どこまでを事業用資産として整理するかの線引きが曖昧になりやすいとされています。

賃貸物件を店舗として使っていた場合には、賃借権や敷金・保証金の取り扱いも整理しておく必要があると考えられています。契約の相手方である貸主に対して、相続が発生した旨を伝え、契約の承継について確認しておくことも望ましいといわれています。

車両やコピー機、厨房機器などについては、購入によるものだけでなく、リース契約やローンによって使用しているケースも多いとされています。所有権がリース会社等に留保されている場合には、そもそも相続財産に該当するかどうかの判断も必要になるため、契約書を確認しておくことが望ましいと考えられています。

不動産以外の動産については、購入時の領収書や保証書が見当たらないことも多く、実際の使用状況や外観をもとに評価の見当をつけていく必要が生じる場合もあるとされています。

事業用の借入金も相続の対象になる点

事業資金として金融機関等から借り入れていた借入金は、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産として相続の対象に含まれます。相続人が相続を承認する場合、事業用資産だけでなく、その資産の取得や事業運営のために生じた債務も原則として引き継ぐことになると考えられています。

借入金の残高が事業用資産の評価額を上回っているようなケースでは、相続放棄や限定承認といった選択肢も含めて検討する必要が出てくる場合があるとされています。負債の全体像を早めに把握しておくことが重要だといわれています。

また、事業用の借入金には、被相続人が個人で連帯保証人となっている契約や、リース契約に基づく債務が含まれていることもあるようです。これらは通常の借入金と異なり、契約書を確認しなければ全体像が見えにくいため、取引していた金融機関やリース会社に問い合わせて残高を確認しておくことが望ましいと考えられています。

負債の一覧を作成する際には、取引先への未払金や、税金・社会保険料の未納がないかについても確認しておくことが望ましいとされています。事業に関連する債務は思わぬところに残っていることもあるため、通帳の履歴等を丁寧に確認する作業が欠かせないといわれています。

被相続人が個人事業に関する保証債務を負っていた場合には、その保証がどこまでの範囲に及ぶのか、契約書の内容を確認しておくことも重要だと考えられています。保証債務は表面化しにくい負債であるため、見落とされやすい点として注意が必要だといわれています。

準確定申告との関係

個人事業主が年の途中で亡くなった場合、その方に生じていた所得については、相続人が代わって申告を行う準確定申告という手続きが必要になるとされています。準確定申告は、亡くなった方の死亡の日から一定期間内に行う必要があり、通常の確定申告よりも申告までの期間が短く設定されている点に注意が必要だといわれています。

事業を営んでいた方の場合、給与所得者に比べて申告すべき所得の内容が複雑になりやすく、帳簿の整理状況によっては準確定申告の準備に時間を要することも少なくないようです。生前に使用していた会計ソフトやレシート・領収書の保管場所が分からないと、相続人だけでは所得の集計自体が難しくなることもあると考えられています。

準確定申告は相続人全員が共同で行うのが原則とされていますが、相続人が複数いる場合には、各相続人の連署による申告書の提出のほか、各相続人が別々に申告する方法も認められているといわれています。いずれの方法をとるにしても、相続人間で情報を共有しながら進める必要があるとされています。

また、準確定申告によって還付金が生じる場合と、逆に納付すべき税額が生じる場合とがあり、還付金は相続財産として扱われる一方、納付すべき税額は債務として扱われる点にも留意が必要だと考えられています。

準確定申告の期限に間に合わない事情がある場合には、放置せずに早めに税務署や専門家に相談することが望ましいとされています。期限後に申告することになった場合の取り扱いについても、あらかじめ確認しておくと安心につながると考えられています。

被相続人が複数の収入源(事業所得のほか不動産所得や給与所得など)を有していた場合には、それぞれの所得を漏れなく集計する必要があるとされ、申告すべき範囲を見落とさないよう全体像を確認しておくことが望ましいといわれています。

