[池袋] 借地権の相続税評価とは?底地との関係と評価の考え方#相続税#税理士#池袋
相続財産の中に、他人の土地を借りて建物を建てている状態である「借地権」や、逆に自分の土地を人に貸している状態である「底地(貸宅地)」が含まれているケースは、都市部を中心に少なくないとされています。借地権や底地は、更地とは評価の考え方が異なり、借地契約の種類や地代の水準、届出書の有無によっても評価額が変わり得るため、実務上は特に注意が必要な財産のひとつと考えられています。とりわけ、契約の経緯が古く書類が十分に残っていない場合や、親族間の貸し借りで契約関係が曖昧になっている場合には、評価の前提となる事実関係の整理そのものに時間がかかることも少なくないといわれています。この記事では、借地権・底地の相続税評価の基本的な考え方に加え、定期借地権、使用貸借、相当の地代といった特殊な形態での取り扱い、小規模宅地等の特例との関係、そして申告実務における留意点について整理します。
目次
-
借地権とは何か―相続税の視点から見る基本的な仕組み
-
借地権の法的な位置づけと種類
-
借地権が相続財産となる場面
-
-
借地権の相続税評価の基本的な考え方
-
自用地価額と借地権割合による計算方法
-
路線価図で借地権割合を確認する方法
-
-
底地(貸宅地)の相続税評価
-
貸宅地の評価計算式
-
貸家建付地・自用地との違い
-
-
定期借地権が設定されている場合の評価
-
一般定期借地権の評価の考え方
-
事業用定期借地権等・建物譲渡特約付借地権の扱い
-
-
使用貸借に基づく土地を相続した場合の注意点
-
使用貸借と賃貸借の違いが評価に与える影響
-
使用貸借通達に基づく実務上の取扱い
-
-
相当の地代を収受している場合の借地権評価
-
相当の地代とは何か
-
相当の地代を支払っている場合の借地権評価
-
-
借地権・底地と小規模宅地等の特例の関係
-
貸付事業用宅地等としての取扱い
-
特定同族会社事業用宅地等との関係
-
-
借地権を含む相続税申告における実務上の注意点
-
土地の無償返還に関する届出書がある場合の取扱い
-
地代・更新料・名義書換料に関する留意点
-
借地権とは何か―相続税の視点から見る基本的な仕組み
借地権とは、建物を所有する目的で他人の土地を借りる権利のことを指すとされています。土地の所有者(地主)から見ると、その土地は「底地」あるいは「貸宅地」と呼ばれる状態になります。借地人は地代を支払う代わりに、その土地の上に自己所有の建物を建てて利用することができ、この利用権自体が財産的な価値を持つと考えられています。
相続税の実務においては、被相続人が借地人の立場であった場合、その借地権は相続財産として評価の対象になるとされています。一方、被相続人が地主の立場であった場合には、底地としての評価が必要になります。同じ土地であっても、借地人側と地主側とでは評価の考え方がまったく異なるため、まず被相続人がどちらの立場にあったのかを正確に整理することが出発点になると考えられます。
借地権は登記されていないことも多く、遺産分割の場面では見落とされがちな財産のひとつともいわれています。契約書や地代の支払い記録、固定資産税の負担者などから借地契約の実態を確認する作業が、相続税申告の準備段階で重要になると考えられます。特に、建物の登記名義と敷地の所有者名義が異なっている場合には、そこに借地関係が存在している可能性が高いため、見落としのないよう注意が必要とされています。
また、借地権は建物とセットで承継されるのが通常ですが、建物の相続人と借地契約上の名義人が異なる状態のまま長期間放置されているケースもあるといわれています。このような場合、遺産分割の段階で借地権と建物の帰属を一致させておかないと、後々の地代の支払いや契約更新の手続きにおいて混乱が生じる可能性があると考えられます。
なお、借地権付き建物を第三者に売却する場合には、地主の承諾を得る必要があるとされ、承諾を得る際に承諾料の支払いを求められることもあるといわれています。相続後に売却を検討する際には、こうした手続き面の負担もあらかじめ想定しておくことが望ましいと考えられます。同居していた親族が借地上の建物を承継する場合と、遠方に住む親族が承継する場合とでは、その後の土地の利用方針や地代の負担の仕方についての検討事項も異なってくると考えられます。
被相続人が生前に借地権を第三者へ売却する意向を示していたかどうかも、遺産分割の話し合いを進めるうえで参考になる情報のひとつと考えられます。こうした確認作業は、相続開始後できるだけ早い段階で着手しておくことが望ましいと考えられます。
借地権の法的な位置づけと種類
借地権は、大きく分けて旧借地法に基づく借地権と、借地借家法に基づく普通借地権、そして同法が定める定期借地権等に分類されるとされています。契約が締結された時期によって適用される法律が異なるため、古くから続く借地契約ほど、現行の借地借家法とは異なる条件が付されている場合があると考えられます。
普通借地権は、契約期間が満了しても正当な事由がない限り更新されるのが原則とされ、借地人の保護が比較的手厚い制度と説明されることが多いようです。これに対し、後述する定期借地権は契約期間の満了により原則として更新されずに終了する点が特徴とされています。相続税評価を行う際には、対象の借地権がどちらの類型に当たるのかをまず確認する必要があると考えられます。
