[池袋] 死亡退職金は相続税の対象?非課税枠と弔慰金との違い
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query_builder 2026/08/18 相続税

会社員や会社役員が亡くなった際、勤務先から遺族に死亡退職金が支給されることがあります。この死亡退職金は、民法上の相続財産そのものではないものの、相続税の計算上は「みなし相続財産」として課税対象に含まれるとされています。一方で、死亡退職金には一定額までの非課税枠が設けられており、また似た性質を持つ弔慰金とは税務上の扱いが異なるとされています。本記事では、死亡退職金が相続税の対象となる理由、非課税枠の計算方法、弔慰金との線引き、死亡保険金との関係、受給権者の範囲、申告実務上の注意点などを、実務的な切り口から整理して解説します。名称や支給の経緯が会社ごとに異なるため、一般的な理解だけでは判断が難しい場面も少なくないとされており、中小企業の経営者やその親族の相続に携わる場面でも参考になる論点を中心に取り上げています。

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死亡退職金とは何か

死亡退職金とは、会社の役員や従業員が在職中に死亡した場合に、その死亡を理由として勤務先から遺族に対して支給される金銭のことをいうとされています。本来、退職金は本人が存命のうちに退職した際に受け取るものですが、在職中に死亡した場合には、その支給を受けるはずであった権利が遺族に引き継がれる形で支払われるのが一般的な仕組みとされています。

死亡退職金の支給額や支給基準は、会社ごとの退職金規程や役員退職慰労金規程によって定められていることが多く、法律で一律に金額が決まっているものではないとされています。上場企業などでは、勤続年数や役職に応じた支給率をあらかじめ定めた規程が整備されていることが一般的ですが、中小企業の場合には、経営者本人が死亡した際にどの程度の死亡退職金を支給できるかが、その都度の会社の資金繰りや生命保険の活用状況によっても左右されると考えられます。

また、死亡退職金は、法人税の実務上も損金として取り扱われるかどうかが論点になることがあるとされています。あまりに高額な死亡退職金を支給した場合、税務調査において「不相当に高額な部分」として損金算入が否認される可能性があるという考え方もあり、支給額の決定にあたっては、勤続年数や功績、同業他社の支給水準などを踏まえた合理的な説明ができるようにしておくことが望ましいとされています。役員退職慰労金の場合、功績倍率という考え方を用いて、最終報酬月額に勤続年数と役職に応じた倍率を乗じて算定する方法が広く用いられているとされています。

会社の規模によっては、死亡退職金という制度自体が明文化されていないこともあり、経営者が死亡して初めて支給の是非や金額を検討することになるケースも少なくないと考えられます。このような場合、遺族としては会社側の対応を待つだけでなく、規程の有無や過去の支給実績について早めに問い合わせておくことが、その後の相続税申告のスケジュールを立てる上でも有用と考えられます。

相続税の実務では、この死亡退職金がどのような性質を持つ支給金であるかを正確に把握することが出発点になります。単に「退職金」という名目であっても、実質的な性格によっては後述する弔慰金と区別が必要になる場合があるため、支給決議の内容や規程の記載を丁寧に確認する姿勢が求められると考えられます。

就業規則や退職金規程の中には、死亡退職金とは別に「退職金の前払い制度」を設けている会社もあるとされていますが、前払いを受けていた場合には死亡退職金の支給額から差し引かれる、あるいは支給対象外になるといった調整が行われることもあるため、就業規則の該当条文をあわせて確認しておくことが望ましいと考えられます。

役員と一般の従業員とでは、死亡退職金の算定方法や規程上の位置づけが異なることも多いとされています。役員については役員退職慰労金規程に基づき功績倍率などを用いて算定される一方、一般の従業員については就業規則に定められた退職金規程や労働協約に基づいて算定されることが一般的とされ、いずれの規程が適用されるかによって金額水準や決定プロセスが変わってくると考えられます。

死亡退職金の一般的な仕組み

死亡退職金は、被相続人の死亡後、勤務先の取締役会や株主総会などの決議を経て支給額が確定するケースが一般的とされています。支給決定の手続きやタイミングは会社の規模や体制によって異なり、上場企業のように退職金規程が明確に整備されている場合もあれば、中小企業のように死亡のたびに個別に金額を協議して決定する場合もあるとされています。

この支給決定のタイミングは、後述するみなし相続財産としての取り扱いや、相続税の申告期限との関係にも影響してくるため、実務上は支給決定日を議事録などの書類で確認しておくことが望ましいと考えられます。とくに、決定までに時間を要する会社の場合、相続人側から進捗を確認し、申告スケジュールに反映させる姿勢が重要になると考えられます。

なお、死亡退職金は一時金として一括で支給される場合のほか、分割して支給される場合もあり得るとされており、分割支給の場合には受給権の評価方法についても個別に検討が必要になることがあると考えられます。分割支給が予定されている場合、初回の支給時点で全体の受給権を評価して申告に反映させる必要があるかどうかについても、慎重な確認が望ましいと考えられます。

支給決議の際に作成される議事録は、書面だけでなく電子データとしても保管し、相続税の申告作業に関わる専門家といつでも共有できるようにしておくことが、手続き全体の効率化につながると考えられます。