事業所得の申告が必要になる点

個人事業主として得ていた事業所得は、死亡した年の1月1日から死亡日までの分について、準確定申告として相続人が申告する必要があるとされています。売上や経費の集計、在庫の評価など、通常の確定申告と同様の作業を、限られた期間内に行う必要がある点は負担が大きいといわれています。

事業を承継する相続人がいる場合であっても、承継後の所得と被相続人の生前の所得は区分して計算する必要があると考えられています。特に、被相続人の死亡日をまたぐ取引については、どちらの所得に計上すべきか判断に迷うケースもあるようです。

青色申告を行っていた場合には、青色申告特別控除など各種の特典についても、被相続人の準確定申告においてどこまで適用できるかを確認しておくことが望ましいとされています。

また、事業に赤字が生じていた年であった場合、繰越控除などの取り扱いが事業承継後にどう引き継がれるのかについても、通常の相続とは異なる論点として整理しておく必要があると考えられています。

減価償却の方法や耐用年数についても、被相続人が採用していた方法をそのまま踏襲すべきかどうか、事業を承継する場合には改めて確認しておくことが望ましいとされています。

消費税の申告が必要になる場合

事業の規模によっては、被相続人が消費税の課税事業者であったケースもあり、その場合は消費税についても準確定申告と合わせて申告が必要になることがあるとされています。免税事業者であったかどうかは、過去の売上高等をもとに判断されるため、事前の確認が欠かせません。

消費税の申告の要否や計算方法は所得税の申告とは別の考え方に基づくため、双方について漏れのないよう整理しておくことが望ましいといわれています。インボイス制度に基づく登録を受けていた場合には、その登録の効力や、事業を承継する相続人が改めて登録を行う必要があるかどうかについても確認しておく必要があると考えられています。

消費税の準確定申告についても、所得税と同様に死亡日から一定期間内に行う必要があるとされているため、あわせて準備を進めておくことが望ましいといわれています。

簡易課税制度を選択していた場合には、その選択の効力が事業承継後も自動的に続くわけではないとされ、承継した相続人が改めて必要な届出を検討する必要が出てくることもあるといわれています。

消費税の納税義務の判定には、基準期間における売上高だけでなく、特定期間の状況なども関係してくるとされ、事業を承継した後の売上見込みも踏まえて確認しておくことが望ましいと考えられています。

被相続人の生前の売上高が課税事業者となる基準に近い水準であった場合には、承継後の判定にも影響が及ぶことがあるとされ、余裕をもって確認しておくことが望ましいといわれています。

事業を承継する相続人がいる場合の考え方

相続人の中に、被相続人が営んでいた事業を引き継ぎたいと考える方がいる場合には、単に資産を相続するだけでなく、事業そのものを円滑に引き継ぐための検討が必要になります。屋号や取引先との関係、許認可の取り扱いなど、資産の名義変更だけでは完結しない事項が多く存在するとされています。

事業を承継する相続人がいる一方で、他の相続人は事業に関与しない場合には、事業用資産の分割方法についても配慮が必要になると考えられています。事業に関与しない相続人にとっては、事業用資産が遺産の大部分を占めていると、公平な遺産分割が難しく感じられることもあるようです。

また、事業を承継する相続人が被相続人と一緒に働いていたかどうかによっても、引き継ぎのしやすさは大きく変わってくると考えられています。日頃から事業に携わっていた相続人であれば、取引先や業務の流れを把握しているため、比較的スムーズに承継が進むケースが多いといわれています。

反対に、事業に携わっていなかった相続人が急遽承継することになった場合には、業務内容の把握や取引先との関係構築に時間がかかることも想定されるため、周囲の協力を得ながら段階的に引き継ぎを進めることが望ましいとされています。

長年勤めていた従業員がいる場合には、その従業員が業務のノウハウや取引先との関係を把握していることも多く、承継後しばらくの間は在籍を続けてもらいながら引き継ぎを進めるという方法も選択肢の一つと考えられています。