契約書が古く、どの法律に基づく契約であるかが判然としない場合には、契約締結時期や更新の経緯を確認しながら、当時の法制度に照らして整理する作業が必要になることもあるとされています。旧借地法に基づく契約では、建物の構造(木造か非木造か)によって存続期間の考え方が異なっていたとされ、現行法とは異なる基準が適用される場合があります。契約書に記載された建物の構造や契約年月日を確認し、どちらの法律が適用されるかを慎重に見極める必要があると考えられます。
借地権の存続期間や更新の可否について契約書上の記載が乏しい場合には、実際の更新の経緯(更新料の授受や覚書の有無)から契約内容を補って理解する必要があるとされています。契約書に自動更新条項が定められているかどうかによっても、更新手続きの要否や更新料の要否についての理解が変わり得ると考えられます。
借地権が相続財産となる場面
被相続人が自宅や事業用の建物を他人の土地の上に所有していた場合、その借地権は相続財産として遺産分割・相続税申告の対象になるとされています。建物の登記名義が被相続人であっても、敷地が借地であることに気付かず評価から漏れてしまうケースもあるといわれているため、名寄帳や固定資産税の課税明細書などで土地の所有者を確認する作業が有用と考えられます。
また、借地権の一部を第三者に転貸している場合や、複数の相続人が共同で建物を承継する場合には、借地権の帰属や地代の負担関係がより複雑になることがあるとされています。こうした場合は、遺産分割協議の段階から借地契約の内容を丁寧に確認しておくことが望ましいと考えられます。
被相続人が個人で事業を営んでいた場合には、事業用の店舗や工場の敷地が借地であることも珍しくないとされ、事業を承継する相続人がいるかどうかによって、借地権の分割方法や後述する特例の適用可否にも影響が及ぶ可能性があると考えられます。被相続人が生前に借地契約の名義変更や承諾料の支払いを済ませていたかどうかも、相続後の手続きに影響することがあるとされ、生前の対応状況を関係書類から確認しておくことが望ましいと考えられます。
借地上の建物が老朽化し、建て替えを検討する場合には、地主の承諾や契約条件の見直しが必要になることもあるとされ、相続後の建物の維持管理方針にも影響し得ると考えられます。建物の維持管理費用や修繕の負担割合について、借地契約書に特段の定めがない場合には、実務上の慣行に沿って対応することが多いとされています。承継予定の相続人が定まっていない場合には、暫定的な管理方法についても関係者間で話し合っておくことが望ましいと考えられます。
借地権の相続税評価の基本的な考え方
普通借地権の相続税評価は、その土地が更地であった場合の価額(自用地価額)に、地域ごとに定められた借地権割合を乗じて算出するのが基本的な考え方とされています。自用地価額は、路線価地域であれば路線価に基づいて、倍率地域であれば固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて求められるのが一般的です。
借地権割合は、その土地の所在する地域の借地慣行の実情等を踏まえて国税局ごとに定められているとされ、同じ市区町村内であっても地域によって異なる割合が設定されていることがあるといわれています。したがって、実際の評価にあたっては、対象地の借地権割合を路線価図等で個別に確認する必要があると考えられます。
なお、借地権の価額がゼロと評価される場合もあり得るとされています。例えば、権利金の授受の慣行がない地域で地代のみを支払っているようなケースでは、借地権としての財産的価値が実質的に認められないと判断されることもあるようです。この点は地域の実情によって差が大きいため、個別の確認が欠かせないと考えられます。
さらに、同じ借地契約であっても、契約時からの年数の経過や周辺地域の地価変動によって、評価の前提となる自用地価額そのものが当初とは大きく変わっていることもあるとされています。相続開始時点における最新の路線価等を用いて評価し直す必要がある点にも注意が必要と考えられます。
借地権割合を確認する際には、対象地が複数の路線に接している場合、それぞれの路線に付された借地権割合が異なることもあるとされ、主たる路線がどれかを踏まえて評価に用いる割合を判断する必要があると考えられます。借地権割合は数年単位で見直されることがあるとされ、契約締結時と相続開始時とで割合が変動している可能性もあるため、最新の資料に基づいて評価を行う必要があると考えられます。評価の前提となる資料に誤りがあった場合、後日修正申告が必要になることもあるとされ、資料の正確性を初めから確認しておくことが望ましいと考えられます。評価に用いる各種資料は、申告書に添付する場合に備えて写しを保管しておくことが望ましいとされています。
自用地価額と借地権割合による計算方法
基本的な計算式は「自用地価額×借地権割合」で表されるとされています。例えば自用地価額が一定の金額で、借地権割合が地域ごとに定められた水準である場合、その積が借地権の相続税評価額の目安になると考えられます。実際の申告にあたっては、対象地の形状や間口・奥行きなどに応じた各種補正を自用地価額の算定段階で行う必要があるとされ、単純な乗算だけでは足りない点に注意が必要です。
借地権の評価額は、建物の構造や築年数そのものからは直接影響を受けないのが原則とされていますが、建物の存在によって土地の利用が制限されている状態そのものが評価の前提になっていると理解されています。したがって、建物を取り壊して更地にする予定がある場合などは、評価の考え方が変わり得る点にも留意が必要と考えられます。