支給が確定するまでの間、会社側で仮払いのような形で一部を先渡しするケースもあるとされていますが、正式な支給決議前の仮払いが後の按分計算や非課税枠の適用にどう影響するかは個別の事情によって異なるため、仮払いを受けた場合にはその内容も記録しておくことが望ましいと考えられます。

弔慰金との違い

死亡退職金とよく似た性質を持つ支給金として、弔慰金や花輪代、葬祭料などが挙げられます。これらは本来、遺族の精神的・経済的な負担を慰めるために支給されるものであり、退職金とは異なる性格を持つとされています。ただし、名目が弔慰金であっても、実質的に退職金の性格を持つと判断される場合には、税務上は死亡退職金として取り扱われる可能性がある点に留意が必要とされています。

この区分は、金額の多寡だけでなく、支給の趣旨や社内規程上の位置づけ、他の従業員が死亡した場合との支給水準の比較なども踏まえて総合的に判断されると考えられます。区分の考え方については、後の章で改めて詳しく取り上げます。

実務上は、弔慰金と死亡退職金を一つの支給決議にまとめてしまうと、後から金額を切り分けることが難しくなる場合があるため、支給の段階からそれぞれを区分して決議し、書類上も明確に分けて記録しておくことが望ましいと考えられます。

名目が弔慰金や見舞金とされている場合でも、実際にどのような算定根拠で金額が決められたのかを示す資料を確認し、実質的な性格を見極める姿勢が実務上重要になると考えられます。

死亡退職金が相続税の対象となる理由

死亡退職金は、被相続人が生前に所有していた財産ではなく、被相続人の死亡をきっかけとして遺族が新たに取得する金銭です。そのため、民法上の相続財産には該当しないと整理されています。しかし相続税法では、経済的な実質に着目し、死亡退職金のように被相続人の死亡を原因として支給される一定の財産を「みなし相続財産」として相続税の課税対象に含める仕組みが設けられているとされています。

これは、死亡退職金が実質的には被相続人の勤務の対価としての性格を持ち、本人が生きていれば退職金として受け取っていたはずの財産であるという考え方に基づくものと考えられます。相続財産そのものではないものの、遺族の財産形成に大きな影響を与える点で、通常の相続財産と同様に課税の公平性を確保する必要があるという趣旨によるものとされています。

仮に死亡退職金がまったく課税対象に含まれないとすると、勤務先から支給される退職金という形をとることで実質的な財産移転が非課税になってしまい、他の相続財産との間で課税の不均衡が生じかねないという懸念があると考えられます。みなし相続財産という制度は、こうした不均衡を是正するための仕組みのひとつとして位置づけられていると考えられます。

同様の考え方は、死亡保険金のほか、被相続人が生前に契約していた定期金に関する権利など、他の財産類型にも及んでいるとされています。死亡退職金はその中でも、勤務先という第三者の意思決定を経て支給される点に特徴があり、被相続人本人が生前に金額や支給の有無をコントロールしにくい財産であるとも考えられます。

この「みなし相続財産」という位置づけを理解しておくことは、相続税申告全体の財産把握の出発点としても重要とされています。とくに、被相続人が会社役員であった場合には、死亡退職金の有無や見込み額を早い段階で確認しておくことが、申告作業全体のスケジュール管理にもつながると考えられます。

また、死亡退職金の請求権そのものにも消滅時効の考え方が及ぶとされており、会社側の対応が遅れて長期間放置された場合には、権利関係が複雑にならないよう、早い段階で会社に対して支給の意思確認を行っておくことが望ましいと考えられます。

なお、被相続人が個人事業主であり、雇用契約に基づく勤務先を持たなかった場合には、そもそも死亡退職金という概念自体が生じないと考えられます。個人事業主の相続では、事業用資産や事業上の債権債務が中心的な論点になるのに対し、会社員や会社役員の相続では死亡退職金の有無を確認する作業が加わる点で、財産把握の視点が異なってくると考えられます。

みなし相続財産という考え方

みなし相続財産とは、民法上は相続や遺贈によって取得した財産ではないものの、相続税法上は相続財産とみなして課税対象に含める財産のことをいうとされています。死亡退職金のほか、死亡保険金なども同様にみなし相続財産として扱われる代表例とされています。

みなし相続財産に該当するかどうかは、遺産分割協議の対象になるかどうかという民法上の扱いとは別に判断される点に注意が必要とされています。死亡退職金は原則として受給権者に固有の権利として直接帰属するものであり、遺産分割の対象財産とは性格が異なると考えられています。そのため、遺産分割協議書に死亡退職金の記載がなくても、受給権者が確定していれば、その人が単独で受給する権利を持つと整理されることが一般的とされています。

この点から、遺産分割協議とは別に、死亡退職金の受給権者や金額を確認する作業を並行して進めておくことが、申告作業を効率的に進める上で有用と考えられます。

死亡退職金の受給権がいつの時点で遺族に帰属するかという論点は、会社との間で見解が分かれることもあるとされており、疑義がある場合には、退職金規程の文言や過去の支給実績を踏まえて慎重に判断する必要があると考えられます。