事業承継のタイミングでは、既存の顧客や取引先が「引き続き同じ品質やサービスを受けられるのか」という不安を抱くこともあるとされ、承継後も安定して事業を運営できる体制を早期に示すことが、信頼関係の維持につながると考えられています。

屋号や取引先との関係の引き継ぎ

個人事業は法人と異なり、事業主が変わることで契約関係が当然には引き継がれない場合があるとされています。取引先との契約書の名義変更や、屋号の使用継続について改めて確認や手続きが必要になることもあるようです。

取引先や金融機関に対しては、事業承継の事実をできるだけ早めに伝え、今後の取引条件等について確認しておくことが望ましいといわれています。特に、継続的な取引契約や業務委託契約については、契約書に承継に関する条項が定められているかどうかを確認しておく必要があると考えられています。

屋号を引き続き使用する場合であっても、対外的には事業主が変わったことを示す必要が生じる場合があるとされ、名刺や案内文書、ウェブサイトなどの表示についても順次見直しておくことが望ましいといわれています。

近年は事業用のウェブサイトやSNSアカウント、予約システムのアカウントなど、デジタル上の資産も業務に欠かせないものになっているとされ、これらのログイン情報や管理権限の引き継ぎについても、あらかじめ整理しておくことが望ましいと考えられています。

取引先との契約が個人事業主本人を前提に締結されていた場合、契約自体の効力がどうなるのかについても確認が必要だとされ、必要に応じて契約の巻き直しや覚書の取り交わしを行うことが望ましいといわれています。

屋号を長年使い続けてきた事業であるほど、地域や顧客からの認知度が屋号そのものに結びついていることも多いとされ、屋号の継続使用が事業価値の維持につながるという見方もあるようです。

許認可の再取得が必要になる場合

飲食業や建設業など、一定の許認可を要する業種の場合、許認可は事業主個人に対して与えられていることが多く、相続人が事業を承継する際には改めて許認可の取得や名義変更の手続きが必要になるとされています。

許認可の種類によっては取得までに一定の期間を要することもあるため、事業を止めることなく承継するためには、早い段階で管轄官庁への確認を行っておくことが重要だと考えられています。業種によっては、一定の資格や実務経験が求められる場合もあり、相続人自身がその要件を満たしているかどうかも確認しておく必要があるといわれています。

許認可の再取得に時間を要する見込みである場合には、一時的に事業を休止するのか、要件を満たす別の担当者を立てて継続するのかなど、事前に対応策を検討しておくことが望ましいとされています。

許認可の中には、相続開始後一定期間内に承継の届出を行うことで地位の承継が認められるものもあるとされていますが、業種や許認可の種類によって取り扱いが異なるため、個別に管轄官庁へ確認することが欠かせないといわれています。

許認可を要する業種の中には、事業所ごとに個別の許可が必要とされるものもあるとされ、複数店舗を展開していた場合には店舗ごとに手続きの要否を確認する必要があると考えられています。

事業用資産の評価上の留意点

相続税の計算にあたっては、事業用資産についても相続税評価額を算定する必要があります。不動産であれば路線価や倍率方式による評価、機械設備等であれば時価に基づく評価が用いられるのが一般的とされていますが、事業特有の資産については評価方法に留意すべき点があるといわれています。

特に棚卸資産や売掛金など、事業の運営状況によって日々変動する資産については、相続開始時点での評価が難しいケースもあるようです。相続開始日を基準にできるだけ正確な残高を把握することが、適切な評価の前提になると考えられています。

また、個人事業主が保有していた機械設備や車両などの減価償却資産については、帳簿上の未償却残高と、実際の市場価値との間に差が生じていることも珍しくないとされています。老朽化が進んだ設備などは、帳簿価額よりも実際の価値が低くなっている場合もあるため、評価の考え方について整理しておくことが望ましいといわれています。

事業用資産の評価は、相続税の申告額に直接影響するだけでなく、事業を承継しない相続人との遺産分割の話し合いにも影響を与えるため、できるだけ早い段階で資産の内容と評価の見通しを整理しておくことが重要だと考えられています。