対象地が不整形地であったり、複数の路線に面している角地であったりする場合には、自用地価額を求める段階でさらに個別の補正計算が必要になるとされ、借地権の評価はその補正後の価額を前提に行うことになると考えられます。私道に接する土地や、セットバックが必要な土地など、自用地価額の算定自体に特殊な調整が必要となる場合には、借地権評価もその調整後の価額を基礎とすることになると考えられます。
自用地価額の算定において、無道路地や崖地など特殊な地形上の補正が必要な場合には、通常の評価以上に専門的な確認作業が求められることがあると考えられます。自用地価額の算定結果は、借地権評価だけでなく底地評価の前提にもなるため、算定の正確性が特に重要になると考えられます。評価に用いる資料はいずれも公表年度が明記されているため、年度の取り違えがないよう注意することが望ましいとされています。
路線価図で借地権割合を確認する方法
借地権割合は、国税庁が公開している路線価図において、路線価を示す数字の後ろに付されたアルファベットで示されているとされています。このアルファベットは地域ごとに定められた割合の水準に対応しており、同じ路線でも数字部分と記号部分の両方を確認しなければ、正確な評価はできないと考えられます。
倍率地域の場合は、路線価図ではなく評価倍率表に借地権割合が示されているとされています。路線価地域か倍率地域かによって参照すべき資料が異なるため、対象地がどちらに区分されるのかをまず確認したうえで、該当する資料から借地権割合を読み取る手順が実務上の基本になると考えられます。
路線価図・評価倍率表はいずれも国税庁のウェブサイトで公表されている年度ごとの資料であるため、相続開始年分に対応する資料を参照する必要があるとされています。過去の年度の資料を誤って参照しないよう注意することも実務上のポイントのひとつと考えられます。路線価が付されていない地域や、路線価図の見方に不明な点がある場合には、国税庁の質疑応答事例や各国税局の相談窓口などを活用しながら確認を進めることも一つの方法とされています。
評価倍率表は市区町村・地目ごとに定められているとされ、対象地の地目(宅地・雑種地など)を誤ると倍率の適用を誤る可能性があるため、地目の確認もあわせて必要と考えられます。路線価図・評価倍率表の確認作業は、対象地の地番や地図上の位置を正確に特定したうえで行う必要があるとされています。
底地(貸宅地)の相続税評価
被相続人が地主として土地を貸していた場合、その土地は底地(貸宅地)として評価されるとされています。貸宅地の評価は、自用地としての価額から、借地人が有する借地権部分の価値を差し引いた残りの部分を地主の財産として捉える考え方に基づいているといわれています。
具体的には「自用地価額×(1-借地権割合)」という計算式で表されるのが基本とされています。借地権割合が高い地域ほど、地主が有する底地の評価額は相対的に低くなる傾向があると考えられます。これは、借地権割合が高いということは、その分だけ借地人側の権利が強いとみなされていることの裏返しであるためと説明されることが多いようです。
底地は、地主自身が自由に使用・処分できる範囲が限定されているという性質から、更地に比べて市場での流動性が低いとされることがあります。相続税評価上もこうした利用制限が織り込まれた形になっていると理解されています。
加えて、底地を第三者に売却しようとしても、借地人以外の買い手が現れにくく、実際の取引価格が相続税評価額を下回ることがあるとも指摘されています。相続後に底地の処分を検討する場合には、こうした市場の実情も踏まえて方針を検討することが望ましいと考えられます。
底地を相続した相続人が、その後借地人との合意により底地と借地権を一体化する(いわゆる底地・借地権の交換や買い取り)といった対応を検討するケースもあるとされ、相続後の資産の持ち方を考えるうえでの選択肢のひとつになり得ると考えられます。底地の売却を検討する場合、借地人以外の第三者への売却は難しいことが多いとされ、売却先の選択肢が限られる点も、底地特有の実務上の留意点のひとつと考えられます。底地の評価にあたっては、借地人との関係が良好かどうかといった事情そのものは評価額に直接影響しないとされていますが、その後の資産活用の検討には影響し得ると考えられます。底地の相続に際しては、借地人との今後の関係性についても、相続人間であらかじめ方針を共有しておくことが望ましいと考えられます。
貸宅地の評価計算式
貸宅地の評価額は、前述のとおり自用地価額に(1-借地権割合)を乗じて算出するのが基本的な考え方とされています。この計算を行う前提として、自用地価額そのものの算定(路線価や倍率、各種画地補正の適用)を正確に行っておく必要があると考えられます。
複数の借地人に土地を分割して貸している場合には、貸付けている部分ごとに区分して評価する必要があるとされています。一筆の土地の中に自用地部分と貸宅地部分が混在しているケースもあるため、実際の利用状況を実測図や賃貸借契約書と照合しながら区分を確定させる作業が重要になると考えられます。
区分の境界が曖昧な場合には、測量図や現地の状況を確認しながら、面積按分など合理的な方法で評価対象を区分する必要が生じることもあるとされています。分割貸付けの経緯が古く、当初の契約図面と現況が一致しないこともあるとされ、必要に応じて現地調査や測量を行い、評価の前提となる面積・区分を確定させる作業が有用と考えられます。