受給権発生の時期による判断

死亡退職金がみなし相続財産として課税対象になるかどうかは、被相続人の死亡後、一定期間内に支給が確定したかどうかという時期的な要件によって判断されるとされています。一般的には、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金が相続税の課税対象になると整理されており、それ以降に支給が確定した場合には、受け取った遺族の一時所得として所得税の対象になり得ると考えられています。

この時期の判断は個別の事情によって微妙な差が生じ得るため、支給決定の議事録などの記録を残しておくことが望ましいとされています。会社側の意思決定が遅れがちなケースでは、相続人としても早めに支給見込みを確認し、必要に応じて申告書への記載方法を専門家と相談しておくことが安心につながると考えられます。

とくに、経営が不安定な会社や、後継者との調整に時間がかかっている会社の場合、死亡退職金の支給決定そのものが3年を超えて先送りされることもあり得るため、期限を意識した継続的な確認が重要になると考えられます。

被相続人の死亡後3年を経過してから支給が確定し、一時所得として所得税の対象になる場合には、収入金額から支払を受けるために支出した金額と50万円の特別控除額を差し引いた上で、その2分の1を課税対象とする計算方法が用いられるとされています。

死亡退職金の非課税枠の計算方法

死亡退職金がみなし相続財産として課税対象になる場合でも、全額がそのまま課税されるわけではなく、一定額までは非課税として扱われる仕組みが設けられています。この非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」という算式で計算されるとされています。

ここでいう法定相続人の数は、実際に遺産を取得したかどうかにかかわらず、民法上の法定相続人の数を基準に数えるとされています。したがって、相続放棄をした人がいたとしても、非課税枠の計算においては、その放棄がなかったものとして法定相続人の数に含めて計算するという考え方が採られています。この点は、基礎控除額の計算方法と共通する考え方とされています。

非課税枠を超える部分の死亡退職金については、他の相続財産と合算した上で相続税の課税価格に含めて計算することになります。複数の相続人が死亡退職金を受け取った場合には、非課税限度額を各人が実際に受け取った退職金の金額に応じて按分するという計算方法が用いられるとされています。たとえば非課税限度額が1,500万円であり、2人の相続人がそれぞれ1,000万円ずつ死亡退職金を受け取った場合、それぞれの受取額の比率に応じて非課税限度額が配分され、各人の課税対象額が個別に計算されることになると考えられます。

非課税枠の計算は、一見単純な算式に見えても、法定相続人の数え方や按分の方法によって結果が変わってくるため、慎重に確認することが望ましいとされています。特に、相続人の一部だけが死亡退職金を受け取り、他の相続人はまったく受け取らないというケースも実務上は珍しくないため、按分計算の対象となる範囲を取り違えないよう注意が必要と考えられます。

また、死亡退職金の非課税枠は、相続を放棄していない相続人が受け取った場合にのみ適用される仕組みであるため、受給権者の立場を一つひとつ確認しながら計算を進めることが実務上重要とされています。

代襲相続が生じている場合や、被相続人より先に死亡した相続人がいる場合には、法定相続人の数え方自体が複雑になることがあり、非課税限度額の計算を誤らないよう、相続関係説明図を作成して人数を確認しておくことが望ましいと考えられます。

具体例として、法定相続人が配偶者と子2人の合計3人で非課税限度額が1,500万円であるケースを考えます。配偶者が死亡退職金900万円、長男が600万円を受け取り、次男は受け取らなかった場合、非課税限度額1,500万円は受取額の比率(900万円:600万円)に応じて配偶者に900万円、長男に600万円が配分され、結果として両者とも受取額の全額が非課税になる計算となります。一方、配偶者の受取額が1,200万円、長男の受取額が900万円というように受取総額が非課税限度額を大きく上回る場合には、按分後の非課税額を差し引いた残額がそれぞれ課税対象に加算されることになります。

500万円×法定相続人の数の算式

たとえば法定相続人が配偶者と子2人の合計3人である場合、非課税限度額は500万円×3人で1,500万円になると計算されます。死亡退職金の総額がこの限度額以内であれば、相続税の課税価格には算入されないことになります。反対に、死亡退職金の総額が非課税限度額を超える場合には、その超えた部分だけが課税対象に加算される仕組みとされています。

養子がいる場合の法定相続人の数え方には別途制限が設けられているとされており、実子がいる場合は養子のうち1人まで、実子がいない場合は養子のうち2人までしか法定相続人の数に算入できないという考え方があります。この点は基礎控除額の計算とも共通する考え方とされており、養子縁組を活用した相続対策を検討する際にも併せて確認しておくべき論点になると考えられます。

法定相続人の数え方を誤ると非課税限度額そのものが変わってしまうため、戸籍謄本などをもとに相続人の範囲を正確に確定させる作業が、非課税枠の計算の前提として欠かせないと考えられます。

数次相続が生じている場合など、法定相続人の範囲の判定が難しいケースでは、戸籍謄本を丹念に確認し、誰を法定相続人として数えるべきかを整理した相続関係説明図を作成しておくことが、非課税限度額の計算ミスを防ぐ上で有用と考えられます。