事業に関連して加入していた損害保険や共済についても、契約者の変更や解約返戻金の有無を確認しておく必要があるとされ、事業用資産と一体で見直すことが望ましいといわれています。

事業用資産の評価にあたっては、専門的な鑑定や査定を依頼するかどうかの判断も必要になるとされ、資産の種類や金額の大きさに応じて、費用対効果を踏まえながら検討することが望ましいと考えられています。

棚卸資産・売掛金の評価

在庫として保有している商品や原材料などの棚卸資産は、相続開始時点での時価や取得価額をもとに評価されると考えられています。実地棚卸を行い、数量や状態を正確に把握しておくことが評価の前提として重要だとされています。

売掛金についても、回収可能性を踏まえた評価が必要になる場合があり、長期間回収されていない債権などについては個別の検討が必要になることもあるようです。取引先の経営状況によっては、回収が見込めない債権が含まれていることもあり、評価にあたって慎重な確認が求められるといわれています。

棚卸資産の評価方法は業種によっても異なるとされており、生鮮食品など時間の経過とともに価値が下がりやすい商品を扱う事業では、相続開始時点の実態に即した評価がより重要になると考えられています。

なお、棚卸資産を廃業に伴って処分する場合には、消費税の取り扱いにも注意が必要だとされ、通常の売上とは異なる整理が必要になることもあるといわれています。

売掛金の中に、親族や関係者との取引によって生じた債権が含まれている場合には、通常の取引先との債権とは異なる観点からの確認が必要になることもあるとされ、実態に即した評価を心がけることが望ましいと考えられています。

小規模宅地等の特例との関係

事業の用に供されていた宅地については、一定の要件を満たす場合に小規模宅地等の特例の適用が検討できるとされています。この特例は評価額を大きく減額できる可能性がある一方、適用要件が細かく定められているため、事業を承継する相続人の有無や、その後の事業継続状況によって適用の可否が変わってくる点に注意が必要だといわれています。

特例の適用を前提に遺産分割を進めてしまうと、後になって要件を満たさないことが判明する場合もあるため、早めに要件を確認しておくことが望ましいと考えられています。特に、事業を一定期間継続することが要件に含まれている場合には、相続後すぐに廃業や売却を検討しているケースでは適用できない可能性もあるとされています。

特例の対象となる宅地の面積には上限が設けられているとされ、他の種類の宅地(居住用など)と合わせて保有している場合には、どちらを優先して適用するかの選択が必要になることもあるといわれています。

複数の相続人で宅地を共有取得するようなケースでは、特例の要件を満たす相続人とそうでない相続人が混在することもあるとされ、誰がどの持分を取得するかによって適用の可否が変わってくる点にも注意が必要だと考えられています。

特例の適用を検討する際には、宅地の登記や利用状況を示す資料をあらかじめ整理しておくことが望ましいとされ、申告期限までに要件充足を確認できるよう、早めの準備が求められるといわれています。

小規模宅地等の特例は要件がやや複雑であるため、適用できるかどうかの判断に迷う場合には、思い込みで判断せず専門家に確認することが望ましいと考えられています。

事業を廃業する場合の手続き

相続人の中に事業を承継する意思のある方がいない場合には、事業を廃業するという選択肢が検討されることになります。廃業にあたっては、税務署等への各種届出のほか、事業用資産の処分や取引先・従業員への対応など、整理すべき事項が多岐にわたるとされています。

廃業の手続きは準確定申告の期限とも関係してくるため、廃業するかどうかの判断はできるだけ早めに行っておくことが望ましいと考えられています。判断が遅れると、在庫の劣化や取引先との関係悪化など、廃業の条件そのものが悪くなってしまう可能性もあるようです。

廃業の際には、事業用資産をどのように処分するかについても検討が必要だとされています。売却できるものは売却し、処分費用がかかるものについては見積もりを取っておくなど、資産ごとに対応方針を整理しておくことが望ましいといわれています。