底地の一部が私道として提供されているような場合には、その部分の評価が別途必要になることもあるとされ、土地の利用状況を図面等で丁寧に確認する作業が求められると考えられます。貸宅地の面積を実測図と公簿面積とで照合し、相違がある場合にはその理由を確認しておくことも実務上有用とされています。
貸家建付地・自用地との違い
底地(貸宅地)は、地主が自ら建物を建てずに土地のみを貸している状態を指すのに対し、貸家建付地は地主自身が建物を所有し、その建物を他人に貸している状態を指すとされ、両者は評価の考え方が異なる点に注意が必要です。貸家建付地は「自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」という、底地とは異なる計算式で評価されるとされています。
相続財産の中にこれらが混在している場合、どちらの区分に該当するのかを一つずつ確認しないと、誤った計算式を適用してしまう可能性があると考えられます。土地の上に地主自身の建物があるかどうかが、両者を見分ける基本的な着眼点になるといわれています。
同一の被相続人が、ある土地では底地として貸し、別の土地では自ら建物を建てて賃貸に供しているといったケースも珍しくないとされ、土地ごとに利用形態を個別に確認する作業が欠かせないと考えられます。貸家建付地の賃貸割合は、空室期間の長さや募集の状況によっても評価に影響し得るとされ、相続開始時点における入居状況を正確に把握しておくことが望ましいと考えられます。
貸家建付地における借家権割合や賃貸割合は、建物の空室状況によって変動し得るとされ、相続開始時点の入居状況を賃貸借契約書や家賃の入金記録から確認しておく必要があると考えられます。貸家建付地の評価においては、賃貸借契約が事業用か居住用かによって借家権割合の適用の考え方が変わることはないとされていますが、契約内容の確認自体は引き続き必要と考えられます。土地の利用状況に変化があった場合には、相続開始時点の状況を基準に評価を行う必要があると考えられます。
定期借地権が設定されている場合の評価
借地借家法には、契約更新のない定期借地権の制度が定められているとされています。定期借地権にはいくつかの類型があり、それぞれ存続期間や利用目的の制限が異なるとされています。相続開始時点でこうした定期借地権が設定されている場合、普通借地権とは異なる評価方法が用いられると考えられています。
定期借地権の評価は、その権利の残存期間や、設定時に授受された保証金等の経済的利益の有無などを踏まえて算定されるのが一般的とされています。残存期間が短くなるほど、権利としての価値も逓減していく考え方が採られているといわれています。
定期借地権は契約内容によって評価に用いる要素が異なるため、契約書に記載された存続期間や特約の内容を確認したうえで、個別に評価方法を検討する必要があると考えられます。
定期借地権付きの分譲住宅やマンションが被相続人の財産に含まれている場合には、分譲時の重要事項説明書や契約書に評価の前提となる情報がまとまっていることが多いとされ、これらの資料を早めに確認しておくことが実務上有用と考えられます。
定期借地権付きの土地上に区分所有建物が建っているような場合には、敷地権の持分に応じて評価を按分する必要があるとされ、通常の一戸建て住宅とは異なる確認作業が必要になることもあると考えられます。定期借地権の契約終了後、土地を更地で返還する義務がある場合には、その原状回復に要する費用の負担についても契約書で確認しておくことが望ましいと考えられます。定期借地権の評価にあたっては、契約書とあわせて重要事項説明書や覚書など、関連する書面をひとまとめに確認しておくことが望ましいと考えられます。定期借地権に関する評価の要素は多岐にわたるため、契約内容を一覧にまとめておくと、その後の確認作業がしやすくなると考えられます。
一般定期借地権の評価の考え方
一般定期借地権は、存続期間を50年以上として設定される借地権とされ、居住用・事業用を問わず利用できる点が特徴といわれています。その評価にあたっては、課税時期における残存期間に応じた逓減率を用いる考え方が一般的とされており、残存期間が長いほど評価額に反映される割合も大きくなる傾向があると考えられます。
あわせて、設定時における保証金などの授受がある場合には、その経済的利益に相当する部分も評価に影響し得るとされています。契約内容が個々の事案によって異なるため、契約書や重要事項説明書の内容を確認しながら評価の要素を洗い出す作業が欠かせないと考えられます。
保証金が無利息で預けられている場合、その経済的利益をどのように評価に反映させるかについても個別の検討が必要とされることがあり、契約時の条件を正確に把握しておくことが望ましいと考えられます。存続期間の起算日を誤って把握すると、残存期間の計算そのものが誤ってしまう可能性があるとされ、契約書に記載された契約開始日を正確に確認することが評価の前提として重要と考えられます。
一般定期借地権の契約書には、公正証書等の書面によることが求められているとされ、契約の成立要件そのものを確認しておくことも評価の前提として重要と考えられます。一般定期借地権の評価においては、保証金の返還時期や返還条件についても契約書で確認しておくことが望ましいとされています。定期借地権の設定契約に付随する特約事項がある場合には、その内容も評価の判断材料になり得ると考えられます。
事業用定期借地権等・建物譲渡特約付借地権の扱い