相続放棄をした人がいる場合の扱い

相続放棄をした人がいる場合、その人は民法上は初めから相続人ではなかったものとして扱われますが、死亡退職金の非課税枠を計算する際の「法定相続人の数」には、放棄がなかったものとして数に含めるとされています。これは基礎控除額の計算方法と考え方が共通しているとされています。

ただし、相続放棄をした人自身が死亡退職金を受け取った場合には、その人にはこの非課税枠を適用することができないとされている点には注意が必要です。非課税枠の適用対象は、あくまで相続人としての立場で死亡退職金を受け取った人に限られると考えられています。相続放棄をした人が受給権者として死亡退職金を受け取ること自体は可能な場合があるものの、その受取額については非課税の適用なく課税対象になり得ると考えられます。

相続放棄をした人が受給権者に指定されているかどうかは、退職金規程の受給順位の定め方によっても左右されるため、放棄を検討している相続人がいる場合には、死亡退職金の受給権への影響もあわせて確認しておくことが望ましいと考えられます。

また、相続放棄の申述は家庭裁判所に対して行う手続きであり、死亡退職金を受け取ったかどうかによって相続放棄の期限や可否が左右されるものではないと考えられていますが、単純承認とみなされる行為(相続財産の処分など)に該当しないかどうかは別途慎重な検討が必要とされています。

死亡保険金の非課税枠との違いと関係

死亡退職金とよく比較される財産として、死亡保険金が挙げられます。死亡保険金も死亡退職金と同様にみなし相続財産として扱われ、「500万円×法定相続人の数」という同じ算式で非課税限度額が計算される点は共通しているとされています。

もっとも、死亡退職金と死亡保険金は、それぞれ別個の非課税枠として計算されるという点が重要な違いです。つまり、死亡退職金の非課税枠と死亡保険金の非課税枠は合算されるのではなく、それぞれの財産について個別に非課税限度額が設けられていると整理されています。

両方の財産を受け取った遺族にとっては、それぞれの非課税枠を正しく区分して適用することで、課税対象となる金額を適切に把握できることになります。実務上は、死亡保険金の支払通知書と、会社から発行される死亡退職金に関する書類の両方を確認し、それぞれの財産ごとに非課税枠の計算を行う必要があると考えられます。

中小企業経営者の相続では、法人が契約者となっている生命保険から法人が保険金を受け取り、その資金を原資として死亡退職金を支給する仕組みが用いられることも多いとされています。このような場合、遺族が直接受け取るのは死亡退職金のみであり、法人が受け取った保険金自体は相続税の課税対象にはならないという整理がされています。

反対に、被相続人自身が契約者かつ被保険者となっている個人契約の生命保険から遺族が直接保険金を受け取る場合には、死亡保険金としての非課税枠が別途適用されることになります。契約形態が法人契約か個人契約かによって、どちらの非課税枠が適用されるのかが変わってくるため、契約書の内容を確認する作業が欠かせないと考えられます。

個人契約の生命保険に契約者貸付が付されている場合、死亡保険金の額から貸付残高が差し引かれて支払われることがあるとされており、実際に遺族が受け取る金額と非課税枠の計算対象となる金額との関係についても、保険会社からの支払明細で確認しておくことが望ましいと考えられます。

なお、被相続人がまだ保険事故の生じていない生命保険契約(たとえば被相続人が契約者となり、他人を被保険者としている契約など)を有していた場合には、死亡保険金とは別に「生命保険契約に関する権利」として、解約返戻金相当額で評価される財産になるとされています。これは死亡退職金や死亡保険金とは異なる評価の考え方になるため、被相続人が複数の保険契約を有していた場合には、契約ごとにどの区分に該当するかを整理しておくことが望ましいと考えられます。

死亡保険金の非課税枠との比較

死亡保険金の非課税枠も死亡退職金と同じく「500万円×法定相続人の数」で計算されますが、算出の対象となる財産が異なるため、それぞれ独立して非課税限度額を計算する必要があるとされています。たとえば法定相続人が3人の場合、死亡保険金について1,500万円、死亡退職金について1,500万円と、それぞれ別枠で非課税限度額が設けられることになります。

この点を誤解し、両方の財産を合算して一つの非課税枠として計算してしまうと、課税対象額を過大または過小に見積もってしまい、申告内容に誤りが生じる可能性があるため注意が必要とされています。財産の種類ごとに非課税枠を区分して整理する一覧表を作成しておくと、確認漏れを防ぎやすいと考えられます。

このような一覧表には、財産の種類、受取人、受取金額、非課税限度額、課税対象額といった項目を並べて整理しておくと、申告書作成時の確認作業がしやすくなると考えられます。

契約者貸付金の残高がある保険契約の場合、実際に遺族へ支払われる死亡保険金の額が契約上の保険金額よりも少なくなることがあるとされ、非課税枠の計算にあたっては、実際に受け取った金額を基準に確認する必要があると考えられます。

死亡退職金と死亡保険金を両方受け取った場合

中小企業の経営者が生命保険を活用して死亡退職金の原資を準備しているケースでは、法人が受け取った保険金を原資に死亡退職金が支給される場合と、遺族が個人として死亡保険金を直接受け取る場合とが混在することがあります。この場合、法人から支給される死亡退職金と、遺族が直接受け取る死亡保険金とでは、課税上の位置づけが異なるとされています。