また、事業用の賃貸物件を借りていた場合には、賃貸借契約の解除や原状回復についても対応が必要になるとされ、貸主との交渉には一定の時間を要することも想定されるため、早めに連絡を取っておくことが望ましいと考えられています。

取得していた許認可についても、廃業に伴って返納や廃止の届出が必要になる場合があるとされ、放置しておくと後日思わぬ手続き漏れとして扱われることもあるため、忘れずに確認しておくことが望ましいといわれています。

廃業する場合であっても、それまでの帳簿や書類を一定期間保存しておく必要があるとされ、税務調査等に備えて資料を整理し、保管場所を明確にしておくことが望ましいと考えられています。

廃業を選ぶこと自体は決してネガティブな結論ではなく、事業の状況や相続人の生活設計に照らして最も現実的な選択となる場合も多いとされ、無理に事業を継続することだけが正解ではないと考えられています。

廃業届の提出

個人事業を廃業する場合には、税務署に対して個人事業の開業・廃業等届出書を提出する必要があるとされています。あわせて、青色申告を行っていた場合には、その取りやめに関する届出等、状況に応じて必要な書類を整理しておくことが求められます。

消費税の課税事業者であった場合には、消費税に関する届出も別途必要になることがあるため、所得税と消費税の両面から確認しておくことが望ましいといわれています。都道府県や市区町村に対しても、事業税等に関連する届出が必要になる場合があるとされています。

各種届出には提出期限が定められていることが多いため、廃業を決めた時点で必要な届出の一覧を整理し、漏れのないよう計画的に対応することが望ましいと考えられています。

提出先の税務署は被相続人の納税地を管轄する税務署となるのが基本とされ、相続人の住所地とは異なる場合もあるため、提出先を誤らないよう事前に確認しておくことが望ましいといわれています。

屋号付きの預金口座を解約する場合には、事業用資金と個人資金の整理が必要になることもあるとされ、口座解約の前に残高や取引履歴を確認しておくことが望ましいと考えられています。

従業員がいる場合の対応

事業に従業員を雇用していた場合、廃業に伴って雇用契約の終了や解雇予告、社会保険・労働保険の手続きなど、労務面での対応が必要になるとされています。従業員の生活にも関わる事項であるため、可能な限り早い段階で見通しを伝えることが望ましいと考えられています。

未払いの給与や退職金の取り扱いについても、事業用資産・負債の整理とあわせて検討しておく必要があるといわれています。退職金の支払いに関する規程や慣行が事業内にあった場合には、その内容に沿った対応が求められるとされています。

従業員の再就職先の紹介や、雇用保険の離職票の発行など、事務的な手続きも一定数発生するため、社会保険労務士など労務分野の専門家に相談しながら進めることも選択肢の一つと考えられています。

最終月の給与計算にあたっては、日割り計算や社会保険料の控除タイミングなど、通常月とは異なる調整が必要になることもあるとされ、通常の給与計算以上に慎重な確認が求められるといわれています。

従業員に対する説明の際には、廃業に至った経緯や今後の生活面への配慮を丁寧に伝えることが、後々のトラブルを避けるうえでも重要だと考えられています。

従業員数が多い事業ほど、廃業に伴う労務手続きの負担も大きくなる傾向があるとされ、専門家の力を借りながら計画的に進めることが望ましいといわれています。

生前に事業承継の準備をしていた場合の引き継ぎ

被相続人が生前から事業承継を見据えて準備を進めていたケースでは、相続開始後の引き継ぎが比較的円滑に進むことも多いとされています。事業承継計画や、後継者への権限移譲の状況などをあらかじめ確認しておくことが、相続開始後の混乱を防ぐことにつながると考えられています。

一方で、生前の準備が口頭での約束にとどまっていた場合には、相続人間での認識の食い違いが生じることもあるため、書面等で確認できる資料を探しておくことも重要だといわれています。遺言書が作成されていた場合には、その内容と実際の事業運営の状況が一致しているかどうかも確認しておく必要があるとされています。