事業用定期借地権等は、専ら事業の用に供する建物の所有を目的として、比較的短い存続期間で設定されることが多いとされる借地権です。居住用建物には利用できない点が一般定期借地権との違いとして挙げられます。評価の基本的な考え方は一般定期借地権と共通する部分が多いとされていますが、契約類型ごとの細かな要件を踏まえた確認が必要と考えられます。
建物譲渡特約付借地権は、一定期間経過後に地主が建物を買い取る特約が付された借地権とされ、この特約の内容によって評価に反映すべき要素が変わり得るといわれています。いずれの類型についても、契約書の内容を丹念に確認したうえで評価方針を決める必要があると考えられます。
これらの類型は普通借地権に比べて契約件数自体が少ないとされ、評価事例も限られることから、判断に迷う場合には契約書一式を整理したうえで慎重に検討することが望ましいと考えられます。事業用定期借地権等が設定された土地の上に、契約終了時に建物を解体・更地化する義務(原状回復義務)が定められている場合、その義務の履行費用が評価にどのように影響するかについても、契約内容に応じた個別の検討が必要になると考えられます。
事業用定期借地権等は存続期間が一般定期借地権よりも短く設定されることが多いとされ、相続開始時点での残存期間がごくわずかである場合には、評価額も小さくなる傾向があると考えられます。建物譲渡特約付借地権における建物の買い取り価格の算定方法についても、契約書の記載内容を確認しておく必要があると考えられます。
使用貸借に基づく土地を相続した場合の注意点
親族間などで、地代を支払わずに、あるいは固定資産税相当額程度のみを負担して土地を利用しているケースは「使用貸借」に当たるとされています。使用貸借は、対価を伴う賃貸借とは法的性質が異なり、相続税評価の考え方にも違いが生じるとされています。
使用貸借に基づいて土地を利用している場合、その土地の上に存在する権利は、賃貸借契約に基づく借地権とは異なり、財産的価値のある借地権としては評価しないという考え方が実務上とられているとされています。この場合、土地の所有者側から見ると、その土地は自用地として評価されるのが基本的な取り扱いといわれています。
使用貸借か賃貸借かの区分は、地代の水準や契約の実態から総合的に判断されるとされており、名目上の契約形式だけで機械的に決まるものではないと考えられます。特に親族間の土地の貸し借りでは、この区分が曖昧になりやすいため、実際の地代の授受状況を確認する必要があると考えられます。
親から子への土地の使用貸借は、二世帯住宅や隣接地への住宅建築など、家族間でよく見られる形態のひとつとされています。こうした関係は契約書を取り交わさないまま長年続いていることも多いといわれ、相続の段階になって初めて権利関係の整理が必要になるケースも少なくないと考えられます。
使用貸借に基づき土地を利用していた相続人が、相続後にその土地の所有権も承継する場合には、使用貸借関係が解消され、以後は自用地としての利用に一本化されることになると考えられます。遺産分割の内容によって、その後の土地の性質が変わり得る点も踏まえておくことが望ましいといえます。使用貸借に関する取り扱いは、相続税だけでなく贈与税の場面でも問題となることがあるとされ、あわせて確認しておくことが望ましいと考えられます。使用貸借に関する事実関係の確認は、相続税申告だけでなく、その後の親族間のトラブル防止にもつながると考えられます。
使用貸借と賃貸借の違いが評価に与える影響
使用貸借に基づく土地利用の場合、借主側には財産的価値のある借地権は生じないと整理されているとされ、貸主側の相続税評価においてもその土地は自用地として扱われるのが基本的な考え方といわれています。これに対し、相当の地代を含む賃貸借契約に基づく土地利用の場合は、前述した借地権評価の考え方が適用されることになると考えられます。
この違いは、親から子への土地の貸し借りのように、地代の授受が形式的、あるいは固定資産税相当額程度にとどまる場合に特に問題となりやすいとされています。契約書がなく口頭での取り決めにとどまっているケースも多いといわれているため、実態把握のために地代の入出金記録などを確認する作業が重要になると考えられます。
使用貸借であるにもかかわらず、賃貸借契約書の書式をそのまま流用しているようなケースもあるとされ、書面の体裁と実際の地代の授受実態が食い違っている場合には、実態を優先して判断する必要があると考えられます。固定資産税相当額を地代として支払っている場合であっても、それのみをもって直ちに賃貸借と判断されるわけではないとされ、地代の算定根拠や合意の経緯なども含めて総合的に判断する必要があると考えられます。
使用貸借であるとの認識が当事者間で一致していても、書面化されていないと第三者(他の相続人や税務当局)に説明する際に苦労することがあるとされ、事情を整理したメモ等を残しておくことも一案と考えられます。使用貸借の実態を確認する際には、地代の授受記録だけでなく、固定資産税の負担者や納税通知書の送付先なども参考になる情報とされています。
使用貸借通達に基づく実務上の取扱い
使用貸借による土地の利用については、使用貸借に係る土地の評価に関する取扱いを定めた通達等の考え方に沿って、借地権が生じないものとして扱われるのが実務上一般的とされています。ただし、この取扱いはあくまで使用貸借であることが前提であり、実質的に地代の授受があると認められる場合には、賃貸借として扱われる可能性がある点に留意が必要と考えられます。