どちらの財産としてどのような非課税枠が適用されるのかを整理するためには、保険契約の契約者・被保険者・受取人の関係や、退職金規程の内容を確認しておくことが望ましいと考えられます。契約形態によっては、遺族が受け取る保険金がみなし相続財産に該当しない場合もあり得るため、契約内容の確認は個別に丁寧に行う必要があると考えられます。

保険証券や契約内容のお知らせといった書類を早めに取り寄せ、契約者・被保険者・受取人の関係を図式化して整理しておくと、専門家への相談の際にも状況を伝えやすくなると考えられます。

法人が受け取った保険金を死亡退職金の原資とする場合と、弔慰金の原資とする場合とでは、支給決議の内容や会計処理の仕方が異なってくるとされており、資金使途に応じて決議書類を区分して作成しておくことが望ましいと考えられます。

また、契約上は会社を契約者としていても、実質的な保険料負担者や保険金受取の経緯から見て個人契約と変わらないと判断されるような契約形態(いわゆる名義上の契約者と実質の負担者が異なるケース)については、税務調査で契約の実態を問われる可能性があるとされています。契約者名義だけで判断せず、保険料の負担者や契約の経緯を確認しておくことが望ましいと考えられます。

死亡退職金を受け取れる人と課税関係

死亡退職金の受給権者が誰になるかは、会社の退職金規程に受給順位の定めがあるかどうかによって異なるとされています。規程に定めがある場合には、その定めに従って受給権者が決まり、必ずしも民法上の法定相続人と一致するとは限らないと考えられています。

規程に受給権者の定めがない場合には、死亡退職金は民法上の相続財産に準じて遺産分割の対象になるという考え方や、実務上の慣行に従って処理されるという考え方があり、会社ごとに取り扱いが異なる場合があるとされています。このため、被相続人が勤めていた会社の退職金規程や役員退職慰労金規程の内容を、できるだけ早い段階で確認しておくことが望ましいと考えられます。

いずれの場合も、死亡退職金を受け取った人が相続税法上の非課税枠の適用を受けられるかどうかは、その人が民法上の相続人であるかどうかによって左右される点に注意が必要です。受給権者の範囲や順位の定めは会社によって多様であるため、規程の写しを取り寄せて確認するなど、事実関係の把握を丁寧に行う姿勢が求められると考えられます。

また、被相続人が複数の会社で役員を兼務していた場合には、それぞれの会社から死亡退職金が支給される可能性もあるとされています。このような場合には、会社ごとに受給権者や支給額が異なることもあり得るため、すべての勤務先について支給の有無を確認しておくことが望ましいと考えられます。

退職金規程に受給順位の定めがなく、支給先をめぐって相続人間の意見が分かれるケースも実務上見られるとされています。このような場合には、会社側に対して決定の経緯や根拠を確認しつつ、相続人間でも早めに情報を共有し、無用な対立を避ける工夫が望ましいと考えられます。

受給権者が誰になるか

役員退職慰労金規程などにおいて、死亡退職金の受給順位が「配偶者、子、父母」のように定められている会社もあるとされています。このような定めがある場合、実際の受給権者はその規程に従って決まることになり、遺産分割協議によって受給権者を変更することはできないと考えられています。

規程がない中小企業などでは、死亡退職金の支給先を株主総会や取締役会の決議で個別に定めることも多く、その決定内容によって受給権者が確定するとされています。決議の内容によっては、複数の相続人に按分して支給されることもあり、その場合には各自の受取額に応じて非課税枠の按分計算を行う必要が生じると考えられます。

受給権者を決定する決議に相続人自身が関与できるかどうかも会社の体制によって異なるため、決議の透明性を確保する観点からも、決議に至る経緯を書面で残しておくことが望ましいと考えられます。

受給権者が複数人にわたる場合、会社によっては代表者を一人選任してその代表者にまとめて支給し、代表者から他の受給権者へ按分するという実務上の取り扱いが行われることもあるとされ、この場合の按分方法についても書面で明確にしておくことが望ましいと考えられます。

会社によっては、死亡退職金の支給原資を確保するために、会社を契約者とする生命保険を掛けていることがあり、保険金の入金と死亡退職金の支給決議のタイミングにずれが生じることもあるとされています。資金繰りの都合で支給が遅れる場合には、遺族に対してあらかじめ見通しを伝えておくことが、無用な不安を避ける上でも望ましいと考えられます。

相続人以外が受け取った場合の扱い

内縁の配偶者や、相続人ではない親族などが死亡退職金の受給権者として定められている場合、その人が受け取った死亡退職金には非課税枠を適用することができないとされています。非課税枠はあくまで相続人が受け取った場合に限られる制度であるため、相続人以外の人が受け取った死亡退職金は、非課税枠の適用なしに相続税の課税対象になると考えられます。

この点は見落とされやすいポイントとされており、受給権者の範囲を事前に確認しておくことが実務上重要とされています。また、相続人以外の人が死亡退職金を受け取る場合、相続税額の2割加算の対象になるかどうかも併せて検討が必要になる場合があると考えられます。