生前贈与により、事業用資産の一部がすでに後継者に移転されているケースもあるとされ、その場合には相続財産に含まれる範囲と、すでに贈与された範囲とを区別して整理しておくことが望ましいと考えられています。

後継者が被相続人とともに長年事業に携わってきた場合には、業務のノウハウや取引先との関係がすでに一定程度共有されていることも多く、比較的スムーズな引き継ぎが期待できるといわれています。

生前に家族間で事業の将来について話し合う機会を設けていた場合には、相続開始後の意思決定もそうした話し合いの延長として進めやすくなると考えられています。反対に、話し合いの機会がなかった場合には、相続開始後にあらためて時間をかけて意向を確認していく必要が出てくるといわれています。

生前に後継者候補へ少しずつ業務を任せていく、いわゆる段階的な承継が行われていた場合には、相続開始後も違和感なく業務を続けやすいとされ、こうした準備の有無が引き継ぎの負担に大きく影響すると考えられています。

事業承継計画がある場合の確認事項

事業承継計画が作成されていた場合には、後継者として想定されていた相続人、承継の時期や方法、事業用資産の分配方針などについて、計画の内容を確認しておくことが望ましいとされています。

計画作成時と相続開始時とで状況が変化していることもあるため、内容をそのまま踏襲するのではなく、現状に照らして改めて確認する姿勢が求められるといわれています。特に、後継者候補の生活状況や意向が変わっている場合には、計画通りに進めることが必ずしも最善とは限らないと考えられています。

事業承継計画に金融機関や税理士等の専門家が関与していた場合には、その専門家にも相続開始の事実を伝え、引き続き相談しながら進めることが望ましいとされています。

計画の中で長年勤めてきた従業員に一定の役割を担わせる想定があった場合には、その従業員との関係性も含めて、計画全体を尊重しながら進めることが円滑な承継につながると考えられています。

計画書のほかにも、被相続人が生前に作成していたメモや業務マニュアルのようなものが残されている場合には、後継者にとって貴重な引き継ぎ資料になることもあるとされ、身の回りの資料を丁寧に確認しておくことが望ましいといわれています。

取引先・金融機関への連絡

生前に事業承継の準備が進められていた場合であっても、被相続人の死亡後は改めて取引先や金融機関に対して状況を説明し、今後の取引継続について確認する必要があるとされています。

特に金融機関との取引については、借入金の名義変更や連帯保証の取り扱いなど、確認すべき事項が多いといわれています。事業用の当座預金や決済口座についても、名義変更や新規開設の手続きが必要になる場合があると考えられています。

取引先に対しては、事業の継続方針や担当者の変更などをできるだけ具体的に伝えることで、取引関係の維持につながりやすいとされています。連絡が遅れると、取引先が離れてしまう懸念もあるため、早めの対応が望ましいといわれています。

口座の名義変更にあたっては、相続手続き用の各種書類の準備に一定の時間がかかることも多いとされ、事業用の支払いが滞らないよう、当面の資金繰りについてもあわせて確認しておくことが望ましいと考えられています。

取引先によっては、事業主の変更に伴って与信の見直しが行われることもあるとされ、承継後の取引条件が従来と変わる可能性についても、あらかじめ心づもりをしておくことが望ましいといわれています。

金融機関との関係は事業継続の生命線ともいえるとされ、日頃からの取引実績が乏しい場合には、あらためて事業計画等を示しながら関係構築を図ることが望ましいと考えられています。

相続人間で事業を引き継ぐ人と引き継がない人がいる場合の調整

相続人が複数いる場合、事業を引き継ぎたい相続人と、事業には関与せず金銭的な取り分を重視する相続人とで意見が分かれることも少なくないとされています。このような場合、事業用資産をどのように分割するかについて、相続人間での調整が必要になります。

事業用資産は分割しにくい性質を持つことが多く、単純に共有名義とすることが必ずしも望ましいとは限らないと考えられています。共有名義のまま事業を続けると、意思決定のたびに共有者全員の合意が必要になり、機動的な経営判断が難しくなる場合があるといわれています。