使用貸借に関する届出の有無や、過去の地代の支払い実績なども踏まえて総合的に判断する必要があるとされているため、判断に迷う場合には、契約の経緯を時系列で整理しておくことが望ましいと考えられます。
使用貸借であることを前提に土地を無償で借り受けていた相続人が、相続開始後にその土地を賃貸借に切り替える場合には、契約関係が変わることで評価の前提も変わり得るため、今後の利用方針とあわせて検討することが望ましいと考えられます。使用貸借に基づく土地について、将来的に有償の賃貸借契約へ切り替えることを検討している場合には、切替え時期や地代水準の設定方法についても早めに方針を固めておくことが望ましいと考えられます。
使用貸借の状態が長く続いている土地について、当事者以外の親族が経緯を把握していないこともあるとされ、遺産分割協議の場で初めて事情が共有されることのないよう、早めに情報を整理しておくことが望ましいと考えられます。使用貸借に関する事情は、遺産分割協議の場で他の相続人にも共有しておくことで、後々の認識の相違を防ぐことにつながると考えられます。使用貸借に関する取り扱いは、地域や家族関係によって実態が異なることも多いとされ、個別の事情を丁寧に確認する必要があると考えられます。
相当の地代を収受している場合の借地権評価
権利金の授受の慣行がある地域において、権利金を授受せずに土地を貸し借りする代わりに、通常よりも高い水準の地代(相当の地代)を収受している場合があるとされています。このような場合、借地権の評価の考え方が通常のケースとは異なってくるといわれています。
相当の地代とは、その土地の自用地価額に対して一定の水準で計算される地代のことを指すとされ、この水準に見合う地代が実際に支払われている場合には、借地権の価値の一部または全部が地代の中に織り込まれていると考える発想がとられているようです。
相当の地代を収受しているかどうかの判定には、地代の算定根拠となる土地の価額や、地代改定の実施状況なども関わってくるとされ、単に地代の金額の多寡だけで判断できるものではないと考えられます。
特に法人が借地人となっているケースでは、株主と地主が同一人物であるなど、当事者間に特別な関係があることも多いとされ、地代の水準が第三者間の取引と比べて妥当であるかどうかが、より慎重に検討されるべき論点になると考えられます。
相当の地代を巡る取り扱いは、通常の借地契約に比べて計算の前提となる資料が多く、税務上の判断も専門的になりやすいとされているため、契約関係が複雑な場合には早い段階で資料を整理しておくことが望ましいと考えられます。相当の地代を巡る取り扱いは過去の税制改正や通達の変遷を経て整理されてきた経緯があるとされ、契約が長期間続いている場合には、その間の制度変更の影響も踏まえて確認する必要があると考えられます。相当の地代に関する取り扱いは個別性が高いとされているため、契約関係を整理したうえで、必要に応じて専門的な確認を経ることが望ましいと考えられます。相当の地代に関する論点は、他の借地権評価の論点と比べても専門性が高いとされ、早めに資料を整理しておくことが望ましいと考えられます。
相当の地代とは何か
相当の地代は、権利金を授受しない代わりに、土地の自用地価額を基準とした一定の利回りに相当する地代を支払う仕組みとして説明されることが多いとされています。この仕組みは、特に法人と個人の間の土地の貸し借りなど、権利金の授受の有無が課税上問題となりやすい場面で用いられてきた考え方といわれています。
相当の地代の水準は、土地の価額の変動に応じて見直されることが想定されているとされ、据え置かれたままになっている場合には、借地権の認定に影響が生じる可能性があると考えられます。相続税評価にあたっては、地代の改定履歴も含めて確認しておくことが望ましいといわれています。
地代の改定を行う際に、あらかじめ将来の改定方法について取り決めておくかどうかによっても、その後の税務上の取り扱いに違いが生じ得るとされ、契約時点でどのような取り決めがなされていたかを確認する必要があると考えられます。相当の地代の水準を算定する基礎となる土地の価額についても、直近の路線価等を用いるのか、契約時点の価額を用いるのかといった点で、事案によって考え方が分かれることがあるとされています。
相当の地代の考え方は、土地の無償返還に関する届出書が提出されている場合の取り扱いとも関連するとされ、両者を混同しないよう、それぞれの制度の前提条件を分けて確認する必要があると考えられます。相当の地代の算定にあたって参照する土地の価額は、契約の相手方が法人か個人かによっても取り扱いが異なる場合があるとされています。相当の地代の考え方を理解しておくことは、借地契約全般の評価を検討するうえでも参考になると考えられます。
相当の地代を支払っている場合の借地権評価
相当の地代を支払っている場合、借地権の価額はゼロ、またはそれに近い水準で評価されることがあるとされています。これは、権利金に代わる経済的な負担を地代という形で継続的に行っていると捉えられるためと説明されることが多いようです。
一方で、相当の地代よりも低い水準の地代しか支払われていない場合には、その差額に相当する部分が借地権としての価値を構成すると考えられるケースもあるとされています。地代の水準が相当の地代に対してどの程度の割合であるかによって評価が変わり得るため、個別の地代水準の確認が欠かせないと考えられます。