受給権者が相続人であるか否かの判定を誤ると、非課税枠の適用や2割加算の判定にも影響が及ぶため、戸籍関係の書類を確認しながら受給権者の立場を正確に把握しておくことが望ましいと考えられます。

相続人以外の人が死亡退職金を受け取る場合の相続税額の2割加算は、被相続人の一親等の血族および配偶者以外の人が財産を取得したときに適用される仕組みとされており、受給権者が被相続人とどのような続柄にあるかを正確に確認しておくことが重要と考えられます。

弔慰金の取り扱いと非課税の考え方

弔慰金は、死亡退職金とは別の性格を持つ支給金として、相続税の実務上は独自の非課税の考え方が設けられているとされています。弔慰金そのものは、遺族への見舞いや慰労という趣旨で支給されるものであるため、原則として相続税の課税対象にはならないという整理がされています。

ただし、弔慰金という名目であっても、実質的に退職金としての性格を持つと判断される部分については、死亡退職金として取り扱われ、非課税枠の対象になるという考え方が採られています。この区分は、被相続人の死亡が業務上の死亡であったかどうかによっても目安が異なるとされています。

弔慰金の非課税限度額を超えるかどうかの判断は、会社の規模や業種、支給の慣行などによっても事情が異なり得るため、一律に線引きできるものではないと考えられます。実務上は、支給決議の際に弔慰金と死亡退職金を明確に区分して決議しておくことが、後々の税務上の判断を明確にする上でも有用と考えられます。

とくに、経営者本人が死亡した中小企業では、弔慰金という名目で比較的高額な金銭が支給されることもあり得るため、金額の妥当性について、税務調査で説明を求められる可能性を意識しておくことが望ましいと考えられます。

なお、弔慰金は相続税の取り扱いとは別に、所得税法上も遺族が受け取る見舞金として非課税とされる考え方があるとされています。相続税と所得税とで非課税の趣旨や範囲が異なる場合があるため、両者を混同しないよう整理しておくことが望ましいと考えられます。

労働災害に関する保険給付など、死亡退職金や弔慰金とは別の枠組みから遺族に金銭が支払われる場合もあるとされています。これらの給付は、勤務先からの死亡退職金や弔慰金とは支給根拠が異なるため、相続税の課税対象になるかどうかについても別途の考え方が及ぶ場合があり、給付の性質を一つずつ確認しておくことが望ましいと考えられます。

業務上死亡・業務外死亡での違い

実務上の目安として、被相続人が業務上の死亡であった場合には、死亡当時の普通給与の3年分に相当する金額まで、業務外の死亡であった場合には、死亡当時の普通給与の半年分に相当する金額までを、弔慰金として非課税に扱う考え方があるとされています。この目安を超える部分については、実質的に死亡退職金に該当するものとして取り扱われる可能性があるとされています。

この基準はあくまで実務上の目安であり、個別の事情によって判断が分かれる場合があるため、専門家に確認しながら整理することが望ましいと考えられます。また、業務上・業務外の判定自体が労災認定の有無などと関連することもあり、慎重な確認が必要になると考えられます。

業務上死亡と業務外死亡のいずれに該当するかによって非課税の目安となる金額が大きく異なるため、労災の認定状況や死亡に至った経緯を示す資料を保管しておくことも、後の説明のために有用と考えられます。

弔慰金の非課税の目安を計算する際の基準となる「普通給与」は、一般に基本給と扶養手当などの諸手当を合計した金額を指し、賞与は含めずに計算する考え方が採られているとされています。この基準給与の範囲を取り違えると非課税の目安自体がずれてしまうため、給与明細の内訳を確認しながら計算する必要があると考えられます。

同じ会社から弔慰金と死亡退職金の両方が支給される場合には、それぞれの金額を別々に確認した上で、弔慰金部分が非課税の目安の範囲に収まっているかどうかを個別に判断する必要があるとされています。両者を合算した金額だけを見て判断すると、区分を誤ってしまう可能性があるため注意が必要と考えられます。

弔慰金が退職金と実質的に判断される場合

会社が「弔慰金」という名目で支給していても、その金額が通常の弔慰金の水準を大きく超えていたり、退職金規程に基づいて計算された金額と一致していたりする場合には、実質的に死亡退職金と同様の性格を持つものと判断される可能性があるとされています。

このような場合、名目上の区分にかかわらず、死亡退職金の非課税枠の計算に含めて申告する必要が生じることがあるため、支給の実態を踏まえた慎重な判断が求められると考えられます。会社側の会計処理や決議書類の記載と、実際の支給趣旨との整合性を確認しておくことも、後の税務調査への備えとして有用と考えられます。

疑わしい場合には、名目上の呼び方にこだわらず、実質的にどのような趣旨で支給されたのかを整理した上で、専門家とともに申告上の取り扱いを検討する姿勢が望ましいと考えられます。

複数年にわたって同じ経営者の親族に継続的に金銭が支払われているような場合には、一回限りの弔慰金というより、実質的な年金や給与の後払いに近い性格を持つと判断されることもあり得るとされています。支給が単発なのか継続的なのかという点も、名目と実態の整合性を検討する際の手がかりになると考えられます。