事業に関与しない相続人の立場からすると、事業用資産の評価額や将来の収益性が見えにくく、公平性の判断がしづらいと感じることもあるとされています。事業を承継する相続人は、可能な範囲で事業の状況を開示し、他の相続人の理解を得る努力をすることが望ましいと考えられています。

調整がまとまらない場合には、家庭裁判所における遺産分割調停などの手続きに発展することもあるとされ、そうした事態を避けるためにも、早い段階から話し合いの場を設けておくことが重要だといわれています。

調停に発展する前の段階で、専門家を交えた話し合いの場を設けることで、感情的な対立を避けながら現実的な着地点を探ることができる場合もあるとされています。事業の継続を望む相続人にとっても、円滑な話し合いは事業の安定運営につながると考えられています。

調整の過程では、事業を引き継ぐ相続人が今後の事業計画や収益の見通しを他の相続人に対して丁寧に説明することが、納得感のある合意形成につながりやすいと考えられています。

遺産分割における事業用資産の扱い

事業用資産を複数の相続人で共有名義にしてしまうと、その後の事業運営に支障が生じる可能性があるとされています。事業を承継する相続人に事業用資産をまとめて相続させ、他の相続人には別の財産を配分するといった分割方法が検討されることもあるようです。

遺産分割協議においては、事業用資産の評価額や、事業継続によって見込まれる収益なども踏まえた話し合いが必要になると考えられています。単に相続税評価額だけで判断すると、事業の実態と乖離した分割になることもあるといわれています。

事業用資産以外にめぼしい財産が少ない場合には、分割方法の選択肢が限られてしまうこともあるため、被相続人が保有していた財産全体を洗い出したうえで検討することが望ましいとされています。

また、遺産分割協議が長引くと、準確定申告や相続税申告の期限が迫る中で結論を急がざるを得なくなる場合もあるとされ、期限を意識しながら並行して話し合いを進めることが望ましいと考えられています。

事業用資産を取得した相続人には、相続税の負担が集中しやすい傾向があるとされ、納税資金の確保についても遺産分割の話し合いとあわせて検討しておくことが望ましいといわれています。

納税資金が不足する場合には、延納や物納といった制度の利用可否についても検討の余地があるとされていますが、いずれも一定の要件があるため、事前に専門家へ相談しておくことが望ましいと考えられています。

代償分割の活用

事業用資産を事業承継者に集中させる代わりに、他の相続人に対して代償金を支払う代償分割という方法が用いられることもあるとされています。この方法により、事業用資産を分散させることなく、相続人間の公平性を図ることができる場合があるといわれています。

ただし、代償金を支払うための資金をどのように確保するかは、事業承継者にとって大きな課題となることも多いようです。事業の手元資金から捻出するのか、金融機関からの借入れによって賄うのかなど、資金計画をあらかじめ検討しておく必要があると考えられています。

代償金の金額は、事業用資産の評価額を基礎に相続人間で話し合って決められるのが一般的とされていますが、評価額の考え方について認識の相違が生じることもあるため、専門家を交えて算定根拠を明確にしておくことが望ましいといわれています。

代償金を一括で用意することが難しい場合には、分割払いとすることも考えられますが、その場合には支払いが滞るリスクをどう手当てするかについても、あらかじめ取り決めておくことが望ましいとされています。

代償分割を行う場合には、後になって「言った・言わない」の争いにならないよう、合意した内容を遺産分割協議書に明記しておくことが望ましいと考えられています。

早めに専門家へ相談すべき理由

個人事業主の相続は、通常の相続に比べて検討すべき事項が多く、準確定申告や事業用資産の評価、事業継続の可否など、期限のある手続きも含まれています。そのため、相続が発生した後は、できるだけ早い段階で専門家に相談することが望ましいと考えられています。