このような判定は専門的な計算を伴うことが多いとされ、契約時の経緯や地代改定の記録が十分に残っていない場合には、判断そのものに時間を要することもあると考えられます。地代の水準が相当の地代を上回っている場合の取り扱いについても、個別の事情に応じた検討が必要になることがあるとされ、契約全体の経緯を踏まえて総合的に判断することが望ましいと考えられます。
相当の地代と実際の地代との差額をどのように評価に反映させるかは事案ごとに異なるとされ、契約当事者間の関係性(第三者間か同族関係者間か)によっても検討の視点が変わり得ると考えられます。相当の地代を巡る評価は、贈与税との関係が問題となることもあるとされ、相続税だけでなく贈与税の観点からも確認しておくことが望ましいと考えられます。
借地権・底地と小規模宅地等の特例の関係
小規模宅地等の特例は、一定の要件を満たす宅地等について、相続税評価額を一定割合減額できる制度とされています。借地権や底地についても、その利用状況によっては、この特例の対象になり得ると考えられています。
ただし、特例の適用を受けるためには、宅地等の利用区分(居住用、事業用、貸付用など)や、相続人の要件、申告期限までの保有継続要件など、複数の条件を満たす必要があるとされています。借地権や底地は、通常の自用地とは利用形態が異なるため、どの区分に当てはまるのかを慎重に検討する必要があると考えられます。
特例の適用の有無によって納付すべき相続税額が大きく変わることもあるとされているため、対象となる借地権・底地がある場合には、利用実態を整理したうえで、適用可能性を個別に検討することが望ましいと考えられます。
また、特例の適用を受けるための申告書には、利用状況を裏付ける賃貸借契約書や地代の支払い記録などの添付が求められる場合があるとされ、必要書類を早めに揃えておくことが円滑な申告につながると考えられます。
被相続人の生前に、これらの特例の適用を見据えた土地の利用方法の見直しが行われていることもあるとされ、相続開始前の利用状況の変化についても確認しておくことが、特例適用の可否を判断するうえで重要になると考えられます。特例の適用を検討する際には、対象となる宅地等が複数ある場合の限度面積の配分についても、あらかじめ複数のパターンを比較検討しておくことが望ましいと考えられます。小規模宅地等の特例の適用要件は改正が重ねられてきた経緯があるとされ、相続開始時点で有効な要件に基づいて判断する必要があると考えられます。特例の適用可否は相続税額に直結するため、要件の確認は申告作業の中でも特に慎重に進めるべき事項のひとつと考えられます。
貸付事業用宅地等としての取扱い
底地のように、他人に貸し付けている宅地等は、要件を満たせば貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例の対象になり得るとされています。この区分に該当する場合、一定の限度面積までの部分について評価額が減額されるとされていますが、相続開始前の一定期間内に新たに貸付けを開始した宅地等は対象から除外される場合があるなど、細かな要件が定められているといわれています。
借地権が設定された土地を相続する場合においても、その土地が貸付事業の用に供されていたと認められるかどうかによって、特例の適用可否が左右されると考えられます。契約の開始時期や貸付けの継続性を確認しておくことが実務上重要になるとされています。
相続開始の直前に貸付けを開始したような場合には、この期間要件に抵触しないかどうかを特に慎重に確認する必要があるとされ、契約の締結日を裏付ける資料を確認しておくことが望ましいと考えられます。限度面積を超える部分については特例の対象とならないため、複数の貸付宅地等がある場合には、どの土地から優先的に特例を適用するかによって、全体の減額幅が変わり得るとされ、慎重なシミュレーションが望ましいと考えられます。
貸付事業用宅地等に該当するかどうかの判定では、貸付けが事業的規模で行われているか、あるいは小規模な貸付けにとどまるかによって考慮すべき点が異なる場合があるとされています。貸付事業用宅地等の評価にあたっては、賃貸借契約書に記載された賃料や契約期間も、利用実態を裏付ける資料として確認しておくことが望ましいとされています。
特定同族会社事業用宅地等との関係
被相続人が同族会社に土地を貸し付け、その会社が事業の用に供していたようなケースでは、特定同族会社事業用宅地等として、貸付事業用宅地等とは異なる区分・限度面積・減額割合が適用される可能性があるとされています。この場合、会社の株式保有関係や役員構成など、貸付事業用宅地等とは異なる要件を満たす必要があるといわれています。
借地権・底地が同族会社との取引に関わっている場合には、通常の第三者間の賃貸借とは異なる要件の検討が必要になるとされているため、会社の登記事項や株主構成なども含めて確認しておくことが望ましいと考えられます。
会社が支払う地代の水準が第三者間の取引と比べて著しく低い場合など、取引条件そのものが問題になることもあるとされ、地代の設定根拠についても資料をあわせて確認しておくことが望ましいと考えられます。同族会社が複数の事業を営んでいる場合、そのうちのどの事業の用に供されている宅地等かによって適用区分が変わることもあるとされ、会社の事業内容と土地の利用実態を突き合わせて確認する必要があると考えられます。