従業員全体を対象とした弔慰金の支給基準を就業規則等であらかじめ定めている会社では、経営者本人が死亡した場合の弔慰金についても、その基準に沿った金額であれば妥当性を説明しやすいと考えられます。反対に、経営者だけを対象とした特別な基準がある場合には、その基準の合理性について、あらためて確認しておく必要があると考えられます。

申告手続き上の注意点

死亡退職金が相続税の申告に関わる場合、実務上いくつかの注意点があるとされています。まず、死亡退職金の支給が確定した時期によって、相続税の課税対象になるかどうかが変わってくるため、支給決定の議事録や通知書などの書類を確実に保管しておくことが重要と考えられます。

また、死亡退職金は所得税法上、退職所得としての源泉徴収の対象にはならず、相続税の課税対象として扱われる場合には、会社側が「退職手当金等受給者別支払調書」といった法定調書を税務署に提出する仕組みになっているとされています。この調書の内容と相続税申告書の記載内容に齟齬がないよう、確認しておくことが望ましいとされています。

相続税申告書上は、死亡退職金は第10表と呼ばれる明細書に記載する取り扱いになっているとされ、非課税限度額の計算や、各相続人への按分状況もあわせて記載する必要があるとされています。会社から支給される書類の名称や様式は会社によって異なることもあるため、記載内容をそのまま転記するのではなく、内容を正確に理解した上で申告書に反映させる姿勢が求められると考えられます。

複数の相続人が関わる場合には、誰がどの財産をいくら受け取ったのかという情報を関係者間で共有し、申告書の内容に食い違いが生じないようにすることも実務上重要とされています。

死亡退職金を代償分割の原資として活用し、特定の相続人が不動産などの現物財産を取得する代わりに、他の相続人へ代償金を支払うという遺産分割の方法が採られることもあるとされています。このような場合、死亡退職金の受給と代償分割の合意内容との整合性を、遺産分割協議書上でも明確にしておくことが望ましいと考えられます。

相続税の申告書のうち、死亡退職金の内容を記載する明細書には、退職手当金等の名称、支給を受けた人の氏名、支給会社名、受給年月日、受け取った金額、非課税限度額の按分計算などを記載する欄が設けられているとされています。会社から受け取った支払通知書や源泉徴収関係の書類の記載内容をそのまま転記するのではなく、非課税限度額の按分計算を行った上で、各相続人の課税対象額を明細書に反映させる作業が必要になると考えられます。

申告書に添付する死亡退職金関連の書類としては、支給決議の議事録の写しや、会社が発行する支払明細、非課税限度額の計算過程を示すメモなどが挙げられます。これらを一式にまとめて保管しておくことで、税務調査等で説明を求められた際にも、経緯を迅速に示すことができると考えられます。

支給時期が申告期限をまたぐ場合

相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内とされていますが、死亡退職金の支給決定がこの期限をまたいで行われることも珍しくないとされています。このような場合、申告期限までに死亡退職金の支給額が確定していないときは、見込額で申告した上で、後日確定した金額をもとに修正申告や更正の請求を行う必要が生じる場合があるとされています。

支給決定の見込みや進捗状況を早めに把握し、申告スケジュールに反映させておくことが実務上重要と考えられます。会社側の決議が遅れている場合には、進捗確認の連絡を早めに行い、申告期限との関係を専門家と共有しておくことが望ましいと考えられます。

見込額で申告した後に確定額が判明した場合、当初申告との差額が非課税限度額の範囲内に収まるかどうかによっても、その後の手続きが変わってくるため、確定次第すみやかに専門家に報告することが望ましいと考えられます。

相続税の申告期限は延長が認められる場合が限定的であるとされているため、死亡退職金の確定を待たずに、まずは見込額を踏まえて期限内に申告を行い、確定後に修正申告等で対応するという進め方が現実的であると考えられます。

遺産分割が申告期限までにまとまらない場合には、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった特例の適用が制限されることがあり、死亡退職金の支給の遅れとあわせて全体の申告方針に影響することもあるとされています。「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出することで、分割確定後に特例の適用を受けられる余地が残される場合もあるため、あわせて検討しておくことが望ましいと考えられます。

源泉徴収・法定調書との関係

死亡退職金は、相続税の課税対象となる場合には所得税の源泉徴収の対象外となる一方、被相続人の死亡後3年を経過してから支給が確定した場合には、受給者の一時所得として所得税の課税対象になり、取り扱いが変わってくるとされています。会社側が発行する支払調書の記載内容を確認し、どちらの扱いになっているかを把握しておくことが望ましいと考えられます。

このような書類の整合性を確認する作業は、相続税申告の正確性を担保する上で欠かせない実務のひとつとされています。書類に記載された支給決定日や金額に疑問がある場合には、会社の経理担当者に直接確認するなど、事実関係を丁寧に確かめる姿勢が望ましいと考えられます。

会社が発行する書類の様式は統一されていないこともあるため、専門家に書類の写しを共有し、記載内容の読み方や申告への反映方法について確認しておくと安心につながると考えられます。