特に、事業を継続するかどうかの判断や、複雑な資産の評価が絡む場合には、税理士など専門家の助言を受けながら手続きを進めることで、後々のトラブルを防ぎやすくなるといわれています。事業用資産の評価や小規模宅地等の特例の適用可否など、専門的な判断を要する場面も多いとされています。

また、許認可の再取得や労務手続きなど、税務以外の分野に関わる事項も多く発生するため、必要に応じて行政書士や社会保険労務士など、複数の専門家と連携しながら対応することが望ましいと考えられています。

相続人だけで判断を進めてしまうと、後になって取り返しのつかない選択をしてしまう可能性もあるため、迷った時点でまず相談してみるという姿勢が望ましいといわれています。

相談のタイミングが早ければ早いほど、選べる選択肢の幅も広くなる傾向があるとされ、相続開始直後のできるだけ早い段階で、全体の見通しについて一度専門家に整理してもらうことが望ましいと考えられています。

相談先を選ぶ際には、相続税に詳しい税理士であることに加えて、事業承継や個人事業特有の論点についても経験があるかどうかを確認しておくと、より実情に即した助言を受けやすいと考えられています。

専門家への相談は、単に手続きを代行してもらうためだけでなく、相続人自身が何を優先すべきかを整理する機会としても役立つと考えられています。

準確定申告の期限が短いことへの備え

準確定申告は、通常の確定申告に比べて申告までの期間が短く設定されているとされています。事業を営んでいた方の場合、帳簿の整理や所得の計算に時間を要することも多いため、期限に間に合うよう早めに準備を始めることが重要だといわれています。

必要書類の収集や資料の整理は、相続開始後できるだけ速やかに着手しておくことが望ましいと考えられています。生前に使用していた会計ソフトのデータや通帳、領収書の保管場所を把握しておくことも、準備を円滑に進めるうえで役立つとされています。

期限内に十分な準備が整わない場合には、専門家に早めに相談することで、必要な資料の優先順位をつけながら効率的に手続きを進められる可能性があるといわれています。

相続人が複数いて申告作業を分担する場合には、誰がどの資料の収集を担当するかをあらかじめ決めておくと、限られた期間内での作業がスムーズに進みやすくなると考えられています。

特に、被相続人が生前に確定申告を自分自身で行っていた場合には、相続人が申告内容の詳細を把握していないことも多く、資料の解読だけでも時間を要することがあるため、早期に専門家の力を借りることが望ましいといわれています。

事業継続の判断を急ぐ必要がある場合

取引先との関係や従業員の雇用など、事業を止めることによる影響が大きい場合には、事業を継続するかどうかの判断を急ぐ必要が出てくることもあるとされています。判断に時間をかけすぎると、取引先の離反や許認可の失効など、事業価値そのものが低下してしまう可能性も考えられます。

このような状況では、相続人だけで判断を進めるのではなく、専門家に相談しながら現実的な選択肢を整理していくことが望ましいといわれています。継続する場合、廃業する場合それぞれのメリット・デメリットを比較したうえで、相続人全員が納得できる結論を目指すことが重要だと考えられています。

判断を急ぐあまり十分な検討がなされないまま結論を出してしまうと、後になって後悔につながることもあるとされ、限られた時間の中でも要点を押さえた検討を行うことが望ましいといわれています。

すぐに結論が出せない場合には、当面の間だけ事業を縮小した形で継続しながら、並行して今後の方針を検討するという段階的なアプローチも選択肢の一つと考えられています。

いずれの選択をとるにしても、相続人全員が現状と今後の見通しについて共通認識を持てるよう、専門家を交えた説明の機会を設けることが、後悔の少ない判断につながると考えられています。

税理士法人アウル
ロゴ
相続税の申告や税務相談について、税理士としての資格とノウハウを活かしながら対応いたします。また、池袋で弁護士や司法書士などと連携し、その他のお困り事についても一つの窓口でサポートしております。
税理士法人アウル

〒170-0013

東京都豊島区東池袋1-35-8

第一伊三美ビル401

modal_banner