特定同族会社事業用宅地等の適用を検討する際には、相続税申告書に会社の定款や株主名簿の写しなど、通常の申告以上に多くの資料の準備が必要になることがあると考えられます。特定同族会社事業用宅地等の適用可否を判断する際には、税理士など専門家の見解もあわせて確認しながら進めることが望ましいと考えられます。会社の決算書類や役員名簿などをあらかじめ確認しておくことで、申告作業をより円滑に進められると考えられます。
借地権を含む相続税申告における実務上の注意点
借地権や底地が相続財産に含まれる場合、申告書の作成にあたってはいくつかの実務上の留意点があるとされています。まず、対象となる土地が借地権・底地のいずれに該当するのか、あるいは使用貸借に基づくものなのかを、契約書・地代の支払い記録・固定資産税の負担状況などから確認する作業が出発点になると考えられます。
次に、借地権割合や自用地価額の算定に必要な路線価図・評価倍率表などの資料を正確に参照し、対象地の形状に応じた補正を行う必要があるとされています。定期借地権や相当の地代が関わる場合は、契約書や地代の改定履歴といった追加の資料を確認する必要が生じることもあるといわれています。
これらの確認作業は、通常の更地の評価に比べて手間がかかることが多いとされ、申告期限までに十分な時間的余裕をもって着手することが望ましいと考えられます。不明な点がある場合は、専門家に相談しながら進めることも選択肢のひとつといえるでしょう。
さらに、遺産分割協議において借地権や底地の分け方が決まらないうちは、後述する各種特例の適用可否も確定できないことが多いとされ、他の財産以上に早めの話し合いが望ましい財産のひとつともいわれています。
申告後に税務調査などで借地権・底地の評価が問題となった場合に備え、評価の根拠資料(路線価図の写し、契約書、地代の支払い記録等)を整理して保管しておくことも、実務上有用な備えのひとつとされています。申告書の作成を専門家に依頼する場合であっても、契約の経緯や地代の支払い状況といった一次情報は相続人自身が把握している必要があるとされ、日頃から関係書類を整理しておくことが望ましいと考えられます。借地権・底地に関する資料の整理は、相続税申告だけでなく、その後の資産管理や次の世代への承継を考えるうえでも役立つと考えられます。以上の点を踏まえ、借地権・底地が相続財産に含まれる場合には、通常以上に時間的な余裕を持って申告準備を進めることが望ましいと考えられます。
土地の無償返還に関する届出書がある場合の取扱い
法人が地主から土地を借り受け、将来その土地を無償で返還することをあらかじめ約する届出書が税務署に提出されているケースがあるとされています。この届出書が提出されている場合、借地権の価額は原則としてゼロとして扱われ、地主側の底地評価においても通常の底地評価とは異なる取り扱いがなされることがあるといわれています。
相続財産の中にこの届出書に関わる土地が含まれている場合、届出書の提出状況を法人税申告書の付属書類等で確認する作業が必要になると考えられます。届出の有無によって評価額が大きく変わり得るため、見落とさないよう注意が必要とされています。
届出書が提出された時期と現在の利用状況に変化がないかどうかも確認しておくことが望ましいとされ、当初の届出内容と実態がかい離している場合には、慎重な検討が必要になると考えられます。届出書の写しが手元にない場合には、被相続人が生前に依頼していた税理士や、取引のあった法人の税務担当者に確認するなど、複数の経路から情報を集めることも考えられます。
届出書の効力は、土地の利用状況や当事者が変わらない限り継続するのが基本的な考え方とされていますが、契約内容に重要な変更があった場合には、あらためて確認が必要になることもあると考えられます。届出書の内容が現在の利用状況と整合しているかどうかは、法人の決算書類や賃貸借契約書とあわせて確認しておくことが望ましいとされています。届出書に関する資料が見当たらない場合には、税務署への確認も選択肢のひとつとして考えられます。
地代・更新料・名義書換料に関する留意点
借地契約に伴う地代の水準や、更新時に授受される更新料、借地権を譲渡・転貸する際の名義書換料の有無・金額は、借地権の評価や契約の実態把握において参考になる情報とされています。これらの授受の経緯や金額を示す資料は、評価の妥当性を裏付けるものとして保存しておくことが望ましいと考えられます。
また、地代の滞納が続いているようなケースでは、借地契約の解除リスクなど権利関係そのものに影響が及ぶ可能性もあるとされ、評価以前の問題として契約状態そのものを確認しておく必要があると考えられます。相続開始後は、地代の支払いを滞らせないよう早めに手続きを進めることも大切だといわれています。
相続人が複数いる場合には、地代の支払い窓口や連絡先を一本化しておくことも、その後の契約関係を円滑に維持するうえで有用とされ、遺産分割協議とあわせて話し合っておくことが望ましいと考えられます。更新料や名義書換料の支払いに関する取り決めが契約書に明記されていない場合には、地域の慣行や過去の支払い実績を踏まえて、今後の取り扱いについて借地人・地主間であらためて確認しておくことが望ましいと考えられます。
地代等の金銭のやり取りを現金で行っている場合には、記録が残りにくいとされ、可能な限り振込みなど記録の残る方法に切り替えておくことも、将来の相続に備えた実務上の工夫のひとつと考えられます。地代や更新料の授受に関する記録を相続人間で共有しておくことも、円滑な遺産分割協議につながる実務上の工夫のひとつと考えられます。