死亡退職金が一時所得として所得税の対象になる場合には、相続税の申告とは別に、受け取った本人が所得税の確定申告を行う必要が生じることがあるため、両方の手続きが必要になっていないかを確認しておくことが望ましいと考えられます。

実務上の留意点とまとめ

死亡退職金は、被相続人の勤務先から支給される性質上、遺族が把握しにくい財産のひとつとされています。特に中小企業の経営者が亡くなった場合には、死亡退職金の金額や支給の有無が会社の経営状況や役員退職慰労金規程の整備状況によって大きく左右されるため、事前に規程の内容を確認しておくことが望ましいと考えられます。

また、弔慰金との線引きや、死亡保険金との非課税枠の違いなど、混同しやすいポイントが複数あるため、支給を受けた財産の性質を正確に整理した上で相続税の申告に反映させることが重要とされています。財産ごとに非課税枠を区分して一覧化しておくことで、申告作業の見落としを防ぎやすくなると考えられます。

死亡退職金に関する取り扱いは、支給決定の時期や受給権者の範囲など、個別の事情によって判断が分かれる場合が少なくないため、疑問点があれば早めに専門家に相談しながら手続きを進めることが望ましいと考えられます。とくに、会社側の意思決定に時間がかかる場合には、相続人側から早めに状況を確認し、申告期限との兼ね合いを見据えて準備を進める姿勢が大切になると考えられます。

相続の場面では、死亡退職金のように被相続人の勤務先という第三者の意思決定に左右される財産が思わぬ形で申告漏れになることもあるため、被相続人の勤務状況や役職を洗い出し、関係する財産を網羅的に確認する作業を、申告準備の早い段階で行っておくことが望ましいと考えられます。

生前の対策としては、退職金規程や役員退職慰労金規程をあらかじめ整備し、死亡時の支給基準や受給順位を明確にしておくことが、遺族の手続き負担を軽減するとともに、相続税申告における財産の把握漏れを防ぐことにもつながると考えられます。顧問税理士と連携しながら、定期的に規程の内容を見直しておくことも有用と考えられます。

死亡退職金にまつわる書類は、支給決議から時間が経つと散逸しやすいものでもあるため、相続税の申告が完了した後も、税務調査などに備えてしばらくの間は関係書類を整理して保管しておくことが望ましいと考えられます。次の相続が生じた際の参考資料としても、退職金規程の整備状況や過去の支給実績を記録しておくことは意味があると考えられます。

中小企業経営者の死亡退職金でよくある論点

中小企業の経営者が死亡した場合、生前に十分な退職金規程が整備されていないケースもあり、死亡退職金の金額を死亡後に急いで決定することになる場合があるとされています。このような場合、支給額の妥当性や、法人税法上の損金算入の可否といった論点も併せて検討が必要になることがあると考えられます。

会社の資金繰りへの影響も踏まえ、生命保険の活用などによって死亡退職金の原資をあらかじめ準備しておく方法が採られることもあるとされています。後継者への事業承継を見据えている場合には、死亡退職金の支給が会社の財務状況に与える影響についても、あわせて検討しておくことが望ましいと考えられます。

後継者が決まっていない段階で経営者が死亡した場合には、死亡退職金の支給決定自体が経営の混乱の中で先送りされることもあり得るため、あらかじめ規程を整備しておくことが、遺族の申告実務の負担を軽減することにもつながると考えられます。

後継者が定まっている会社では、死亡退職金の支給基準をあらかじめ明確にしておくことで、経営の混乱を最小限にとどめながら遺族への支給を円滑に進めやすくなると考えられます。

死亡退職金は、相続税の納税資金を確保する手段としても意識されることがあるとされています。相続財産の大部分が不動産や自社株式といった換金しにくい財産で占められている場合、死亡退職金として支給される現金は、納税資金や当面の生活資金として活用しやすい財産になり得ると考えられます。

専門家に確認しておきたいポイント

死亡退職金に関する相続税の取り扱いを正確に把握するためには、退職金規程の内容、支給決定の時期、受給権者の範囲、弔慰金との区分といった複数の要素を総合的に確認する必要があるとされています。これらの判断には専門的な知識が求められる場面も多いため、税理士など専門家に相談しながら整理を進めることが望ましいと考えられます。

特に、死亡保険金と死亡退職金の両方が絡むケースでは、非課税枠の適用関係が複雑になりやすいため、早めに専門家の確認を受けておくことが安心につながると考えられます。会社の経理担当者と専門家の双方に事実関係を共有し、齟齬のない申告書を作成する体制を整えておくことが望ましいと考えられます。

初回の相談の段階で、退職金規程の写し、支給決議書、保険契約に関する書類などをまとめて持参すると、専門家による論点整理がスムーズに進みやすくなると考えられます。

退職金規程は一度整備した後も、役員構成や給与水準の変化にあわせて定期的に見直しておくことが、実際に死亡退職金の支給が必要になった際の金額の妥当性を確保する上でも有用と考えられます。

専門家への相談は、死亡退職金の支給が決定した後だけでなく、支給の見込みが立った早い段階から行っておくことで、非課税枠の計算や他の特例との組み合わせについて、余裕を持って検討できるようになると考えられます。

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